オイコノミア「オイコノミア流 経済用語カルタ」(前編) 2014.03.18

痛みを感じたらお医者さんにかかってな。
バランスのとれた食事が大切な事分かったやろ。
お体お大事に。
先生今日はなぜ和服なんでしょうか?今日はね集中講義なんですよ。
集中講義。
ですから雑念が入らないようにこの格好なんです。
なるほど。
雑念が入らない格好なんですね。
で今日の大竹塾なんですけれどもテキストはこれを使うんです。
なんですか?それは。
これはですね「オイコノミアカルタ」ですよ。
オイコノミアカルタ?はい。
これを使って勉強していきましょう。
はい。
ちょっとでも先生カルタをやるには季節的にずれてるんじゃないですか?まっ細かいことはいいじゃないですか。
ハハハッ。
とにかくやるんですね。
はい。

(テーマ音楽)さあ今夜はこれまでの内容を一気におさらい。
さまざまな経済学の考え方を番組特製オイコノミア流経済用語カルタを使ってどんどん振り返ります。
まず大竹先生が…又吉さんは…中には…果たして又吉さんは…ハハッ!ということで早速…始まり!それでは読みます。
はい。
一体どの札が正解なのでしょうか?はい。
これはわかりました。
はい。
これです!どれですか?「時間割引」ですね。
当たってますね。
はい。
例えば1週間後にもらえる1万1,000円と今日もらえる1万円の2つを比べます。
この2つを同じ価値だと考えた場合…この割合が高いほど今の利益を大事にしてしまう傾向があります。
つまりせっかちなんです。
又吉さんもこれまでに何度か時間割引の実験をしましたよね。
覚えてますか?又吉さん。
今日の1,000円。
1週間後の1,400円。
なるほど。
これちょっと迷いますね。
あ〜。
でも今もらえるんですよね。
はい。
これだと今日もらえるんでこっちですかね。
Aですね。
Aですね。
「目先に利益が迫った途端誘惑に負けてしまいませんか?」と出てます。
なるほど。
そういうところ僕結構ありますよね。
ありますね。
毎回。
毎回。
毎回これになると僕これですよね。
はい。
さらに神経科学を用いてもう一歩進んだ時間割引の実験をしました。
これも覚えてますか?又吉さん!これはアイトラッカー。
画面の下の部分にカメラが仕込んであり又吉さんの視線を追跡できます。
2つの異なる日にちを比べどちらのお金を欲しいと判断しているのか分析できます。
これは90日後と97日後にもらえる金額を比較した場合。
今日と7日後を比較した場合又吉さんは満遍なく日にちと金額を見比べていました。
すぐにもう今お金が欲しいという人だったら今日というのか近い方の日付しか見ないかもしれないですよね。
それからたくさんお金があればいいって思ってる人はもう日付見ないで金額しか見てないかもしれない。
はい。
視線でどういうふうに考えたかがわかっちゃうんですね。
そうです。
神経科学と経済学が融合することで人の意思決定の仕組みがより深〜くわかってきています。
子どもの頃ね又吉さん夏休みの宿題ってあったじゃないですか。
夏休みが始まる前は宿題いつぐらいにやろうと思ってました?最初ですね。
最初ですよね。
でやったのはいつですか?最後ですよね。
最後ですよね。
ですからそれは夏休みが始まる前は我慢強いから「嫌なことを先に楽しみは後に」という計画が立てられるんですよね。
だけど夏休みに入ると先延ばしをしてしまう。
だから我慢強さがなくなってしまうと。
まあこういうのを「現在バイアス」と言うんですよ。
はい。
ダイエットもそうですか?ダイエットもそうです。
ちゃんと健康管理しないとな。
太ってきたからとは思うんですけどその日になると「まあ今日はおなかもすいたことやし食べよかな」となりますよね。
で後輩と一緒に焼肉に行くと。
そうですね。
はい。
やっぱりそうですよね。
はい。
まあそういう現在バイアスがあるということを知ることが第一歩ですからね。
はい。
又吉さん。
せっかく現在バイアス復習しましたから現在バイアスの読み札を考えてみてくださいよ。
わかりました。
はい。
読み札ですね。
はい。
読み札できました。
はい。
どんな札ですか?はい。
こちらですね。
「やっぱり今日はお酒を飲もう。
仕事は明日やろう」。
なるほど。
バッチリです!
(笑い)バッチリですか?バッチリです。
この行為自体はバッチリじゃないんですけどね。
現在バイアスの説明としてはバッチリですね。
はい。
まあそういうことをしがちであるということを認識しておくことが大事ですね。
そうですね。
だからお酒を飲みにいけないように最初から仕組んでおくと。
打ち合わせを入れておくとか。
飲まない人と打ち合わせをするとか。
なるほど。
現在バイアスが自分がその…なんて言うんですかね。
そういう自分でバランスを取れないってわかってたら最初からわかっていればそういうふうに。
そうですね。
そういう工夫をするっていうことですね。
なるほど。
わかりました。
はい。
続いて…それでは次いきましょうか。
はい。
お願いします。
これと関わる経済用語はなんでしょうか?ウフフッ。
あれですよ。
あれ!ほら!もう見えてるでしょ。
頑張って!又吉さん。
これ経済用語関係ないやつも入ってますね先生。
そうですね。
この「適材適所」とかかなり惹かれてしまうんですけどこれじゃないですよね。
はい。
これです!「ピア効果」。
はい。
なるほど。
それボケてます?えっ!?マジですか?違います。
えっ!?違います?うそ!残念!例えばお笑い芸人の場合同期が売れると切磋琢磨してみんなが売れていくということなんですね。
となってくると…。
はい。
これかな。
アハハハッ。
これですかね?はい。
それはなんでしょう?はい。
「比較優位」。
(チャイム)それですよ。
比較優位ですか。
はい。
よかった〜!「比較優位」以外ではもう「適材適所」ぐらいしかなかったんで。
アハハハッ。
この理論は自由貿易で用いられたのが始まりです。
ちょっと具体例やってみようと思うんですよ。
はい。
又吉さんと私大竹が2人で会社をやってたとしますよね。
でそこで仕事を受注しましたと。
仕事内容は営業と資料作成2つをやらなきゃいけない。
はい。
でノルマはですね営業は30件資料作成は80ページなんですね。
まず又吉さんと大竹さんの能力を比べてみましょう。
又吉さんは1時間に営業を4件資料を20ページ作ることができます。
対して大竹さんは営業が1時間に1件。
資料は10ページしか作れません。
又吉さんが1人でノルマを達成するには営業7.5時間資料作成4時間かかるので合計11.5時間働かなければなりません。
対して大竹さんは営業30時間資料作成8時間かかります。
ノルマ達成まで合計38時間も働かなければならないのです。
又吉さん圧倒的に優秀ですからなんか会社によってはですねたぶん私をクビにしてですね又吉さんだけを働かそうとした方がいいように思いません?はい。
でも又吉さん1人に働かせるといくら優秀な又吉さんでもえ〜11.5時間働かなきゃいけないわけですよね。
それに比べるとですね能力が低い私であっても得意なところに特化する。
8時間資料作成をするっていうことで又吉さんの労働時間も7.5時間で済むと。
はい。
注目すべきポイントはここ。
2人が得意な仕事だけに専念した場合又吉さんは7.5時間。
大竹さんは8時間働くことでノルマを達成することができます。
比較優位を生かしていくと又吉さんも得をして私も得をするということで又吉さんにとって私いた方がよかったという事になる訳ですね。
だからこれどうですか?なんか経済とか取引ってなんか能力の高い人が一人勝ちしそうな感じがするんですけど比較優位の考え方はそうじゃないんですよね。
これが頭に入っているといろんな職場とかでのストレスがちょっと解消されそうですね。
そうですね。
自分ばっかりなんかいろいろ働いてるという不満持ってる人多いじゃないですか。
あるいは自分の方が何でも得意なのにどうしてあの人が仕事してるんだろうとか。
だけど比較優位っていうときにやっぱりね絶対的な能力が高い人が大事だというふうに思いがちですけれどここでの概念はそうじゃないんです。
絶対的にどの能力が他の人よりも高くても分業した方がお互いにとっていいという事があるというのが比較優位なんですよね。
なるほど。
わざわざそう表示するのは何のためでしょうか?わかりますか?又吉さん。
ウフフフフッ。
あれですよあれ!アハッ。
なるほど。
難しいっすね。
「タイムセール」じゃないことはわかるんですよ。
うんうん。
タイムセールよくやってますけどね。
違いますね。
え〜これですね。
これです!「シグナル効果」。
それはどうしてそう思ったんですか?これは気に入らなかったら返品可能って言えるという事は返品されるようなものではないすばらしい商品だっていう事の説明になってると。
正解ですね。
はい。
(チャイム)例えば入ったことのないレストランに行列ができていた場合「きっとおいしいのだろう」と推測するのは行列によるシグナル効果です。
そうですね。
だからもし品物の品質が悪くて気に入らないと言われるようなものだったらそういう品物しか出してなかったらこういう表示をするとその会社大赤字になりますよね。
だけどすごく品質が高くてそういう気に入らないと言われる事がないという自信があったらこういう表示をしても実際に返品する人は少ないだろうと。
質のよい商品を出しているところしかこの表示は使えないということでそれがシグナルになっているということですよね。
はい。
つまり「気に入らなかったら返品可能」とすることで企業側は自信を表し消費者はその商品の情報が完全にわからなくても安心して買い物ができるのです。
まあこういうふうにシグナルっていうのは普通の言葉で言えば単なる「信号」ということですから表示してあるというだけですが経済学で意味を持つシグナルというのはそのシグナルを出すことが安くて済む人はシグナルを出してそのシグナルを出すことで非常に高くつくような人はシグナルを出さないというふうな状況のときにシグナルが意味を持つんですね。
はい。
ですからいい品質の商品を出しているという自信があるところはシグナルを出してもいいと。
悪いところはそんな事を書くと返品だらけになって赤字になってしまう。
だからシグナルを出せませんよね。
はい。
愛媛県今治市が生んだ地域ブランド「今治タオル」。
質の高さで人気ですがその秘密はシグナル効果にありました。

(近藤)あのまずロゴマークを設定しました。
そして誰が見ても「ああこれは今治タオルだ」とわかりやすいように。
これは119社今タオル工場があるんですけどその119社が組合を皆さんで加盟してるんですけどその組合がこのブランドを一括管理してるんですね。
今治タオルの基準があるんですね。
あります。
それを超えないと「今治タオル」。
つけられません。
…にはならない。
はい。
買う側もこのマークがついてたら安心して買っていい。
そうですね。
ロゴをつけるためには吸水性耐久性など11項目に及ぶ試験をクリアしなければなりません。
ロゴは品質を保証する役割も担っているのです。
このシグナルってね情報がハッキリわからないときに機能するということを説明しましたよね。
はい。
で今の例だと売り手はその情報を知ってて買い手にとっては情報がわからない状況なんですけどもそういうの経済学でなんていうふうに言うか覚えてます?これは「情報の非対称性」ですね。
そうですね。
ここにありましたね。
ありますね。
その札取ってみてくださいよ。
はい。
「情報の非対称性」ですね。
そうですね。
はい。
情報の非対称性というのが答えになるような読み札というのを考えてみてくださいよ。
はい。
読み札作りました。
こちらです。
「芸人専門のすべり保険。
作ったけれど大赤字だ」。
はぁ!?又吉さんこれどういうことですか?これはですね芸人専門のすべり保険というのはすべったらやっぱりショックじゃないですか。
怖いですよね。
だからすべったらまあ保険金がもらえると。
お金がもらえるっていう保険を作ったけどそれを作ってしまうと大赤字になると。
どうして大赤字になるんですかね?これはやっぱり芸人がすべっても保険があるからっていうことでふだんよりもどんどん自分の中で審査せずにボケますからどんどんすべりますよね。
なるほど。
そういうのを経済学用語で覚えてます?え〜とね。
「モ」。
「モ」から始まります?はい。
もう一個いいですか?「モ」の次。
「ラ」。
はい!わかりました。
「モラルハザード」ですね。
そうですね。
バッチリです。
はい。
そうなんです。
だから保険があることで人の行動が変わってしまうということですね。
だからどれだけふだんどおりにすべらないようにいいギャグを考えるかっていうことをしてるかっていうことが保険会社にはわかんないんで芸人はそれを利用してですねすべらないギャグでもどんどん言ってしまうというリスクがあるんですね。
実はもうひとつすべり保険には問題があるんです。
はい。
なんでしょうか?すべり保険が売り出されたらどういう芸人が入りますか?すべりやすい芸人が入りますよね。
そうですね。
ですから保険会社にとってみたらですね入ってきてほしくない人が入ってくるわけですよ。
なるほど。
ウケる人は入らないですもんね。
だからそうすると今度は高い保険料を課さないとダメじゃないですか。
そうするとその高い保険料を払ってでもすべり保険に入りたい人っていうのはどんな人になります?本当に頻繁にすべってる人そうですね。
ですよね。
そうしたらまた高くするんですよ保険会社。
どうなります?次は。
それでもすべる人が…。
入ってくる。
はい。
そうすると最後とんでもない高い保険料になりますから結局その保険誰も入ってくれなくなるわけですよね。
そうですね。
そんな高い保険料を払うときにはもう自信がなくなってそうですけどね。
はい。
そうなんです。
だから情報の非対称。
この人はすべる人かすべらない人かがわからない。
それからすべらないように努力しているかどうかもわからない。
2つの意味の情報の非対称性があるんですね。
だからすべり保険すべったときの保険というのは売り出すと大赤字になってしまうということなんですね。
はい。
さあ又吉さん次読みましょうか。
先生ちょっと1回休憩しないですか?これ以上やるとちょっとね頭に入らなくなってくるんで。
そうですね。
まあそしたら次回に持ち越しということで一度休憩しましょうか。
はい。
次回もよろしくお願いします。
じゃあよろしくお願いします。
2014/03/18(火) 23:30〜23:55
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「オイコノミア流 経済用語カルタ」(前編)[字]

これまで学んだ経済用語の数々。果たしてどれくらい覚えている?ということで又吉さん「経済用語カルタ」に挑戦。読み手はもちろん大竹文雄教授。学んだ成果は出るのか?

詳細情報
番組内容
番組が始まって2年間、おびただしい数の経済用語を学んできた。これらをカルタ形式で復習する2回シリーズ。「時間割引」「規模の経済」「ジニ係数」など数々の経済用語に加え、「タイムセール」「貧乏性」といった落とし穴も交じっているという番組特製“オイコノミアカルタ”。又吉さん、札を取るだけでなく読み札作りにも挑戦する。経済学芸人を目指す又吉さん、その実力があらわになる!
出演者
【出演】又吉直樹,【講師】大阪大学教授…大竹文雄,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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