(白鳥圭輔)「助けて。
碧翠院は一度入ったら出られない病院です」。
あの手紙は君か君が書いたのか?助けを求めてたのは君だったのか?これは殺人の可能性が高い。
(桜宮厳雄)教えてくれないか白鳥君。
誰が彼を殺してこれを撮影したんだ。
(田口公平)どの患者さんもある日突然螺鈿の部屋に呼ばれて…。
この病院ではあまりにもあっさり人が死に過ぎてる。
加代さんの死について聞きたい。
…というより今まであの螺鈿の部屋でみとられてきた患者さん全員の死について聞かせてもらえますか?あの部屋に入った患者さんはほぼ24時間以内に亡くなっていますよね。
加代さんだって確かに死期は近かったのかもしれません。
でも…。
患者の死と立ち会い続けてるとわかってくるようになるもんだ人の寿命の尽きるときがな。
24時間以内に死ぬってことまで?ああそうだ。
そこまでわかってるならなぜ解剖を?死から学べ死体の声に耳を澄ませ。
がんの患者でも直接の死因はさまざまだ。
俺も医者としてそれぞれの死に向き合い学び続ける。
じゃあ僕も学びたいんで解剖所見見せてもらえますか?君にこれを見て何がわかる?田口先生加代さんの死に顔見てきたらいい。
(小百合)そろそろお寺のほうに移します。
本当に安らかな顔ですね。
…にしても安らかすぎるよね今の加代さんの死に顔は。
今までの患者さんたちもそうだったんだって?
(すみれ)邪魔なんでそろそろ出てってもらえる?華緒先生から連絡は?
(すみれ)全然。
華緒先生と葵君は今どこにいるのかな?知らない。
ふっそうだよね。
聞いた僕がばかでした。
(小百合)そうやって何でも疑ってかからないと気が済まないんですね。
相手の言葉を100%信じるっていうのはその人に全く関心がないのと同じだと思わない?関心を持っていただけて光栄です。
(すみれ)もういいでしょ?出てって。
行きましょう白鳥さん。
で実際はどうだったの?えっ?螺鈿の部屋でのみとり立ち会ったことあるんだよね?はいうめさんのときに。
どんな感じだった?特に不審な点は…。
(回想)ピピピッ…ピピピッ…
(心電図の音)とても静かな安らかな死でした。
気に入らないね。
何がですか?全部だよ全部。
きれいな螺鈿の部屋安らかな死に顔院長自ら費用を負担して解剖して直接の死因も判明してる。
完璧な死亡診断書だ。
おかしいと思っても手の出しようがない。
解剖までされてるんですもんね。
法的に自分の身を守るための解剖だったりしてね。
えっ?厳雄先生ほどの法医学者が作った解剖所見なら誰にもひっくり返されない。
螺鈿の部屋で何かが行なわれていたとしても警察は捜査すらできない。
捜査って何の?何なんですか?白鳥さん。
安楽死だよグッチー。
(美智)ううっ…。
ううっ…。
ううっ…。
(美智)ううっううっ…。
ううっ…。
華緒先生と葵君の行方何かわかった?
(小幡)全く。
ちっ。
ちょっと小幡ちゃん。
ほんとにやる気あんの?とっくの昔に死んだ子捜すなんて上に言えるわけねぇだろうが!大変なんだよ!俺1人で調べんのは。
そんなこと言われたぐらいで怒っちゃだめだよ小幡ちゃん。
あぁ〜。
わかってるつもりだよ君の立場は。
厳雄先生は警察にとっては大事な存在だ。
下手に調べてるのがバレたら君がヤバいもんね。
なあ桜宮家の財産はほとんど華緒先生名義だ。
あの人には金ならある。
逃げようと思えばどこにでも行ける。
何で財産がほとんど華緒先生名義なの?一人娘だからな代々この町に続く桜宮家の。
厳雄先生は婿ってこと?厳雄先生が継ぐまでは碧翠院は入院施設もないただの町医者だった。
碧翠院をここまでにしたのは厳雄先生のお力だよ。
ふ〜ん。
はぁ〜。
もし海外に逃げられてたらおしまいだぞ。
それはないね。
葵君は頭部外傷の後遺症でいつ発作が起きるかわからないみたいだし華緒先生は精神的に不安定だ。
そんな2人をあの厳雄先生が遠くにやるとは思えない。
近くにいるはずなんだよ2人共。
(美智)はぁ〜。
難しい顔して何書いてるんですか?美智さん。
はぁ〜。
手紙ですか。
加代がさ死ぬ間際まで言ってたんだ。
えっ?娘と仲直りするようにって。
けんかでも?ふふふっ。
そんな穏やかなもんじゃない。
縁を切った。
いや切られたのかなこっちが。
あぁ…確かに穏やかじゃないですね。
口うるさい母親だったらしいよ私は。
子供たちが言うにはああしろこうしろあれするなこれするなって。
息子なんか息詰まるからって家出ちゃって今は海外で暮らしてる。
娘は旦那が死んだときに…。
がんだったんだようちの人も。
末期がんに加えて重症の肺炎を起こし呼吸状態が非常に悪化しています。
器官にチューブを入れて人工呼吸器をつければ数週間は延命できるかもしれません。
(美智)もう静かに眠らせてやってくださいってお願いしたの。
夫もそう望んでたから。
でも後からやって来た娘が怒ってね。
お母さんが死なせたって。
ご主人の望みでもあったのに?夫婦2人のときに話してただけだからあの子は知らないの。
お母さんは冷たいって。
もう看病すんのが嫌だから死なせたんだろってそう言われて。
私もか〜っとなってそれっきり。
(美智)孫。
あぁ〜。
ははっ。
元気にしてるかな。
やっぱり手紙なんて柄じゃないね。
一緒に考えてもいいですか?手紙の中身。
美智さんが冷たいと思われたままなんて僕も嫌だし。
じゃあさ田口先生書いてよ。
えっ?孫に会いたいからって書いてよ。
もう何年も会ってないから道で会ったってわかんないよ。
美智さんが書かないと。
僕も考えますから。
はい。
急がないとな。
いつ螺鈿の部屋に呼ばれるかわかんないし。
田口です。
お久しぶりです。
(真琴)うれしいです。
田口先生が会いにきてくれて。
ふふっ碧翠院はいかがですか?何かあったんですね。
藤原さんは厳雄先生のことご存じなんですよね?ええ。
東城医大で働いてらした頃私も同じ病棟にいたことが。
どうしたんですか?田口先生。
もちろん殺人罪に問われることはわかってます。
頭ではわかってるんだけどでも…。
田口先生何のお話ですか?もしも回復の見込みのない患者さんに心から望まれたとしてもそれでも安楽死って罪なんですよね。
ピッピッピッ…
(心電図の音)回復の見込みはなくても機械や薬の力を使って生き続けることはできます。
不治の病の方でも延命治療を拒否して人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることを選ぶ尊厳死という考え方はわかります。
でも今先生がおっしゃってるのは安楽死ですよね?はい。
安楽死というのは医者が薬などを使って直接患者さんの命を絶つ行為です。
私は絶対に反対です。
消えゆく命を自然に任せるのと残り少ないからといって人が人の命を絶つのとは別のことだと思います。
(真琴)巌雄先生は昔から過剰な延命治療には反対でした。
無理な延命で患者さんやご家族の苦しみを長引かせてどうするって。
俺の父もがんだった。
何度も手術をしたが再発転移で長い間苦しみ続けて最期は痛みに泣きながら死んでった。
(真琴)それでよく上の先生とぶつかってました。
ぶつかる?大抵のドクターはまず命を救うことを考えますから。
たとえ患者さん本人が尊厳死を望んでいたとしてもご家族全員が同じ思いとはかぎりませんし。
(美智)娘が怒ってねお母さんが死なせたって。
(真琴)最悪の場合ご遺族から訴えられることもありますし。
だから過剰な延命治療が行なわれてしまうんですね。
たとえ回復の見込みがないとしても。
今でこそ意識がはっきりしているうちに延命治療を書面で拒否する尊厳死宣言も広がっていますがこれも法制化されているわけではありません。
人の死の形を法律で決めるなんて簡単にはいきませんよね。
難しい問題です。
でも巌雄先生は一貫して患者さん本人の意思を大事にしようとされてました。
(加賀)徐脈だ硫アト。
はい。
キンコーンキンコーン…
(心電図の音)心マ!この患者さんは延命を望んでません。
はっ!)苦しみを長引かせないでくれとおっしゃっていました。
おい代わってくれ。
・はい。
加賀先生。
(加賀)どけ。
この患者は…。
どけ!*キンコーンキンコーン…ご家族が見えました。
(加賀)自発呼吸ができない。
もう人工呼吸器をつけるしかないそう言ってこい。
(真琴)結局その患者さんは蘇生はされたのですがご家族のご要望で人工呼吸器につながれ意識回復の見込みもないまま1年以上。
お亡くなりになられたときはご家族も疲れ果てて。
それから間もなくです。
巌雄先生が東城医大をお辞めになったのは。
碧翠院に終末医療の病棟を作られると聞いてあぁ巌雄先生らしいなぁって。
そうでしたか。
さっきの安楽死のお話ってまさか碧翠院じゃ…。
田口先生そんな…まさか巌雄先生が。
ありがとうございました。
もう一度自分できちんと考えてみます。
ごほっごほっ…。
じゃあこれで。
ええ。
加賀先生あっ…。
(加賀)あぁ〜。
ははっ先生はもうやめてください。
今は引退して1人の患者です。
はははっ。
先生こちら碧翠院で働かれてる心療内科の田口先生です。
碧翠院?今お話した巌雄先生の上司でらした先生です。
えっ?あぁ〜桜宮巌雄?ははっ懐かしいな〜。
何度あいつをどなりつけたか。
ははっ…ごほっ。
(小幡)どうすんだよ。
灯台下暗し。
逃げたと見せかけて実はまだ中に隠してるのかもしれないよ。
はぁ?こないだ見たよね?あのどこにでも行けちゃう地下通路。
もしかするとどっかに葵君たちが隠れてる場所があるのかもしれない。
おい…ちっはぁ〜。
(大野)ちょっと小幡さんまずいんじゃないですか?ああ。
お前は帰ってろ。
あれが螺鈿の部屋につながるエレベーターであっちが解剖室のある病院棟。
その階段が桜宮家の住む東館につながっててあの扉の向こうにお寺と火葬場がある。
で…。
ここはどこにつながってるんだろうねぇ。
行ってみようか?はぁ…。
ちっ。
ほぉ〜こんなとこに出るとはね。
無駄足だったな。
小幡ちゃん。
あぁ?これ何だろう?
(小幡)車輪の跡?自転車か何かだろ。
いや…2本平行に並んでる。
この幅…車椅子だ。
(加賀)なるほど彼はこういう病院を作ったんですか。
初めてここに?
(加賀)ええええ。
巌雄先生に会うのも何年ぶりか。
こちらです。
ああ。
私と彼とは意見が違いましてね。
医師は何を置いても患者の命を長らえることを優先させるべきだ私はそう信じてきましたからね。
なのになぜ今巌雄先生に会いたいと?ははっさっきも言ったようにもう私は医者ではない。
患者になりました。
勝手なもんで患者になった途端ドクターへ求めるものがか…変わってしまったごほっごほっ…。
私はね田口先生末期の肺がんなんですよ。
・コンコン!
(ノックの音)どうぞ。
・
(ドアの開閉音)あの…お客様をご案内しました。
加賀先生。
電話で伝えたとおりごほっ私はもう長くない。
こんなことを頼める筋合いじゃないのはわかっている。
それでも頼みたい。
私の最期をみとってくれ。
頼む。
頭を上げてください加賀先生。
先生にはたくさんのことを教えていただきましたから。
お座りください。
ああ。
ピッ俺だちょっと来てくれないか?ありがとう。
娘で副院長の小百合です。
東城医大にいたときにお世話になった加賀先生だ。
うちの緩和病棟に入院していただくことになった。
はじめまして。
それでは早速当病院のご説明をさせていただきます。
ああ。
田口先生もういい。
はい失礼します。
(由喜江)あっあの〜すいません。
はい。
赤城美智に面会したいんですが。
もしかして美智さんの?娘です。
喜びますよ美智さん。
こちらです。
(すみれ)血液データの数値が良くなってる。
まだまだ極楽には行けないってことかい。
そう簡単に行ってもらっちゃ困る。
・美智さん。
お嬢さん来てくれましたよ。
ちょっと話してきていいかい?どうぞ。
(美智)行こう。
美智さんの子供が面会に来るなんて初めて。
この間手紙を出したんです一度会いたいって。
加代さんも亡くなって気が弱くなってたから。
良かったですよね。
そうかな。
えっ?今まで一度も来なかったのはそれなりの理由があってでしょ。
いろいろあったみたいですけど。
でも美智さん仲直りしたがってて。
そううまくいけばいいけど。
あぁほら。
元気そうじゃないか。
(美智)薫来年中学生だよな?
(由喜江)どういうつもり?こんな手紙。
悪いか?もう長くないんだ。
孫の顔見たいぐらい普通だろう。
もう母親でも娘でもないってそう言ったのそっちだよね?何なのよ今更。
そうだよな…。
つい魔が差した。
あそこのちっこい先生が乗せるもんだからさつい柄にもないこと書いちまったよ。
忘れてくれ。
さようなら。
あのせっかくいらっしゃったんですし。
(由喜江)もうすぐ死ぬからって何もかも水に流せるわけじゃないんです。
そんな言い方…。
(美智)いいんだよ田口先生。
失礼します。
待ってください。
ひとの気持ちのわからない女なんか娘でも何でもないって確かに言ったんだよな…。
(すみれ)家族が相手だと手加減できないもんね。
私もそれで姉さんを傷つけてきた。
今は違うだろう?見てりゃわかるよ。
あんたたち姉妹が仲直りしたってことぐらい。
そう?あんたたち見てて私も会いたくなったのかもしれない。
ばかなことしたよ…。
(由喜江)母はきつい人でした。
子供の頃父によく言ってたんです。
あんたは要領が悪いからだから出世できないんだって。
優しい父はいつも笑ってごめんって。
病気で亡くなられたそうですね。
まだ生きられたのに母が死なせた。
それは誤解です。
何が?お父さんは必要以上の延命治療を望んではいなかったって。
それ母が勝手に言ってることでしょう?闘病中のお父さんがお母さんにだけ本音を伝えていたとは考えられないでしょうか。
意識もないまま人工呼吸器につながれることをお父さんは望んでなかった。
私は生きててほしかった。
意識がなくてもいい体温を感じられるだけでいい。
どんな形でもいい…父に生きててほしかった。
失礼します。
お母さんも同じだったと思います。
美智さんもほんとはどんな形でも生きててほしかった。
でも苦しんでるお父さんをずっと見てたから本人の思いを尊重してあげたかったんじゃないでしょうか。
うっうぅ…。
この間美智さん言ってました。
自分たちが抱えてるのは痛みや苦しみだけじゃない。
もうすぐこの世から消えるという恐怖と…。
どうしようもない孤独。
だから書かずにいられなかったんですよ。
あの手紙。
・あぁ…。
白鳥さん?おぉおかえりグッチー。
何やってるんですか?それ一体。
実験だよ実験。
重さは大体彼の体重と同じ。
他の流木とごっちゃにならないように印も付けた。
えっでどうするんですか?今夜9時過ぎあの入り江に置いてみる。
はぁ?ちょっと…。
このシャツいらなかったね。
何なんですか一体。
いいからしっかり持ちなよ。
重い。
ていうかさ何で台車とかそういう発想がないのかな。
白鳥さんが用意してくださいよ。
あぁ重い…はぁはぁ…。
よしよしはい降ろすよ。
えっ?降ろす…。
あぁ。
あぁ〜はぁ…。
さあ流すよせぇ〜のよいしょ。
はぁ…。
はぁはぁ…。
ここって…戸山さんの。
そう潮の流れの関係であの入り江から流されたものはこの浜にたどりつくみたいだね。
じゃあ戸山さんは?彼もあそこから流されてここに着いたんじゃないの?あの入り江なら碧翠院から直接行ける。
誰にも目撃されることなくね。
(すみれ)今日はゆっくり寝てて。
せっかく血液データも良くなってたのに。
すいません僕余計なことしたかも…。
大丈夫元気にさせてみせるから。
すみれ先生そういえば先生は螺鈿の部屋には入らないですよね。
うめさんのときも。
終末医療の専門じゃないから。
それだけですか?もしかしてすみれ先生が螺鈿の部屋に入りたくない理由何かあるんじゃないですか?何のこと言ってんの?どうもすみれ先生。
しつこいごきぶり。
皆さんを呼んでいただけますか?ちょっと大事な話があるんで。
今日は何だ?あの入り江には皆さんよく行かれるんですか?
(すみれ)入り江?地下通路を行った先の小さな入り江です。
(小百合)もう何年も行ってませんけど。
私も。
仲いいね〜。
また2人そろってうそついて。
何て答えてもそう言うくせに。
巌雄先生は?最近あそこには行かれましたか?いいや。
じゃあ天馬君君は?あれ?行ったことあるんだ。
(天馬)昔葵とよく行ったことがあるだけです。
あっそう。
(すみれ)何なの?一体。
実はあの入り江に車椅子の車輪の跡が残ってたんですよ。
それとボタンが1つ落ちてました。
警察に調べてもらったら戸山君が亡くなったときに着ていた服のボタンだったそうです。
それがどうした?車椅子というとどうしても葵君を思い出してしまうんですよね。
もしかすると立花先生と戸山君は葵君に殺されたんじゃないですか?
(小百合)戸山君は事故だったんですよね?そう結論づけたい気持ちはわからなくはないけど今の状況で事件性なしと決めつけるのはちょっと乱暴じゃないかな。
(天馬)戸山さんが亡くなった夜なら葵は俺と一緒でしたよ。
俺とすみれ先生でコテージに移したんだから。
知ってるよ。
夜の10時過ぎに車で運んだんでしょ。
(すみれ)わかってるんなら…。
戸山君の死亡推定時刻は夜の9時から12時ぐらいまでの間。
彼が殺されたのが9時だとするとあの入り江から地下通路を通って碧翠院に10時までに戻ってくる。
十分可能だよね。
ということで現段階で立花先生と戸山君を殺した犯人に一番近いのはこの世に存在しないはずの桜宮葵君です。
話はそれだけか?いやいや。
もう1つ大事なご相談が。
今後螺鈿の部屋に患者さんが入るときはあらかじめ僕を呼んでくれますか?これは厚生労働省終末期医療多面展開施策室からの指示ということでよろしくお願いします。
どういう意味ですか?あの部屋でのみとりを監視したい。
白鳥さん。
本気か?何か不都合でも?見るのは構わん。
だがあの部屋は患者と家族の最期の特別な時間のための部屋だ。
そういう場所に何の関係もない人間がずかずかと入り込んでいい本気でそう思ってんのか?患者さんのためにお断りします。
じゃあグッチーに同席してもらおうかな。
えっ?グッチーはこの碧翠院に所属している心療内科医だから螺鈿の部屋に入っても誰も文句はないよね。
実際一度みとりにも立ち会ってるし。
見られて困るものはないんですよね?田口先生が良ければ。
院長。
みとるほうにも精神的な負担がかかる。
その覚悟があるなら。
お願いします。
じゃあ決まりだ。
今後螺鈿の部屋でのみとりには必ず田口先生が同席する。
ということでよろしくねグッチー。
むちゃなこと言いますよね。
抑止力だよグッチー。
尊厳死安楽死の考え方は国によって違う。
患者の自己決定権が重んじられる海外のいくつかの国では終末期の患者の希望に沿って薬で死期を早める積極的安楽死を認めている国さえある。
でも僕は絶対に反対だね。
安楽死は決して許されるべきものじゃない。
ほんとに思ってるんですか?巌雄先生があの部屋で患者さんたちを死なせてるって。
もちろんそうじゃないことを祈ってるよ。
とにかく次があったらその目で確かめてきてよ。
あの螺鈿の部屋で何が行なわれているのかいないのか。
薫ちゃん?
(薫)こんにちは。
お母さんと来たの?お母さんは近くで待ってるって。
(薫)もうすぐ会えなくなっちゃうってほんと?それでおばあちゃんに会いにきてくれたの?うん。
覚えててくれたの?おばあちゃんのこと。
うん。
これ。
あぁ。
おばあちゃんもね同じの持ってんの。
ほら。
ほら。
(薫)ほんとだ病気苦しい?ううん。
頑張ってねおばあちゃん。
ありがと。
ありがと。
ありがと。
螺鈿の部屋って何なんだ?他の患者の話によると極楽につながる部屋だそうだ。
そこに呼んでもらえると安らかに死ねる。
はぁはぁ…。
私も呼んでもらえるのか?長く苦しむ姿を息子に見せたくない。
そのときが来たら。
それを聞いて安心した。
へっ。
次螺鈿の部屋に呼ばれるのはここの人?もし本当に安楽死なんてことをしてるとしたら僕はあんたを絶対に許さないよ。
そうか。
好きなだけ調べてくれ。
俺は俺の患者のために働くだけだ。
そういえば僕とお孫さんちょっと似てるって言ってませんでした?ちっちゃいときね。
今は全然似てないわよ。
女の子ですもんね。
当たり前じゃない何言ってんのよ。
ばかねあはははっ。
ですよね。
やめてよ。
はははっ!・「Hide&Seek」
(華緒)お薬の時間よ。
(葵)母さん。
心配かけてごめんね。
良かった。
今日は元気みたいね。
ねえどうして?何で僕を死なせてくれなかったの?そのほうがいいのに。
だって僕は…。
・ドーン!
(雷の音)大丈夫よ葵。
うっ…。
うっあぁ!
(華緒)葵?
(葵)はぁはぁ…。
葵?あぁ〜!葵。
葵葵大丈夫。
うわ〜!
(華緒)葵!あぁ〜!
(華緒)葵!
(葵)あぁ〜!あぁ〜!
(華緒)葵!葵!
(葵)うわ〜!加賀先生が螺鈿の部屋に入りました。
この機会を逃したら安楽死は暴けない。
僕が見逃したって言いたいんですか。
(天馬)華緒先生に何したんだ?
(葵)あぁ〜!
(すみれ)何があったの!?このまま処置するぞ。
あの入り江に残されていた車輪の跡は葵君の車椅子じゃない。
やめろ!
(小百合)美智さん螺鈿の部屋に行きますか?
(美智)今夜かい?
(小百合)あまり時間がないんです。
(チャンミン)僕たち東方神起が歌う主題歌「Hide&Seek」が入ったアルバム「TREE」を。
(ユンホ)抽選で10名様にプレゼントします。
ご応募待ってます。
2014/03/04(火) 22:00〜22:54
関西テレビ1
チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮 #09[字][デ]【地下迷宮トリック】
「地下迷宮トリック」
伊藤淳史 仲村トオル 栗山千明 名取裕子 水野美紀 柳葉敏郎
詳細情報
番組内容
「螺鈿の部屋」に入った患者が、皆あまりにも“理想的”に亡くなっていることに違和感を覚えた白鳥(仲村トオル)は、碧翠院で安楽死が行われているのではないかと田口(伊藤淳史)に告げる。にわかには信じがたい田口は、巌雄(柳葉敏郎)のルーツをたどるべく、かつて同じ病棟で働いていた東城医大の藤原(名取裕子)の元を訪ねる。
番組内容2
そこで、20年前に外科医として第一線で活躍しながらも過剰な延命治療に反対し、周囲とぶつかっていた巌雄の話を聞く田口。さらに、巌雄のかつての上司だった加賀(山本圭)と出会う。
その頃、姿を消した葵(山