日曜美術館 アートシーン ▽アートシーン特別編 東京国立博物館 2014.02.02

「アートシーン」です。
今回は特別編。
ここ東京国立博物館からとっておきの日本の美をご紹介します。
東京国立博物館で今「日本美術の祭典」と題した2つの特別展が開催されています。
まずはアメリカ有数の美の殿堂から。
珠玉の名画が里帰りしている「クリーブランド美術館展」です
最初にいきなり目に飛び込んでくるのが…。
もう威圧するような空気を既にこの距離から醸し出してますね。
この屏風。
恐ろしい。
長い帯をたなびかせ黒い渦を身にまとう「雷神」。
絵師の名前は分かりませんが江戸時代に描かれた名品です。
獣のような顔だち。
長く伸びた角。
鋭い爪。
その姿は野性味にあふれ怒りに満ちています
特殊な照明の効果で雷神の迫力が際立っています
圧倒的な恐ろしい存在感で迫ってくる作品ですね。
巻き上がるような風もこの辺りは感じられますもんね。
ぶわ〜っと。
背景の描写が全然無いのにそういうものまで全て感じさせるような描き方っていうのが日本の絵画の特色だと思います。
やっぱりそこに背景として文芸の歴史とか伝統とかっていうのも凝縮されてしまっていますのでそういったものもしみじみと感じ取れるような絵なんじゃないかなとは思います。
あでやかな着物に身を包む室町時代の遊女地獄太夫。
山賊にかどわかされて身を売られた悲運の美女。
現世の苦しみは前世の報いとして自ら「地獄」を名乗り地獄の様子が描かれた着物を愛用したといいます。
しかしよく見ると着物には七福神
賽の河原で楽しそうに遊ぶ子供たち。
閻魔大王もどこか優しげ
水墨の屏風と色鮮やかな着物の対比。
妖艶な魅力を引き立てています
中国で清貧な生活を送った少女霊昭女。
色みを抑えた細密な筆致。
竹籠を売り歩いて親に孝行したというその神々しさが伝わってきます
コレクションの礎を築いたのはGHQの美術顧問を務めたシャーマン・リー。
東洋美術の研究者として日本文化を深く理解し平安から明治まで時代ジャンル共に幅広く作品を収集しました
神業のような筆遣いで知られる異端の水墨画家雪村周継の「龍虎図屏風」。
雲を呼ぶ龍と風を起こす虎。
中国の水墨画にもよく見られる伝統的なテーマですが…。
よく見ると龍はどこかひょうきんな表情
虎は足をそろえて行儀良く座っています
本来でしたらやはり天候をコントロールする支配する龍であるとか虎っていうのは神々しい対象だと思うんですね。
それを中国絵画であると綿密にちょっと迫力のある厳しい姿で描くという事だと思うんですが日本だとやはりこの猫のような少し人懐っこい虎になってしまうと。
雪村の画風というのはあの波が本当に特徴的なんですがこの波の描き方っていうのはその後江戸時代に尾形光琳そのまままねていきます。
だからそういった時代を超えて影響を与えている画家でもあるんですね。
「ポニョ」のあの波みたいですよね。
生きてる波みたいですよね。
いや宮崎さんとかも高畑さんなんか絶対分かっていると思うんですけど。
あの方絵巻とかからやってますから。
宮崎さんも今のアニメーションのクリエーターも絶対に意識下の下ですけど入ってるはずなんですよ。
その形とか動きっていうのは。
デフォルメされたちょっと生きてるような手を伸ばすようなそういうちょっと擬人化されたような生命を持ったような水の動きっていうのもある意味日本的な表現なんじゃないですかね。
「伊勢物語第九段東下り」の一場面
馬を引く従者を待たせたたずんでいるのは都を離れ東へ向かう在原業平。
峠で出会った修行僧に都に残してきた妻への手紙を託し見送る場面です
山肌には5月にもかかわらず赤く色づいた蔦の葉
季節外れの紅葉が寂寥感を誘い業平の心を映し出しているかのようです
クリーブランド美術館の美術のコレクションの方法論というのがリー博士を中心にして収集された日本の文化史の文脈に沿った体系的な収集方法ですのでこの「蔦の細道図屏風」もある意味正しい理解といいますか日本の文化の中で取り上げてもらえますのでより日本の特色日本の文化の独特な在り方っていうのもアメリカでさまざまな国の方々にご覧頂けるとそういった意味があるんだと思いますね。
続いて人間国宝の技と美を堪能する展覧会です
今日はどうぞよろしくお願いいたします。
「日曜美術館」の伊東と申します。
室瀬でございます。
よろしくお願いいたします。
漆に金や銀で装飾を施す「蒔絵」の人間国宝です。
歴代104名の人間国宝の作品が一堂に会した展覧会。
陶芸や漆芸染織など古くから受け継がれてきた工芸品の数々です
これは志野茶碗。
そうですね。
この志野茶碗っていうのは桃山時代に栄えたお茶碗の一つですけども。
昭和29年の第一回伝統工芸展に出品された荒川豊蔵の志野茶碗。
荒川は美濃の山中で発見した陶器のかけらを手がかりに途絶えていた桃山様式の復興に成功しました。
独自の表現に至ったその作品は「荒川志野」と呼ばれています
やはり途絶えたものというのは誰も教えて下さいませんからやっぱりものっていう事が一つの師匠になっていくわけですよね。
残されたものが先生師匠になる。
そういう事ですね。
そのものは一つのものですから語る事はないけどもこちらから一生懸命アプローチしてそしてもう一つの世界を作っていくっていうやっぱりそれも一つの伝統のすばらしさですね。
この人形も…。
私これを見たかったんです。
これいいですよ。
平田郷陽さん。
玩具と考えられてきた人形を芸術の域に高めた平田郷陽。
娘が初孫を生んだ感動を刻み込んでいます
すごく赤ちゃんの表情が生きている感じしますよね。
赤ちゃんのあのおっぱいの香りがしてくるようなお乳の香りがしてくるような。
お母さんだったらすぐ感じられる。
ほんとにチュッてしたくなる時って顎が出るんですよね。
分かります。
いやぁ〜。
こういうものが表現できるのも人形のすばらしい世界で。
うわ〜大きいですけどデザイン形…。
しかも光を放っているように見える。
すごいでしょ。
生野祥雲齋さんという竹の作家なんですけど。
竹工芸で初めての人間国宝となった生野祥雲齋。
曲げても折れにくい竹の特性を生かし荒れ狂う大波を表現しています
現代の建築空間を強く意識し彫刻のような造形美を追求した意欲作です
あぁこちらが室瀬さん。
私の師でもある松田権六というね。
漆聖と呼ばれた松田権六。
円熟期の作品です。
箱の側面から立ち上るようにアシの上をとんぼの群れが舞っています。
青い貝殻で表したみなものような輝き
漆のさまざまな技を習得した松田は常に新しい表現を模索しました
この松田権六という人は本当にデザインっていうのをものすごく強く意識した先生で。
これまでの歴史の中では大体模様が箱全体につけられるというのが一般的な蒔絵だったんですけど一方方向からず〜っとこう流れを作ってこちらには模様をつけないっていうのは一つの今までにないデザインです。
技は本当に伝統なんですけど感覚はいつも現代を追いかけているっていう。
人間国宝の人たちは皆その時代その時代で新しい表現を見つけていくんですね。
それがまた新たな伝統として次世代につながっていくという。
日本人だからよかったなっていうのをこういうのを見ると感じます。
もうお顔に表情に表れてる室瀬さんの。
日本の匠の技をたどる展覧会
2014/02/02(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽アートシーン特別編 東京国立博物館[字]

「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」「クリーブランド美術館展―名画でたどる日本の美」(東京国立博物館 1月15日〜2月23日)

詳細情報
番組内容
「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」「クリーブランド美術館展―名画でたどる日本の美」(東京国立博物館 1月15日〜2月23日)
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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