ふるさと再生 日本の昔ばなし 2014.02.02

昔むかし江戸の町で大相撲が開かれていました。
なかでも人気だったのは年に一度各地から選ばれた力士が力を競い合う藩対抗の試合でした。
各地方の藩主は金に糸目をつけず強い力士を集めました。
藩の名誉をかけて勝敗を競うようになったのです。
しかしとある貧乏藩の殿様だけは違っていました。
う〜っ!ワッハッハ!このたびは優勝おめでとうございます。
おおこれは万年最下位殿。
おぬしの藩は優勝の味はわからんだろうが我が藩は最下位の味がわからない。
どうしたら最下位になるか教えてくだされワッハッハ!う〜っ!待て!おや。
刀に手などかけていかがいたした?ここは殿中でござるぞ。
う〜っ!じいじいはおらんか!はは〜。
このままでは我が藩の面目は丸つぶれじゃ。
もっと強い力士を雇え!はは〜。
おそれながら我が藩の財政は厳しく…。
城代に命じて強い力士をかき集めるのだ!はは〜。
国元で留守番をしている城代家老は殿からの文を受け取ると…。
殿のお気持はわかるがさりとて領民あっての藩。
力士を雇うために民に負担をしいるようなことは断じて避けねばならん。
うむどうすれば…。
殿国元より力士が参っております。
おお来たか来たか。
(石松)殿早速お目通りかなって身にあまる光栄にございます。
頭取の大城石松と申します。
(吉右衛門)力士飛鳥山吉右衛門。
(桃之丞)力士赤城山桃之丞。
(治五郎)力士鳶山治五郎。
(兵衛)力士榎木山兵衛。
(源五郎)行司の崎山源五郎。
やれやれ今年はまたやけに貧弱な力士たちじゃのう。
殿今日のところは丁重なおもてなしを。
国元からやってきた力士たちにふだんは口にできないような酒や料理が振る舞われました。
たとえ初日にこてんぱんにやられてすごすごと国へ帰ることがわかっていてもです。
そしていよいよ大相撲が始まりました。
各藩が大金を積んで集めた力士たちが勝負をする姿は迫力満点!ワッハッハッハ!そしていよいよ貧乏藩の期待を背負った力士たちの出番がきました。
(笑い声)待ったなしはっけよい!のこったのこった。
見ちゃおれん。
(ざわめき)飛鳥山!か勝ったのか?そのようでございますな。
続いて赤城山も。
はっけよいのこった!のこったのこった!やった!ななんだ!?どうなっているんだ!続いて鳶山も。
はっけよいのこった!また勝ったぞ!さあそして去年優勝した藩の最強力士の登場です。
対する貧乏藩は榎木山。
(笑い声)ああこれまでじゃ。
うちでいちばんの力士です。
負けたら銭を返してもらうぞ。
待ったなしはっけよい!のこった!のこったのこった!やった〜!
(2人)はぁ…。
この日貧乏藩は初めて全員勝ち星で優勝という快挙を成し遂げました。
何国元へ帰ったと!せっかく祝勝の用意をしたというのに早く力士たちを連れ戻せ!早かごであとを追ったのですがどこの宿場でも追いつきません。
そうこうするうちに早かごは国元に着いてしまいました。
実は今年の力士たちは途中の旅籠で全員腹を壊して戻ってきてしまったのでござる。
いやそんなはずはない。
わしはこの目でしかと見ましたぞ。
ほれこのとおりしこなも書きおいてござる。
はて?ここれは…。
これはお稲荷さんの名前でござる。
ななんと!そういえばこの10日ほどお稲荷さんののぼりが消えたといって騒ぎになっていたが昨日になって戻っていたのでござる。
お稲荷さんが力士となって江戸にのぼったというのか…。
殿様は感謝の気持を込めてそれぞれの稲荷に旗や絵馬を奉納しました。
お稲荷さんは領民の暮らしを大切にするお殿様をお助けしてくれたに違いない。
老家臣はそう思うのでした。
おばあさんがそら豆を煮ようとしていたときのこと。
水に浸したそら豆を鍋にあけようとしたはずみにそら豆が1つ庭に転がっていってしまった。
1つくらいよかろう。
ばあさんはたきつけのわらを取りに行った。
すると風が吹いて1本のわらがそら豆が転がっていったほうに飛んでいった。
1本くらいよかろう。
おばあさんはわらで火をおこしそら豆の入った鍋を炭で煮始めた。
すると知らぬ間に真っ赤な炭がコロコロ転がって庭に出ていった。
(みんな)せいや〜!鍋の中で熱い思いするとこじゃったがこりゃいい気ままに暮らせるぞ。
風の吹くまま気の向くままじゃな。
仲間がカンカン働いているというのに気楽なものじゃな。
なぁお伊勢参りに行くというのはどうじゃ?そりゃええ。
いっぺん行きたいと思うておったんじゃ。
お伊勢参りだと?仲間の代参じゃ。
俺が仲間の代わりに行くのか。
ふむそれならええかも。
よしほんじゃ出かけようじゃないか。
(みんな)ヤァーッ!というわけでそら豆とわらと炭はお伊勢参りに出かけることになった。
ああ〜っ!やめろやめてくれ!食べないで!ハハハッ!笑うことはないだろう。
こっちは必死なんだ!ハァッハァッハァッ…。
ヒィーッ!ああ〜っ!ハハハッ!そんな…。
ヒィーッ!ハハハッハハハッ!助けてやってくれ。
助けてやってくれ。
しようがねえな。
ああ怖かった。
いつ食われるか冷や冷やしたぜ。
ざまぁねえなハハハ!笑うこたないだろ!まぁ無事でよかった。
草むらに入ったって犬は来るぞ。
うるさ〜い!ああっ!どうした?こりゃ困った。
深そうだな。
それに流れも速い。
落ちたら流されるぞ!どうすんべえ。
ほんならおらの体がいちばん長えし向こう岸に届きそうだで橋になろうか。
できるのか?ど〜れ!ホントに大丈夫か?まぁ見てろや。
とりゃ〜っ!おお橋だ橋だ!よ〜し行くぞ。
わ〜っ!待て俺が先だ!なにするんだ!俺を先に渡らせろ!わ〜っ!ちゃんと渡れるか試してやろうというのだ!うまいこと言って!いいからどけ!わ〜っ!ああっ!炭がとうとう先に渡り始めてしまった。
2人いっぺんは無理だぞ。
ああわかった。
どうした?ダメだ!お前高いところが苦手か?う動けねえ!なに言うてる。
はよ渡れ熱くてたまらん。
どうした炭どんはよ渡れ。
ああ〜っ!エヘヘ!ああ〜っ!イヒヒ!ああっ…アチッ!アチッ!イーッヒッヒッヒ!切れた!アハハハ!ああ皮が皮が裂けてしもうた。
え〜んえ〜ん!するとそこにツンツンと黒糸をつけた針がやってきた。
そら豆君どうかしたのかい?皮が皮が裂けてしもうた。
そりゃ気の毒に。
うん…。
今青糸がないけど黒糸で縫ってやろうか。
これでどうじゃ。
助かりました。
そりゃよかったじゃあね。
ありがとう!そんなわけでそら豆には今でも黒い筋があるんだと。
うめえな。
いらっしゃい。
いらっしゃいまし。
ひどい吹雪やで。
あばら家じゃ風がしのげねえから逃げてきたってわけだ。
そっちこそ家ん中も吹雪で区別がつかんのやろ。
(2人)フン!親父酒!へぇ。
おいとうへんぼく。
なんやへちゃむくれ。
言っとくがいくら飲んでもいい男にはなれねえぞ。
そんでもお前よりはマシや。
この2人いっつもこんなふう。
(2人)親父もう一本。
はいはい仲よくな。
お前んとこじゃ春が来る前に食い物もなくなるんじゃねえか?なにお前んとこみたいに床板燃やして木の根っこ食ったりはせん。
フン!フン!やがて。
(2人)ごっつぉさん。
へいまいどどうも!溝に落ちるな。
助けてなんかやらねえからな。
そっちこそ足滑らして頭かち割るんやないで。
(2人)フン!1人は村の東のはずれのけやきのある家で暮らしもう1人は西のはずれのやっぱりけやきがある家に暮らしていた。
庭にけやきがあること。
酒が大好きなこと。
2人が似ていたのはそこだけだった。
どちらも貧しい暮らしだったが1日の仕事が終わるとどちらからともなく居酒屋にやってくる。
そしていつものように2本の酒を飲み終わると一緒に席を立って同じ額の勘定を払い帰っていくのだった。
やがて季節は移りまた冬が近づいたころ。
西の男が居酒屋に来ない日が何日か続いた。
あのとうへんぼく来てんのかい?うんにゃ。
あいつとうとう酒飲む銭もなくなったか。
強がりを言っても本当は心配でしようがない。
東の男はとうとう西の男を訪ねていくことにした。
やいとうへんぼく。
とうへんぼくおらんのか?なんやへちゃむくれかいな。
開けるぞ。
どうした具合でも悪いのか?たいしたことはないわ。
ろくなもん食ってねえからだろ。
なにごちそう食いすぎて腹壊しただけや。
チッ。
その日から東の男は居酒屋ではなく西のはずれの男の家に通うようになった。
粥だぞ。
またかいな。
お前にゃ上等じゃ文句言わずに食え。
どうしてそこまでするのか東の男は自分でもわからなかった。
だが看病の甲斐もなく西の男はあの世に旅立ってしまった。
いらっしゃい。
お久しぶりで。
酒ですかい?ああ1本つけてくんな。
その日はいくら飲んでも酔わないような気がした。
親父もう1本!へい。
ふう。
(とっくりが割れる音)あ〜あしようがねえな酔いつぶれちまって。
ほら起きな。
しっかりしな。
ちゃんと帰るんだぜ。
てやんでぇ。
てめえこそ。
足もと気をつけな。
酔ってはいないと思っていた。
家に向かって歩いているつもりだった。
だが吹雪の中。
時に人は同じ所をぐるぐる回ってしまうものだという。
おい!へちゃむくれ道に迷ったか。
あ!?迷っとらんわいとうへんぼく!てめえこそなんだい。
あれ!?頭にも肩にも雪積もらせてまるで地蔵さんやな。
てめえこそそんな薄着で…。
かぜひいても知らねえぞ!ひくもんかへちゃむくれ。
なにを言うかとうへんぼく!やかましいこの酔っ払い!誰が酔っ払いじゃ!飲み過ぎは体に毒じゃほどほどにな。
お前ほど飲んどらんわい。
おおい!とうへんぼく!とうへんぼく〜!いつの間にか東の男は自分の家の前に立っていた。
西の男は悪口を言いながら東の男を無事に送り届けたのだった。
東の男は西の男との友情を忘れず吹雪が吹き荒れるたびにあの晩のことを思い出したという。
2014/02/02(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]

「相撲稲荷」
「そら豆とわらと炭」
「東の男と西の男」
の3本です。お楽しみに!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ

http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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