趣味Do楽 茶の湯 裏千家“茶の湯と出会う” 第7回「濃茶」 2014.03.17

衣の油でとろみが付いておいしいですよ。
一服の茶を通じて亭主と客が心を通わせる茶の湯。
その最も重要な点前の一つが濃茶です。
最高級の茶葉から生まれる高い香りと濃厚な味わい。
一つの茶碗で飲み回し客どうしもつながりを深めます。
今回はこの濃茶の奥深さを学んでいきます。
「茶の湯裏千家茶の湯と出会う」。
第7回は「濃茶」について学んでいきます。
教えて下さるのは裏千家業躰の奈良宗久さんです。
(2人)よろしくお願いします。
第2回で客の作法を学んだ時に薄茶とともに濃茶があるという事を教えて頂きましたが濃茶ってなかなか目にかかる機会がないですよね。
そうですね。
ふだんなかなか召し上がる機会はないと思いますが正式には茶事の中に濃茶というものが含まれております。
茶事の中で例えば炭手前であるとかそういうものがいろいろとありますけれどそれはすべて濃茶のためにひたすら一心に濃茶に向かっていくというところが大きな点だと思いますね。
具体的に薄茶と濃茶どういうところが違うんでしょうか?薄茶は分かりやすくいうと泡を立てて「点てる」という言い方をしますが濃茶の場合はお茶の茶葉の中でもより貴重なものを選んでやります。
その中で濃茶は「練る」という表現をします。
その練る事によって高い香りそれから深い味わいという事が成り立つわけですね。
見た目も随分と名前のとおり濃い色をしてますね。
そうですね。
とろみがあるというか緑の鮮やかな色でそれを皆で飲むという事になります。
濃茶の点前に使う道具には薄茶とは異なるものがあります。
茶入は濃茶を入れる小さな壺です。
濃茶は貴重なものなのでその日の客の人数分だけを入れます。
仕覆は茶入を入れる袋の事。
中には数百年前に海外から渡ってきた織物で作られるなど貴重なものも数多くあります。
濃茶と薄茶では客の作法も違うんですね。
はい。
大きな違いは客どうしが回し飲みをするというところが最大のところになります。
亭主は客のためにおいしい濃茶を練るわけなんですがその濃茶を客どうしが一碗のお茶を分かち合うという事になります。
そこで客どうしが一体になる一体感が生まれるという事につながっていくわけです。
濃茶の点前の流れです。
茶道口から道具を運び出す。
この前に水指と茶入は点前座に置いておきます。
茶入や茶筅などの道具を清める。
濃茶を練る。
続いて中じまい。
正客が一口飲んだ後一旦釜の蓋を閉め柄杓と蓋置をしまいます。
しまいつけ。
客が濃茶を飲み終わった後道具を清めながら片づけます。
道具の拝見。
茶入茶杓などを客に見て頂きその後受け答えをします。
まず道具の運び出しからです。
亭主は茶道口に座りふすまを開けます。
茶碗を取り左の手のひらに載せ右手を添えます。
席に入り点前座に進みます。
水指と茶入はあらかじめ荘りつけておきます。
茶碗を仮置きします。
茶入を少し右に寄せ茶碗を茶入の左脇に置き合わせます。
次に建水を持って点前座に進みます。
炉の内隅をねらって座ります。
柄杓を取り正面で構えます。
建水の中の蓋置を取り炉の縁の右に置きます。
柄杓を持ち直し蓋置に引きます。
一礼します。
この時客も一礼。
これを主客総礼といいます。
亭主は居ずまいを正します。
亭主が点前座に座った時に主客総礼がありましたけどもあれにはどういう意味が込められてるんでしょうか?点前を始めるにいたって最初に総礼がございます。
ここで客と亭主それぞれの一体感というのが生まれるわけですね。
そして濃茶の点前がずっと続いていくという事になります。
主客総礼でも一体感が高まって更に濃茶を回し飲みする事で更に一体感が高まっていくという事なんですね。
そういう事ですね。
運び出しが終わると道具を清めます。
茶碗を膝前の少し向こう寄りに置きます。
茶入は茶碗と膝の間に置きます。
仕覆の「緒」と呼ばれるひもの結び目をほどいて引きます。
両手で仕覆の口の向こう側と手前側を広げます。
左の手のひらに載せ仕覆を右左と脱がせます。
茶入を仕覆から出します。
仕覆は形を整えてから置きます。
帛紗をさばきます。
濃茶の前には「四方さばき」というさばき方をします。
帛紗を広げ端を張り緩めて再びゆっくり張ります。
これを4回行います。
次に帛紗を三角に折り棗を清める時のようにさばきます。
茶入を取り蓋を向こう手前と「二」の字を書くように清めます。
帛紗を茶入の胴に当て茶入を回して清めます。
帛紗を下に拭き抜き茶入を置きます。
茶杓を清めた後釜の蓋を開けます。
柄杓で湯をくみ茶碗に入れます。
柄杓を構えたら釜の蓋を閉めます。
これを「中蓋」といいます。
その後茶筅通しをし茶碗も清めます。
ここまで濃茶の道具を清める所作を見てきました。
茶筅通しの前に釜の蓋を閉めるという所作がありましたが薄茶の時は釜の蓋は開いたままでしたよね?これを閉めるというのはどういう意味があるんでしょうか?一般的には濃茶の蓋を間で閉めるのを「中蓋」というふうに申し上げます。
このあとに茶筅通しがあってそれから濃茶を練るという所作に続いていくんですが…そういう意味で中蓋をしてそれからまた進んでいくという事になるわけですね。
道具を清め終わりいよいよ濃茶を練ります。
右手で茶杓を取り左手で茶入を持って蓋を開けます。
茶を三杓すくって茶碗に入れます。
茶杓は茶碗の縁に預け茶入を回しながら茶をあけきります。
茶入の口を清め指先を懐の懐紙で拭います。
茶入の蓋をして元の位置に戻します。
茶杓で茶碗の中の茶をさばきます。
茶を払い茶入の上に戻します。
柄杓を取り構えたら釜の蓋を開けます。
柄杓を持ち替えて湯をくみ茶碗に入れます。
残りの湯は釜に戻します。
茶筅を取り茶と湯をなじませます。
よく練り合わせます。
茶筅を茶碗に預けてもう一度湯をくみます。
湯を穂先にかけながら適量注ぎます。
飲みやすい濃さになるよう調えます。
「の」の字を書くようにして茶筅を引き上げます。
茶碗を取り手前へ二度ほど回し正面を客に向けて出します。
艶のある濃茶が練り上がりました。
薄茶は茶筅を前後に振るようにして素早く動かしていましたが濃茶は少し違っていましたね。
濃茶は薄茶のように泡を立てないという事が大事になります。
ですから前後に大きく速く動かすわけではなくて……という事が濃茶の練り方の大事な事かと思います。
ここからは濃茶を頂く客の作法を学びます。
正客が茶碗を頂いたら客はそろって一礼します。
茶碗を取り押しいただきます。
茶碗を二度ほど回して正面をよけ一口頂きます。
おいしくちょうだいしております。
続けて二口半ほど頂きます。
飲み終えたら懐中から茶巾を取り出します。
飲み口を清めます。
茶碗の正面を戻したら正客と次客は向かい合います。
茶碗を手渡しで送り正客は送り礼次客は受け礼をします。
次客も正客と同様に頂きます。
それでは私がちょうだいしましたお茶を濃茶を次客の牛田さんの方にお渡しします。
まず持ち上げますので一ひざ…ひざ一つ分ですね客どうしが向き合うような姿になります。
それでこのように両手でお送りしますのでそのように両手で取るようにしましてこのように送ります。
それぞれまた正面に戻りまして私は茶碗を今送りましたので送り礼という事をします。
牛田さんの方は受け礼感謝するという事でおじぎをします。
今度右手で持ち替えまして薄茶と同じように右手で二度ほど時計回し右回しをしまして持ち替えてどうぞゆっくり一口ずつお召し上がり下さい。
何も言わずに頂いていいんですか?そうですね。
先ほどもう受け礼をなさってますから。
ゆっくり一口ずつ召し上がって下さい。
色がとても濃いので渋いのかなと思いましたけども口に含んでみるととても甘いですね。
そうですね。
では残りも頂きます。
どうぞ。
初めての濃茶でしたがいかがでしたか?一口目二口目と頂いていくごとにうまみを感じました。
とてもおいしかったです。
そうですか。
亭主は客のために心のこもった濃茶を練るわけです。
ですから客はそれを感じながら……という事が大事かと思いますね。
濃茶を回し飲みする時にはどんな事を気をつければいいんでしょうか?客は数人連客としておりますので……という事が大事になってきます。
その中にも…ここで濃茶について茶の湯の歴史に詳しい筒井紘一さんにお話を伺います。
今のような形で濃茶と薄茶を頂くようになったのはいつごろからなんでしょうか?天王寺屋会記という本がありましてこれは天文17年という1548年の時から始まるんです。
その一番最初の記録の中に「茶」というのと「薄茶」というのと2つに分かれて記録されてます。
ですから記録の最初がそこですのでそれ以前からあったのは間違いないんですけど…どうしてこのように分かれていったんですか?茶壺の中にお茶を入れます。
袋に入れるのが一つありましてそれを白袋という白い袋に入れますので。
それをいくつか入れるんです。
その周りに詰茶というのを詰めていきます。
すなわち袋に入ったお茶が乾燥しないように詰茶というのを入れていくんですね。
多分それ以前はその袋のお茶しか飲まなかったのか分かりませんが飲んでいたんです。
ところが周りのお茶も飲めるじゃないかと思ったのかどうか分かりません。
とにかく1500年代に入ってきますと袋のお茶と周りの詰茶と分けて飲まれるようになっていったんだと思うんですね。
その袋のお茶が今の濃茶周りの詰められている部分が薄茶。
そうなんです。
濃茶はいつごろから飲み回すようになったんでしょうか?天正14年という年に初めて記録が出てまいります。
利休の切腹の5年前ですがそれまでは全て1人ずつ点てて飲んでたんですね濃茶も薄茶も。
濃茶を点てて…皆さんはお忙しい方々でまだ戦いに出なければいけない事もあるだろうしいつ呼ばれるともかぎらないので大服に点てますのでそれを皆様で飲み回しをして下さいというところから始まったというふうに出てくるんです。
その当時の亭主の思いやりですねそれね。
そうですね。
利休の客に対する思いやりであると同時に意識の中にはお酒いわゆる杯を回すようにお茶も一味同心といいますけれどそういうふうな意識もあったのかもしれません。
濃茶と薄茶の違いについて道具の違いや所作の違いなどさまざまな面から見てきましたけども頂く時の雰囲気も随分と違うようですね。
そうですね。
濃茶というのが茶事の中では一番大事な事になってまいります。
亭主はそれに向かっていきます。
客も濃茶というものに向かっていくわけなんですがそうする事によって自然と…それと逆に薄茶というのは…次回そうした流れを含めた茶事に参加させて頂けるという事で今からとても楽しみにしています。
今回もありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/03/17(月) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 裏千家“茶の湯と出会う” 第7回「濃茶」[解][字]

千利休以来、受けつがれてきた裏千家の茶の湯を学ぶ8回のシリーズ。第7回は、最も重要な点前のひとつ、濃茶の基本を学ぶ。さらに濃茶の歴史についても専門家に伺う。

詳細情報
番組内容
一服の茶に「もてなし」の心をこめるという、400年あまりにわたって受け継がれてきた茶の湯。8回のシリーズで、千利休の伝統を受け継ぐ裏千家の茶の湯を学ぶ。第7回では、茶の湯における最も重要な点前のひとつ、濃茶の基本を伝える。「回し飲み」をし、亭主と客、客どうしの一体感を高める濃茶。濃茶と薄茶の違い、濃茶を練る際の点前、濃茶を回し飲む客の作法も学ぶ。さらに、濃茶の歴史についても専門家の話を聞く。
出演者
【出演】裏千家業躰…奈良宗久,茶道資料館副館長…筒井紘一,牛田茉友

ジャンル :
趣味/教育 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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