3度目の冬を迎えようとしている被災地
工事現場の音が聞こえるんですけれどこう見てるとまだまだ難しいという感じがします。
2年8か月たってもいまだ先が見えない生活再建への道
中でもとりわけ困難を抱えて暮らす人たちがいます
自力で再建できた人たちが次々と仮設住宅から出ていく中高齢の人や障害のある人たちは先の見えない避難生活を続けていました
原発事故によって多くの人が避難した福島県の沿岸部
新たに心の病を患う人が相次いでいます
そして被災地の子どもたち。
避難生活が長引く中子どもたちの学ぶ環境は悪化
狭い仮設住宅では勉強に打ち込める場所がありません
更に親子の関係がうまくいかなくなり虐待につながるケースも起きています
誰もが取り残される事なく暮らしを再建するために何が必要なのか
第1回は復興の将来を担う子どもたちについて考えます
震災で7,000戸あった家屋のおよそ半分が被災しました
ゾンタハウス…ここですね。
私が訪ねたのは子どもたちの学習を支援している施設ゾンタハウスです
こんにちは。
(一同)こんにちは。
国際団体からの寄付で震災の年の9月から運営しています
2階に上がると学習室。
震災で多くの子どもたちが勉強に集中できる場所を失いました。
分からないところがあれば地域の大人たちが教えてくれます。
仮設住宅で暮らす子どもたちにとって宿題や受験勉強ができる貴重な場となっています
ほとんど毎日です。
家よりこっちの方が集中できるみたいな…。
震災の影響でみんなが忙しくてそんな勉強ができなかった…。
勉強がやっぱりやりやすくて家よりも勉強がはかどるなと思います。
ここを立ち上げたのは被災地の子どもを支援している…
子どもたちの学習の状況に強い危機感を持っています
子どもたちの学習環境が悪化する原因の一つそれが経済的な問題です。
今被災地では多くの家庭がこの問題に直面しています
宮城県石巻市に住む…
高校受験を控えた中学3年生です
自宅は津波で流され今仮設住宅で暮らしています
亮君には悩んでいる事があります。
それは勉強に集中できる場所がない事です
毎日学校から帰ってくるとまずするのが机と座椅子の用意
仮設住宅に引っ越して2年。
この小さな机が亮君にとって唯一の勉強スペースです
亮君は母親と兄の3人暮らし。
仮設住宅にはこの手前と奥の2間しかないため勉強机を置く場所がありません
こちらは高校2年の兄が僅かに作り上げた勉強場所
母親の浩子さんは弁当の配達の仕事で一家の暮らしを支えています。
子どもに勉強できる環境を与えたいと思っていますが自宅再建のめどは立たず塾に通わせる事もままなりません
午後8時亮君が勉強道具を移動させ始めました
向かった先は壁を取り払ってつなげた隣のうち。
こちらには祖父母と叔母の3人が暮らしています
母親は弁当の配達のため早い時には午前2時に家を出ます。
母の眠りを妨げず勉強を続けるにはここを間借りするしかありません
受験勉強に取り組みたい亮君。
今の家の事情を考えるとわがままは言えないと感じています
仮設住宅から出ても子どもの学習環境が全て改善される訳ではありません。
津波で沿岸部が大きな被害を受けた…
高台には自宅を再建した被災者の真新しい家が建ち並んでいます
今年5月家を再建し仮設住宅を出た飯岡さん一家です
あっくんお代わりいい?いいよ今日は…。
今日はいい?フフフ…。
食欲がない。
家族は4人。
共働きの両親と中学2年生の長男そして高校2年生の長女です
父親の康信さんが家の再建を決意したのは狭い仮設住宅での暮らしに限界を感じたからでした
しかし家を建てた事で新たな悩みを抱えました。
子ども2人を進学させる資金が足りなくなったのです
康信さんはもともと地元で3代続く商店の経営者。
二十歳の時に店を引き継ぎました
その店は津波で隣にあった自宅と共に全壊。
仕事も住まいも同時に失いました
康信さんは新たな仕事探しに奔走。
ようやく見つかったのは県の臨時職員でした。
しかし契約は半年ごとの更新。
収入も激減しました
長女で高校2年生の…
今新しい部屋で将来の夢に向けて勉強に励んでいます
将来は看護師になりたいと思っています
岩手の傾向として進学校はみんなどこも…。
その夢をかなえるためにはどこに進学したらいいか。
大学の資料を取り寄せ調べ始めています
(取材者)いいね。
いい夢だね。
飯岡さん夫婦は子どもたちの将来を考え進学のための資金を積み立てていました。
そのお金は自宅の再建のため取り崩しました
(ため息)
震災によって見通しが立たなくなった家族の将来。
元に戻す手だては見つかっていません
子どもの学習環境に影を落とす経済的な問題。
今資金を直接援助しようという動きも始まっています。
企業などの寄付で運営されている…
ここでは寄付を元手に教育機関で使えるクーポン券を発行しています。
1人当たり年間25万円。
塾や予備校などで利用する事ができます
被災した事による経済難が将来子どもたちの間に格差を生み出しかねないと懸念しています
仮設住宅で勉強する場所がなく困っていた…
今年6月からチャンス・フォー・チルドレンの支援を受けられるようになりました。
週に2回塾に通い受験勉強に励んでいます
仮設住宅では得る事のできない貴重な時間です
チャンス・フォー・チルドレンには今年度は1,200人から支援の申し込みがありました。
しかし資金には限りがあり支援を実現できたのはそのうちの97人にとどまりました
ホントに経済的な問題がありながらもでもやっぱり子どもの夢はかなえさせたいっていう気持ちがあってホントに難しい問題ですよね。
震災後2年半たって大人たちは少しずつ復興に向けて働く場だとかあるいは住居の整備だとかいろんな事の方向性をそれぞれの家庭で決めて動き出してる訳ですね。
ただその事と子どもの教育あるいは学習の環境をどう整備していくのかという事…。
これはなかなかイコールにならない場合がある。
子どもにとってはどんな影響があるんでしょうか?これはホントに自然災害ですから誰も恨む事ができない。
やっぱり誰も責める事ができないとある意味では自分を責めるあるいは自分自身が悪いんじゃないかとかあるいは自分自身さえ我慢すればいいんじゃないかと思ってしまいがちになるので時には引きこもるとかあるいは時には心を病んでいく子どもたちもいますし…。
震災が子どもたちの心に与えた影響。
各地の学習支援の現場では対応が難しいケースも出始めています
(取材者)こんばんは。
こんばんは。
石巻市にある公民館。
ここで週に1度地元の大学生が中心になって学習支援を行っています
震災直後から活動を続ける…
この公民館をはじめ8か所でおよそ120人の子どもたちを支援しています
最近になってスタッフは仮設住宅で暮らす子どもたちと触れ合う中で胸の内に抱えた思いを耳にするようになりました
ある子どもは急にスタッフの大学生に対して無理を言って困らせる事が多くなっていました
家庭の様子を聞くと仮設で一緒に暮らしている母親と祖母の仲が悪い事に悩んでいました
更に虐待と思われるケースもありました。
ある子どもは雑談中突然「お父さんに殴られた」とつぶやきました
実際虐待やDVの数というのは増えているんでしょうか?かなり被災地は増えていますね。
ホントに驚く訳ですけれども被災の大きかった例えば宮城県あるいは放射能問題でまだ非常に大きな問題を別に抱えてしまっている福島ここの2県を中心として子どもへの虐待とかあるいは不登校も非常に増えてきてるっていう報告も出てきているんですね。
虐待が増えていると…。
これはどんな背景があるんでしょうか?やっぱり疲れが出てきてそしてその疲れの中でお互いの事を配慮できなくなっていく…。
例えば大人であれば子どもを育てていく責任を持っている存在であるという事。
子どもであれば自分の夢に向かって成長発達していくという事に希望が見いだせなくなった時にそこでぶつかり合って虐待っていうものが起きていく訳ですね。
それからもう一つはもしこういった家庭が壊れた場合にそのあとに代わるものというのは何かって言ったら地域がその家庭に代わって例えば友達だとかあるいは近所のおじいちゃんやおばさんやあるいは友達たちがそれを支えてくれていたものがそういうものが全部壊れちゃったのがこの震災ですね。
そういう意味で非常にそれぞれの家庭が孤立してきているという中でなかなか子どもと今の大人たちの状況の中でそういった暴力的状況をとどめるという力が働きにくくなってきている。
そういう意味で自己責任を問えない子どもたちであるからこそこの時期を丁寧に大人にしていくための支援をするという事が今ものすごく大事。
森田さんが立ち上げたゾンタハウスでは子どもたちが安心して過ごせる居場所作りを進めています
ああ疲れた。
勉強させられた。
ハハハ!
担い手になっているのは地元の大人たち。
目指しているのは震災前のように地域のみんなで子どもを育てるコミュニティーの再建です。
そのための工夫の一つが軽食コーナー。
母親たちがトーストやサンドイッチを手作りし子どもたちに無料で振る舞っています
学校帰りの子どもたちが立ち寄るようになりゾンタハウスをきっかけにかつての地域のつながりがよみがえってきています
このゾンタハウスの一番大事にしてるところはドアを入ってきて「お帰り」っていうふうに言ってくれる地元のおかあさんたちなんですね。
帰る時はおとうさん代わりの方が夜は来て下さっていてそしてその地元の方が「また元気にしてるんだよ。
悪い事するなよ」って言って送り出して下さる訳ですよね。
その地元のよき大人たちが「お帰りまたおいでね」って言ってくれるっていうその関係性がやっぱり中学生たちを育てていく。
高校生たちを育てていくんですね。
この中高校生たちは数年後にはもう大人になる。
復興の主体になっていかなきゃいけない特に地域の担い手にならなければならない子たちなんですね。
この子たちに残り少ない子どもの時期をどう丁寧に家庭に代わって社会がきちんとこの子たちに大人になるための自信と安心をつけるそういったチャンスを提供できるか。
そういう意味で私は中高校生っていうのを今この福祉の政策対象ではなかった訳なんですが少なくとも被災地では待ったなしにこの子たちに光を当てなきゃいけないというふうに思うんですね。
東日本大震災から2年8か月
子どもたちは今日も被災地と呼ばれるようになったふるさとで過ごしています
その成長を見守り支援し続ける事こそが復興を願う私たちの役目だと感じます
2014/03/17(月) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ 被災地の福祉はいま(1)▽居場所を失う子どもたち[字][再]
東日本大震災の被災地の福祉を検証するシリーズ。第1回は「居場所を失う子どもたち」。復興に励む大人たちの陰で悩みを抱え行き詰まる子どもたちの課題と支援策を考える。
詳細情報
番組内容
東日本大震災の被災地での福祉の現状を検証する特集シリーズ。第1回は「居場所を失う子どもたち」。被災地では子どもの学習環境が悪化している。狭い仮設住宅で机の置き場はなく、働く親を気遣って夜に電気をつけて勉強できないという受験前の中学生。家計が苦しく進学をあきらめざるをえないケースもある。さらに、長引く避難生活の中で、虐待も増加している。子どもたちの今をみつめ、支援の在り方を考える。
出演者
【出演】東洋大学社会学部社会福祉学科教授…森田明美,【キャスター】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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サンプリングレート : 48kHz
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