(幸)今日から旅館で女将修業をさせていただきます。
(幸)大女将。
よろしくお願いいたします。
春近いかぐらやではかわいらしい女将が誕生しようとしておりました
そんな幸の初めてお世話するお客さまは大女将の幼なじみ
(志乃)一緒によう遊んだもんや。
三つ編みの似合うクラスで一番優しいておしとやかで誰にでも親切な子やった。
ですがやって来た幼なじみの客は…
お久しぶりでございます。
工藤ミヨさま。
(ミヨ)志乃ちゃんか?はい。
あんた老けたなぁ。
はっ?どこにやったんやろ?
(照子)あっ?大女将。
ああ。
(照子)何かお捜しで?手まりや。
小学校のころにいつも遊んどった加賀てまりを見ながらミヨちゃんと昔話をして懐かしもうと思うてね。
(照子)ああ。
ゆうべ歌うてらした『お駒さん才三さん』の手まり遊びですね。
ほうや。
もう60年も前のことなんにまだ歌までちゃんと覚えとったやなんて。
フフフ…。
・「お駒さん才三さんたばこの煙は十八丁十八丁」いいですね。
ほんな懐かしいいい思い出をお持ちで。
ホントに心の宝や。
いやまあほやけどどこにしもうたんやろ?あの手まり。
最後に見たんはどこやったかいな?
(奈緒子)お墓参りはいかがでしたか?
(ミヨ)ハァー。
気持ちがすっきりしました。
何せ小学生のときに父親の転勤で福岡へ行ったきり一度もお参りに来られんかったさかいね。
(奈緒子)ああ。
そうでございましたか。
じゃあホントに60年ぶりの金沢なんですね。
私の世話は幸ちゃんに頼んだのに何であんたが?あっ。
幸ちゃんはまだ学校から帰ってきてませんので。
その間は私が。
しゃあないね。
嫁は好かんけど。
あのう。
何かお心にたまってるものがあるのなら私でよければ何でもお聞きしますが。
はっ?息子さんご夫婦と同居とお伺いしてもしかしてお嫁さんのことで何かお悩みがあるんじゃ?嫁?もうホントどこの家庭でも嫁と姑の同居には問題が付き物ですから。
私のとこはそんなことは…。
もういいんですよ。
お隠しにならなくても。
実はうちにもあるんです。
まあ旅館では何とかうまくやっていますが母屋に戻ればそこは嫁と姑。
なかなか大変で。
東京からこちらに来たばかりのころはえんじょもんの嫁と呼ばれもうよそ者だってまともに相手にもされませんでしたから。
ホントにあのころは旅館では女将修業の指導を受け家では嫁としての指導を受けこの身が持つかどうかと。
《指導!》やっぱりね。
あっ。
ですが嫁の立場として工藤さまのお嫁さんの肩を持とうというのではなく工藤さまのお姑さんとしてのお気持ちをお聞きして少しでも心を軽くしていただければと。
・
(照子)失礼いたします。
(照子)工藤さま。
大女将が今子供のころ遊んだ加賀てまりを捜しております。
(ミヨ)えっ?見つかりしだいお持ちするのでしばらくお待ちくださいとのことでございます。
そんなわざわざ。
志乃ちゃんも忙しいやろに。
ほんなお気をお使いにならずに。
大女将ももう一度2人で一緒に歌を歌いながら手まりをついてみたいそうでございます。
そうか。
手まりを…。
(照子)また余計なことを話してましたね。
嫁と姑がどうしたこうした。
あれはこちらの話をすれば工藤さまも話しやすくなるんじゃないかと思って。
きっとお嫁さんとのことで相当ストレスがおありになるんですよ。
私のことも嫁は好かんと言ってお世話すると不機嫌になられるくらいですから。
もうたとえほうやとしても身内のもめ事をお客さまにしゃべるやなんて。
そもそもほんなもめ事になるのはあんたさんがいつも余計なことをしたりするからやないですか。
ほんなことせんかったら大女将も…。
やっぱりおかしいですよね。
何がおかしいんですか?私はホントのことをしゃべっとるだけで。
手まりの話になると何か工藤さまの様子がおかしくなられて。
ちょっと。
そ…。
奈緒子さん。
(幸)ただいま。
おかえりなさい。
幸ちゃん。
おばあちゃんいる?ちょっと教えてもらいたいんだ。
えっ?手まり遊び。
ミヨちゃんの子供のころの一番懐かしい思い出なんだから幸も一緒に手まりで遊べるようにってね。
さすが大女将の孫ね。
ちゃんと考えてるんだ。
お客さまのこと。
うん。
それに幸がこのかぐらやで一番最初にお世話するお客さまなんだから。
ミヨちゃんは。
ちゃんとおもてなししないと。
おもてなしね。
うん。
(幸・志乃)・「二羽の雀は見物なさる」・「三羽の雀は男にとられて仲良くちょいと隠す」まあだいたいほれでいいが。
(瑠璃子)へえー。
座ったまんまなんですね。
昔は糸手まりだったからどんなに弾ませても腰までは届かなかったんだって。
ほれでね。
(幸)うん。
「ちょいと隠す」のとこはねこうやって。
・「ちょいと隠す」ってこうやって前垂…。
この前垂れの下に隠すんや。
(幸)うん。
やってみるか?
(幸)うん。
・「隠す」
(幸)こう…。
ああああ。
フフフ。
やっぱりゴムまりやと弾み過ぎて難しいね。
(幸)うん。
まだ昔の手まりは見つからないんですか?ほうなんや。
もう一遍捜してみるけどね。
やっぱりあれやないと興が出んわ。
昔はみんな持ってたんですよね?うん。
金沢の女の子やったらみんな持っとった。
うん…。
(菊)ありました。
これでいいですかいね?うわぁ。
よかった。
いや。
金沢の女の子って聞いて確か菊さんも昔は女の…。
(菊)えっ?あっ。
いえ。
いや。
ありがとうございます。
わぁ。
奇麗な模様ですね。
ああ。
刺しゅうも見事だし。
もうくたびれとりますけど。
ほやけど当時はほれは色鮮やかでこの手まりをついとるとみんなに貸してほしいってせがまれました。
へえー。
手まりは女の子の憧れだったんでしょうね。
もちろんです。
いっつも私と志乃さんの手まりが1・2を争うたもんです。
大女将の手まりもそんなに?かなりいいもんやったはずや。
私の手まりにはかないませんでしたけど。
そうですよね。
フフフ…。
(咲子)ホントにお言葉に甘えて1週間近くもお休みを頂いて申し訳ありませんでした。
いいのいいの。
元気になってくれれば。
(今日子)へえー。
加賀てまりって芯に細かくちぎった布団綿を使って少しでも跳ねる工夫をしてたんだって。
えっ?ちょっと。
どれどれどれどれ。
「前田家3代藩主利常公にお輿入れした幼い珠姫のために作られた」って。
へえー。
じゃあ江戸時代から続く金沢の女の子たちの遊びだったのね。
(今日子)華やかな遊びね。
ねえー。
・
(戸の開く音)
(咲子)あっ。
いらっしゃいませ。
こちらのお席どうぞ。
ねえ。
俊平さん。
咲子さんに会いにここに来たでしょ?
(今日子)来たわよ。
でもね…。
いやもうかわいそうで言えない。
えっ?何かあったの?俊平さんあんなに勇気を振り絞ってデートに誘ったのに。
(咲子)《俊平さんとはかぐらやの先輩後輩の関係だと思っています》
(俊平)《えっ?》《デートをする間柄ではありません》
(今日子)《暇つぶし?》
(咲子)《はい》《俊平さんは老舗旅館のご長男です》《私みたいな一介の仲居とデートがしたいなんて暇つぶし以外の何でもないんです》
(今日子)俊平さんあれじゃもう二度と誘えないどころか立ち直れないんじゃないかって心配よ。
えっ…。
(女性)何かお薦めありますか?抹茶パフェなんておいしいですよ。
(女性)抹茶パフェ?はい。
(女性)おいしそう。
(増岡)ボンチ。
大丈夫ですか?
(俊平)今はまだ夕方か?
(増岡)はい?
(俊平)長い一日だな。
もう半年ぐらい過ぎた気がする。
あいやぁ。
ボンチ何を言ってるのか。
気を確かに。
俊平さん。
(俊平)今日は帰ります。
早退させてください。
あしたからは心を切り替えて一生懸命働きますので今日だけは一人にならせてください。
一人で思いっ切り泣きたい気持ちなんです。
今日子から聞いたわ。
私女の子は花をもらうとうれしいものよなんて無責任なこと言って。
俊平さんにつらい思いをさせてしまったわね。
いいえ。
言ってもらえてよかったです。
咲子さんの本心が分かりましたから。
泣きたい気分だなんて言って男として恥ずかしいです。
すいません。
泣き事言って。
それではお先に失礼します。
男は涙を流した分だけ成長するわよ。
はい。
ありがとうございます。
どうぞ。
(ミヨ)この中におみくじが入っとるお菓子やろ?ああ。
子供のころ運試しやいうてようこれを引いて占ってました。
今でもちゃんと金沢のお菓子として残ってるんですよ。
懐かしいね。
ああ。
・
(幸)失礼します。
はい。
(ミヨ)その手まりは?お菊さんからお借りしてきたんです。
それで食事の前に幸ちゃんがお見せしたいと。
・「お駒さん才三さん」
(ミヨ・幸)・「たばこの煙が十八丁十八丁」
(2人)《・「裏のおせどの千本桜に」》《・「雀が三羽とうまったとうまった」》
(ミヨ・幸)・「一羽の雀はお嫁入りなさる」・「二羽の雀は見物なさる」・「三羽の雀…」工藤さま。
どうなさいました?
(幸)ミヨちゃん?
(ミヨ)懐かしい思い出だけやないんや。
この手まり遊びは。
えっ?私は志乃ちゃんに合わせる顔がないんや。
工藤さま。
何かご事情がおありなんですね?手まりのお話をなさるときいつも様子がおかしくなられていたので何かあるのではないかと。
(幸)ミヨちゃん。
話して。
私とミヨちゃんは友達だって言ってくれたよね?だったら友達として話してみて。
幸ちゃん。
工藤さま。
昔大女将と手まりのことで何かあったんですか?そうなの?ミヨちゃん。
あのころ志乃ちゃんの手まりはそれは色鮮やかで一番奇麗やった。
私は志乃ちゃんの手まりで遊びたあて志乃ちゃんに黙って手まりを借りたんや。
そしてそのまま返せず福岡へ転校してしもうた。
返そう思うても引っ越しのどさくさに紛れて手まりをなくしてしもうたんや。
盗んだもおんなじことや。
何度も志乃ちゃんに手紙でそのこと謝ろうとした。
けど許してくれんかもしれん。
たとえ許してくれてももう友達として思うてくれんようになるんやないかて今まで言えんかったんや。
けど私ももう年や。
あの世にまで持っていきとうなくてそれで今回謝りに来たんです。
でもここへ来てもどうしても正直に言えん自分がおるんや。
情けない話や。
(幸)この手まりの思い出がミヨちゃんの一番つらい思い出だったなんて。
うん。
60年の長い間ずっと後悔し続けてきたんだろうね。
そうね。
何とかしてさしあげたいけど大女将に何てお話ししたらいいのか。
大女将のことだからそんな昔のこと水に流すとおっしゃるでしょうけどでもやっぱり何か引っ掛かるものが残るかもしれないし。
ここは正直が一番。
えっ?本当のことを大女将に話すのが一番いいに決まってます。
出たね。
愛想のある度胸。
そうね。
幸ちゃんの言うとおりね。
えーっ?ああ…。
ないな。
こっちは?大女将。
ああ。
まだ見つからんがや。
あの手まり。
ああ。
そのことなんですが。
うん。
大女将。
大女将にお客さまの工藤さまのことで大事なお話があります。
えっ?工藤さまがこの金沢におみえになられたのは大女将に会うためだったんです。
会って謝るためなんです。
謝る?
(幸)工藤さまこの金沢に大女将に会いに来ることすごく勇気がいったと思うんです。
事情は分かりました。
幸は工藤さまのお世話に戻ってたい。
ではあのう。
工藤さまに手まりのことは何と?うーん。
後ほど私がお伺いしますと伝えてたい。
あっ。
はい。
うん。
大女将。
どうされるおつもりで?ミヨちゃんが私の手まりを盗んだやなんて。
ほれを60年もの間隠しとったやなんて。
ハァー。
悪いがは私です。
全て私のせいや。
えっ?大女将のせいって?あのころ町で一番奇麗な手まりを親に買うてもろうたんや。
ほの加賀てまりでいつも友達と遊んどった。
奇麗な加賀てまりは女の子の憧れやった。
ほやさかい私の中にも子供心にも友達に自慢したいという思いがあったんや。
ほんな浅はかな思いが大事な友達につらい思い出をつくらせてしもうた。
謝らないかんがは私の方や。
大女将。
ほやけどおかしいね。
うん?引っ越しのときにあの手まりをなくしたやなんて。
あの手まりをこの蔵にしもうたという記憶が何となくあるんや。
えっ?
(哲)桑の間汁物お願いします。
(一同)はい。
(健太)椿の間の造りもお願いします。
(一同)はい。
ただ今!
(辰夫)どうしたんや?せっかくのおわんが冷めてしまうやないか。
(照子)はい。
今すぐお運びいたします。
もう咲子さんがいない上に俊平さんまで早退してしもうやなんて。
(増岡)申し訳ございません。
(照子)えっ?今日は早退したボンチの代わりにこの増岡が仲居仕事務めさせていただきます。
何とぞお許しを。
(照子)えっ?ちょっ…。
(増岡)えーと。
ほれでこの汁物どのお部屋にお運びすればよろしいので?
(照子)いえ。
桑の間ですけど。
お膳は運べてもお客さまにお出しするのは無理です。
順序やタイミングがありますさかい。
(増岡)かつては柿沼でお運びをさせていただいたこともございます。
この増岡にお任せを。
(照子)いや。
ちょっ…。
(増岡)いや。
大丈夫でございます。
(照子)ちょっ。
ま…増岡さん。
(増岡)金沢の冬の味が詰まったつみれ汁でございます。
さあどうぞお召し上がりくださいませ。
(女性たち)いただきます。
すごい。
わぁすごい。
美川の港でけさ水揚げされたイワシをかぐらやの板長が心を込めて調理した一品でございます。
さあさあ。
お熱いうちにどうぞ。
(女性たち)いただきます。
うん。
おいしい。
(ミヨ)志乃ちゃん後で来る言うたんやね?
(幸)はい。
(ミヨ)けど…。
来てくれんかもしれんね。
(幸)ごめんなさい。
幸が全部話したから。
幸の言い方がよくなかったのかもしれません。
(ミヨ)ううん。
幸ちゃんは何にも悪いことはない。
勇気がなくてぐずぐずしてる私の代わりに言うてくれたんや。
けど。
(ミヨ)いいんや。
ありがとう。
幸ちゃん。
ミヨちゃん。
(瑠璃子)あっ。
照子さん。
(照子)あっ。
(瑠璃子)大女将と奈緒子さんは?ほれがまだ蔵の方に。
(瑠璃子)えっ?いったいどこにしまわれたんですか?もうほれが分からんさかい今日一日こうして捜しとるんやないかいね。
もう早く見つけないと。
日も暮れたというのに。
ほんなこともう分かっとります。
もうホントにもう。
文句の多い嫁や。
文句言わんと黙って捜すまっし。
嫁の分際で。
ここは旅館の蔵の中。
母屋ならともかくここで嫁呼ばわりされるのは心外です。
ほれが嫁の減らず口というんや。
じゃあ言わせてもらいますけどお母さんこそ姑の減らず口ですよね?何やて?ようもほんなこと。
この旅館の蔵の中で大女将の私に向こうて。
先に旅館の蔵の中で嫁扱いしたのはお母さんの方じゃありませんか。
おかしなこと言うさかいや。
何か私間違ったこと言ってます?全部間違っとるわ。
それ…。
おか…お母さんの記憶が間違ってるんですよ。
記憶?手まりどこですか?ほれを捜しとるんやろ。
そうですね。
2014/02/17(月) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #31[字][デ]【探し物 出演:羽田美智子 野際陽子】
女将襲名に向け着々と準備を進める奈緒子(羽田美智子)だが、襲名披露の着物のことで再び志乃(野際陽子)と険悪な状態に。一方、照子(烏丸せつこ)はある悩みを抱え…。
詳細情報
番組内容
志乃(野際陽子)は、幼なじみのミヨ(茅島成美)が小学生の頃に一緒に楽しんだ加賀手まり遊びを懐かしがっていると知り、蔵にしまった手まりを探すがどこにもなくて…。
当のミヨは奈緒子(羽田美智子)や幸(木村真那月)から、志乃が思い出の手まりを探していると聞き、顔を曇らせる。
番組内容2
奈緒子は“良き思い出”のはずの手まりの話題が出るたび、ミヨが暗い表情になることが気になっていたが、幸が借り物の加賀手まりを見せるとミヨはなぜか涙を流し始める。
ミヨが60年ぶりに金沢を訪れた本当の理由を奈緒子から聞いた志乃は…。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
松本咲子:田中こなつ
柿沼俊平:鈴之助
藤沢瑠璃子:里久鳴祐果
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
谷本照子:烏丸せつこ
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:新村良二
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:Do As Infinity「風花便り」(avex trax)
エンディングテーマ:SOLIDEMO「Next to you」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】http://tokai−tv.com/hanayome3/、昼ドラ公式ツイッターアカウント@hirudoraTokaitv、LINEアカウント@hirudora、YouTube東海テレビ公式チャンネルも好評配信中!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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