それは世界最強国への扉を開いた瞬間だった。
(実況)トリプルアクセル。
決まった!オリンピックの歴史に初めて女子が刻んだ大技トリプルアクセル。
しかしそのオリンピック伊藤みどりはどん底の状態にあった。
ジャンプを次々とミス。
(実況)トリプルアクセル。
あっ失敗。
メダル圏外に沈んでいた。
ああやっちゃったっていうのがありましたね。
だが伊藤は諦めていなかった。
このジャンプが決まった事によって実は…その陰には常識を覆すプログラム構成があった。
残り1分。
もはや跳ぶ力は限界に達していた。
その時…。
高々と舞う完璧なジャンプ。
トリプルアクセル成功した瞬間一番驚いていたのは周りでもなく…女子フィギュアスケートに新たな時代をもたらした銀メダル。
起死回生のトリプルアクセルはなぜ生まれたのか。
その舞台裏を解き明かす。
1980年当時世界に水をあけられていた日本に1人の天才少女が現れた。
(実況)特別演技伊藤みどり選手。
ワ〜オ!そのころは女子で3回転ジャンプを2種類跳べれば世界トップレベル。
だが伊藤は小学生の時すでに5種類のジャンプをマスターしていた。
好きなのは…。
中学生になるとコーチの山田から女子には不可能とされていたジャンプへの挑戦を勧められる。
みどりさんが頑張れる何かを作ってあげなきゃいけないと思って…トリプルアクセルはジャンプの中で唯一前向きに踏み切る。
しかも半回転分多く回らなければならない。
跳べるまで多分時間はかかったと思うんですけど…自分のやりたさの方が増していたので…。
トリプルアクセルを世界の舞台で初めて成功させたのは19歳の時だった。
(解説)これです。
わあっやった!やりました!ジャンプの天才少女はついに…オリンピックでも女子で初めてとなるトリプルアクセルを跳んで金メダル。
それが伊藤の目標となり日本中の期待を集めた。
しかしオリンピックシーズンを迎え伊藤の体は悲鳴を上げていた。
ひときわ高く跳ぶトリプルアクセルは着氷の時足首に体重のおよそ5倍の衝撃がかかる。
骨折や捻挫を繰り返しこのころになると十分な練習ができなくなっていた。
更に金メダルへのプレッシャーが重くのしかかっていた。
そこから…その葛藤はジャンプの狂いとなって現れた。
最も成功率が落ちたのがトリプルフリップだった。
試合では常にトリプルアクセルの次にプログラムしていた。
今まで当たり前のように跳んでた…微妙にズレだしてきたのは正直ありますね。
そしてフリップに引きずられるように今度はトリプルアクセルの成功率も下がっていった。
何もこう…うまくいかない。
こうだろうと思ってもうまくいかないみたいな。
ジャンプを…迎えたアルベールビルオリンピック。
最初の種目オリジナルプログラムの本番直前の事だった。
放送の準備をしていたアナウンサーが伊藤の異変に気付く。
本来トリプルアクセルを跳ぶところで別のジャンプを跳んでいた。
「あれ何でここルッツなんだい?え〜なぜ?」という思いは確かにありましたね。
当日になって急きょ難易度が低いトリプルルッツに変えたのだ。
私の方から「どうなの?」って言ったら…金メダルのため封印したトリプルアクセルへの思い。
(実況)トリプルルッツ。
あっと失敗!待っていたのは最悪の結果だった。
うわ〜って感じですよね。
「ああやっちゃった」みたいな。
「ああ失敗しちゃった」みたいな。
2日後のフリー。
伊藤は気持ちを切り替えられていなかった。
(場内アナウンス)「クリスティー・ヤマグチ」。
この日注目を集めたのはオリジナルプログラム1位の…芸術性あふれる演技で高得点をたたき出す。
(拍手と歓声)伊藤が勝つためにはトリプルアクセルを成功させるしかない。
(場内アナウンス)「ミドリ・イトウジャポン」。
(拍手と歓声)
(実況)さあフリーの演技です。
4分間の演技。
最初は2日前に転倒したトリプルルッツ。
(実況)ダブルルッツからトリプルトゥ。
踏み切りのタイミングが合わず2回転となるミス。
次はいよいよオリンピックで初めて挑むトリプルアクセル。
(実況)トリプルアクセル。
あっ失敗。
「う〜んこれは大変なことになったぞ」っていうのが正直な気持ちでしょうかね。
だが崖っぷちに立たされた伊藤にある変化が。
開き直ってホントに…次は成功率が最も低いトリプルフリップ。
自分の中で…
(実況)トリプルフリップ。
ダブルトゥループ。
オリンピックで初めて納得のいくジャンプが決まった。
伊藤は本来の自分を取り戻した。
(実況)トリプルループ。
しかし残された時間は1分。
実は次に何を跳ぶか決めていなかった。
ここに何か失敗したものをリカバリーできるようなプログラム構成に考えたんです。
当時の常識では考えられない演技構成。
5番目のジャンプはその場で決める事になっていた。
選択肢は2つ。
回転不足になったトリプルルッツか。
転倒したトリプルアクセルか。
だからすごい…一か八かの賭けもできないし…。
確率的には…スピンを終えた伊藤は右の方向へ。
それはあのジャンプへの助走だった。
自分が一番やりたい事…私の頭が考えている以上に私の体は…
(実況)トリプルアクセル。
決まった!いやそれはうれしかったですよ。
「やった!よかった!」っていう感じだったんですよね。
これが伊藤みどりの強さだなっていうのをすごく感じましたよね。
(実況)トリプルアクセル成功!見事に決めました。
笑顔。
トリプルアクセル成功した瞬間…「決まっちゃったよ…決めちゃったよ」みたいな。
「すごくない?」みたいな。
(実況)力いっぱい演じました日本の伊藤みどり。
(拍手)最後の最後に思いをかなえた伊藤みどり。
日本にフィギュアスケートで初のメダルをもたらした。
結果的にトリプルアクセルを成功させる事によって全ての今までの失敗してしまったりとか転んでしまった事が全て吹っ切れてるんですよね。
フィギュアスケートの歴史を書き換えた伊藤みどりのトリプルアクセル。
全てを出し尽くしたその顔にはジャンプに夢中だったあのころの笑顔が戻っていた。
2014/02/01(土) 22:20〜22:40
NHK総合1・神戸
ヒーローたちの名勝負・選「五輪初のトリプルアクセル 残り1分からの逆転劇」[字]
女子フィギュアに3回転ジャンプの時代を開いた伊藤みどり。だがトリプルアクセルに挑んだ五輪で絶不調に。窮地を救ったのは、常識破りの演技構成と残り1分での賭けだった
詳細情報
番組内容
ジャンプの天才少女、伊藤みどり。金メダル候補のアルベールビル五輪では絶不調に陥り、メダルすら危うい状況に。逆転を狙ったフリーでも、最大の武器トリプルアクセルを失敗。ここから奇跡の逆転劇が始まる。きっかけは、ある3回転ジャンプ。常識破りのプログラム構成が、残り1分を切ってからのトリプルアクセル再挑戦を導き、快挙を生んだ。当時の審判や実況アナウンサーらの証言を加え、五輪史に残る演技の秘密を解き明かす。
出演者
【出演】元五輪代表…伊藤みどり,元五輪代表コーチ…山田満知子,元五輪ジャッジ…杉田秀男,元五輪実況アナウンサー…杉林昇,【語り】鈴木省吾
ジャンル :
スポーツ – スポーツニュース
情報/ワイドショー – その他
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
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