キーンコーンカーンコーン
(チャイム)キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーンおお〜!・
(辻田梨紗さん)おっ1番!・1番!来たで!・おはよ〜。
・おかえり!
(ナレーション)
休み時間を告げるチャイムが鳴ると生徒たちが一目散に向かう場所があります
この部屋の名は「となりカフェ」
ふだんは相談室ですが今は昼休みと放課後生徒が自由に出入りできる場所として開放しています
ここには先生はいません
スタッフが飲み物を振る舞ってくれます
アルバイト疲れで眠ってしまったり携帯でゲームをしたりおしゃべりに夢中になったり
教室にいるとなんか落ち着かない。
ここに来たら晴れる。
心が晴れる。
さっきまではちょっとどんよりしてたけどここに来たらみんながおるから安心。
むしろ楽しめる場所。
みんなが集まってまあいろいろ楽しいことをしゃべったり。
みんながまあ西成高校で…笑顔になれる場所だと僕は思います。
みんなはほとんど学校ではしゃべらないですよ。
(スタッフ)そうなん?どこ行くん?初詣って。
辻田梨紗さんはここの責任者です
おととし西成高校にとなりカフェを開設しました
大変やったん?
(生徒)俺なんのことや分かれへんかった。
今も?今も大変なん?あら。
話は…相談はできてんの?
(生徒)だいたいできてます。
授業時間中に相談ができないかというふうにおっしゃってるんですけども私もミーティングがあって放課後の方がありがたいのはありがたいんですがえ〜っと…ちょっと単位とかそこらへんの兼ね合いもお聞きしとかなければと思いまして。
はい分かりました。
じゃあ5限だけということで。
すみません突然で申し訳ないです。
ありがとうございます。
5限だけオッケー。
でも5限で終わるで。
ちょっとじゃあ急いで移動しよっか。
ここじゃ話されへん。
先生だけでは解決しきれない課題を抱えてしまわざるをえない若者っていうのが増えてきてるのかもしれないというか…。
社会情勢ですよね。
貧困がこれだけ広がっていて親御さんもなかなか思うような生活ができないなかでいちばん弱い立場の未成年のお子さんにしわ寄せが行くっていうのはやはりまあ当然といえば当然だったのかもしれなくて。
小中学校での不登校も挫折体験ではあるんですが高校生になってそこからもし外れてしまうと本当に本格的な社会的なドロップアウトになってしまうというところにすごく危機感を感じています。
高校で困っている生徒さんが見つかってそこでしっかりと高校がセーフティーネットになって引っ掛かってくれればそこに私たちもアプローチしていけるかなというふうに考えているので高校の中で私たちがいることによってそこに来てもらってホッとできて相談できる場所というところでまあそこから彼らの安心できて安全なまず場所を確保してあげるというコンセプトで私たちはさせていただいてます。
生活に苦しむ家庭や友人関係などが原因で不登校となりやがて高校を中退してしまうケースが後を絶ちません
そうしたなか本音をさらけ出せる場所として作られたカフェ
そこに集まる若者たちの姿から揺れる10代の今が見えてきました
生徒数は460人余りですが卒業までに生徒の1割が中退するといいます
中でも1年生の中退が最も多く中退に至らなくても親が仕事でいないため朝起きられず遅刻したり欠席がちになったりする生徒が少なくありません
そんな西成高校にとなりカフェをオープンさせた辻田梨紗さんです
辻田さんは9年前から不登校の子供や引きこもりの若者の問題に取り組んできましたがそのなかで高校生に対するサポートが不足していると痛感していました
そこで高校中退を減らしたい大阪府の委託を受けおととし9月西成高校にとなりカフェを開設したのです
となりカフェの「となり」には「そばにいるよ」というメッセージが込められています
カフェという形にしたのは誰でも気軽に来られる雰囲気にしたかったからです
週3回昼休みと放課後20代中心の若いスタッフが生徒の話し相手になります
(スタッフ)ちょっとした会話で少し今置かれてる状況であったりが分かったりする端緒っていうのはあったりするんですか?そうですねまあアルバイト代の使い方とかあと朝起きれているかとかそこに親御さんのサポートが入っているのかとかそういったところは比較的そんなに隠したりとかあんまりしないですし。
男の子はあんまりしゃべりたがらないんですけど回数重ねていくとポロッと出てきたり。
ご飯食べてへんからおなか減ったとかそういう話は出てくるのでそっから聞ける範囲で掘り下げていってますね。
(生徒)学校辞めたいぐらいやのに。
卒業までいかれへん。
(生徒)いやいやもう無理!しゃべらん方がでもあれかあんまりお互いイライラしない?ちゃう。
こっちがイライラすんねん。
個別に話を聞くことが必要だと判断した場合は別の部屋に移って更に深く生徒の話に耳を傾けます
(生徒)「はあ?」ってなって部活今日休もうかなって来た。
行きたくない。
心折れたん?
(生徒)もう…。
じゃあ右上右上!「薬物乱用の甘〜い誘い」。
読んでもらおう。
はい読んでもらおう。
高校3年生のゆきなさん
となりカフェいちばんの常連です
ふふっついてこられてる。
(ゆきなさん)うぃ〜っす。
うぃ〜っす。
ゆきなさんはかつて学校が苦手でした
中学生のとき不登校になったこともあります
西成高校に進学してからも学校になかなかなじめませんでした
中学のときはもうほんまに殻に閉じこもる。
ほんまに学校も嫌いやったし常に行きたくないっていう状態やったから。
となりカフェに通うようになって気分が落ち着いたといいます
最近なご飯食べたらなここかゆくなんねん。
3年生のゆきなさんは卒業後の進路で悩んでいました
ゆきなさんの家は母子家庭で中学生と小学生の弟や妹3人がいます
家の経済状態を考えると就職して家計を助けた方がいいと思います
でも大学進学の夢も捨てきれずにいました
大学で保育の勉強をして将来は子供に関わる仕事をしたいという夢が少しずつ大きくなっていました
家庭の状況を把握できるから自分で。
ここが…この月がしんどくてこの月はまだちょっと余裕あるけどでもやっぱりしんどいっていう月が続くからやっぱりそれを助けるには自分は就職した方がいいんちゃうかなって思うこともあったし家の…家族のことを考えて最初は就職って自分の中で意思固めてしてたけど…。
はい皆さんさようなら。
(一同)さようなら!
午後5時。
となりカフェ閉店です
就職するべきか大学に行くべきか進路に悩むゆきなさん
母親は好きな道を選んだらいいと言ってくれていますが決心がつかない日が続きます
(サックスの演奏)
卒業後の進路を巡って気持ちが揺れるゆきなさんはクラブ活動にも集中できずにいました
西成高校では卒業生の7割近くが就職します
同級生の就職内定が決まりはじめていました
精神的にもしんどかったからたぶんいちばんとなりカフェに行ってたかな。
相談とか行ってたかなぁって。
(スタッフ)そっか。
だからいろんな先生の前でそういう話してとなりカフェ行って泣いて。
どうしたらいいか自分でも分からへんから。
個人的には私は大学にあなたは行ってほしいなと思ってるっていうことは…。
個人的にはですけどねほんとに。
いろんな環境全部何もないとしてっていう状況であればぜひ大学に行って勉強してほしいということは伝えたと思います一大人として。
でも実際それが難しいのはよく分かっていたので…。
うんそうですね。
なんかどこを突破すれば自分の気持ちが固まるかっていうところを一生懸命一緒に考えたっていう感じですね。
可能性を探る日が続きます
考える時間はさほど残されていません
私たちの意図としては学校外に彼らに居場所があるのかというところや相談できる相手がいるのかと。
まあとなりカフェやいろいろな先生方への相談がどれくらい本当はニーズがあるのかということを改めてちょっとお聞きしたい。
具体的に何を…。
辻田さんたちの取り組みは学校との連携が欠かせません
食事をずっと抜いていたり深刻な親子関係がうかがわれたりする生徒の情報は学校とも共有し対応を検討しています
緊急性の高い子に先に関わるのでえ〜っとまあなんとなく…ちょっとずつ休みながらでもなんとなく学校に来てる子にはなかなか踏み込んで関わりきれないところの…小さいサインをとなりカフェのスタッフの方は拾っていただいてるんじゃないかなというふうに思っています。
とはいえうまくフォローできたケースばかりではありません
となりカフェオープン以来およそ100人の生徒がこの部屋を訪れました
家や学校アルバイトのことそして進路のことなど個別の相談にも150件近く乗ってきましたが結局中退してしまった生徒もいます
保護者へのアプローチが必要となることもありますが辻田さんたちの活動ではそこまでは認められていません
まだまだ毎日が手探りです
このころとなりカフェに来ていた卒業生からSOSが発信されていました
(車内アナウンス)左側の扉が開きますご注意ください。
辻田さんは「Twitter」に書き込みをした本人を訪ねることにしました
去年卒業したまみさんです
となりカフェの常連でした
今1人暮らしをしていますが仕事が見つからず生活に困窮していました
蓄えが底をつき家賃や光熱費の支払いもままならないといいます
12月末?そうなるよね。
今?現在?現在。
まみさんは卒業後介護ヘルパーの仕事に就きましたが人間関係のストレスから体調を崩し夏には辞めてしまいました
その後なかなか前向きになれずアルバイトの面接を受けても一向に採用されません
ちょっとしばらくだいぶ任せてたというかどうするかなって様子見てたところがありましてね。
どれくらい自分でやるかなと思って…。
私がいくら言ったって結局なんかたぶん私には頑張るって言いたくなるから言っちゃうんですよあなたは。
でまあ実際そんときは頑張りたいと思ってると思うけどでもまあいざ家帰ったりするとだる〜ってなるやんか普通。
ありがとう。
ほなまた金曜日ね。
辻田さんが就職活動をサポートすることになりました
まみさんは卒業後半ば強引に家を出ました
無職の今友達の助けを借りてなんとか生活しています
家族からの援助はありません
飲食店を経営していた父親が中学生のとき病気で倒れ家計を助けるために高校時代はスーパーでアルバイトに追われる毎日でした
結構働いた。
(スタッフ)週どれぐらいとか?週6とかもう当たり前やったし。
(スタッフ)ほんまぁ。
ほんなら学校あるときやったらどんな感じの…なんて言うの?生活…。
だって朝起きて学校行って学校終わってバイト行って帰って来て寝て朝起きて学校行ってバイト行ってみたいなもうずっとエンドレスやった。
なんかこのままでいいんかなぁと思って…。
でずっと思っててなんか先生とか友達にずっと相談しとって。
でそんなんしていくうちに3年の後半でとなりカフェが出来てみたいな。
そこで相談して…。
そこに相談してからはもう全然人生変わった。
家のためでなく自分のために働きたいと家を飛び出したまみさんですが自活するのは思った以上に大変でした
(スタッフ)今の夢ってありますか?夢?ふふっ夢…。
(スタッフ)大きい話になったけど。
夢とかないからな私。
う〜んないな。
夢とか別に持ったことないなと思って。
西成高校から程近いマンションの一室にもう一つ辻田さんたちの拠点があります
その名も…
中退者や卒業生といった高校を離れた人でも気軽に立ち寄ってもらい孤立を防いだり就労支援したりするのがねらいです
もちろん在校生も大歓迎です
ごめ〜んぶつかった。
あっいえいえ全然大丈夫。
(まみさん)スコーン入ってる。
これまた分けて…。
賞味期限が迫ったパンやレトルト食品などを無償で提供する「フードバンク」のサービスを受けています
家で満足な食事がとれていない生徒や若者に提供できるようにしています
・何をおかわりするん?
(まみさん)ふふふふっ。
火ちょっと弱くしますか?
まみさんも最近ちょくちょくここを訪れています
このところ1日1回の食事もままならずいつもおなかがすいています
見た目がなんかな。
・そう。
味は一緒やから。
ギギギギッ…・この音なんとも言えへんな。
(まみさん)嫌やなぁ。
・嫌やなぁ。
それだけは頑張ったで。
一瞬で飽きたけど。
スタッフが臨時で封筒貼りのアルバイトを依頼しました
履歴書に貼る顔写真の撮影代を稼がなくてはなりません
・たまにこう真面目なふりするから「こいつ・真面目なんかな」と思われるん?
(まみさん)そうやなぁ。
どうぞ。
今日のバイト代。
報酬は1000円
必要な経費も働いて稼ぐということが自立するための一歩です
・写真撮るお金にしてください。
うん。
・ということでした。
土曜日と水曜日は結構来てると思いますね。
一時期ちょっと離れてた時期もあったんですけどやっぱ居場所がないみたいで。
どこ?あれあるやん。
あのビル。
スタッフがハローワークに付き添ってくれることになりました
家賃を払うためアルバイトでもいいのでなんとしても仕事を見つけなければなりません
あっこれとか「夜勤がないのが魅力です」って書いてんで。
どれ?どれ?どこ?えっとな2ページ目。
「毎週」いうとこ。
(まみさん)「毎週」?
家の近くのスーパーがレジのアルバイトを募集しているのを見つけました
レジ…レジは絶対行きたい。
行ってみたい?じゃあこれ確定な。
それは確定。
面接の日です
臨時の収入で得た貴重な1000円を使って証明写真を撮ります
カシャ
(シャッター音)
(まみさん)オッケー?オッケー。
(スタッフ)見して。
(まみさん)ふふっ。
バイバイ。
レジの経験を見込まれ意外にすんなり採用されました
・まみちゃん髪の毛また茶色くなったな。
黒にせなあかんねやろ?
(まみさん)うんふふふっ。
・黒にせなあかんの?
(まみさん)今日黒染めする。
・またすんの?黒染め。
ここで?
(まみさん)ここで?・またお湯沸かさなあかん…。
ここでしよっか。
・お湯沸かさなあかんけどな。
これも…それも可?
深刻な状況になっていてもどこかあっけらかんとしているまみさんに周りは救われることがあります
どんなにしんどくても大好きなメイクに余念がありません
たまたま来ていたゆきなさんたちも先輩のメイクに興味津々
でもまみさんには採用面接を受けてから気がかりなことが一つありました
「保証人は大丈夫やんな?」みたいな感じでめっちゃ聞かれてん保証人のこと。
あっそうなん?どうしよっかなぁと思って。
働くにあたって店側から家族などの身元保証人が必要だと言われたのです
卒業後親の反対を押し切って家を出たまみさんは家族には頼めないといいます
でも身元保証人が見つからなければ採用が取り消されるかもしれません
(まみさん)嫌やな…。
頭抱えちゃうね。
えっ?頭抱えちゃうわ。
私も頭抱えるわ。
そして私この前の電話のあとも頭抱えたもんこうやって。
ははっ…。
(まみさん)ちょっと何なん?もう…。
それでもまみさんにとって家族以外に頼れそうな人は思い当たりません
意を決して電話で頼んでみました
でも勝手に家を出ていったんだからと断られました
出てもらってもいいですか?すみません。
すみません。
・
(まみさん)ううっうぅ…。
・うぅ〜…。
・ドン!・もっと泣け。
もっと泣け泣け。
もっとおっきい声で泣いていい。
・もっと大きい声出してもいいよ。
・
(まみさん)ううっ…。
悔しさやさみしさいろいろな気持ちが噴き出してまみさんは泣きじゃくるばかりでした
(まみさん)うっ…ううっうぅ〜…。
ううぅ〜…。
なんやどうしたん?
(まみさん)うぅ〜!ううっ…。
ティッシュ。
・あっはい。
・毛虫にしか見えへん。
・はいつけま。
・つけま。
・なんか持って帰るやつ持ってる?・ポーチは?・ある?
結局この日身元保証人は見つかりませんでした
採用が決まったものの身元保証人が見つからないまみさんのために辻田さんは大きな決断をしました
自分が家族の代わりに身元保証人になれないか店側と交渉することにしたのです
(まみさん)こっちこっちこっち。
はははっ。
辻田さんの申し出を店側が認めてくれました
全然あっさり…はい決まってよかったです。
まあまあ…。
ねっ。
(まみさん)ふふふふっ。
(スタッフ)よかったですね。
ねえはい。
(まみさん)ありがとうございます。
はいどういたしまして。
はい。
まあぼちぼちやりましょ。
ねっ?うれしいわ私も。
「ふなっしーやわ私も」?なんて?なんて?うれしいわ!
(まみさん)「うれしいわ私も」。
(スタッフ)今回の身元保証人を引き受けたというところでちょっと特例的な部分もあったんですかね?そうですねちょっとスペシャルだと思いますね。
まあ彼女とのつきあいも1年ぐらいになってきたので。
でその間1年の中でもだいぶディープな関わりだったので。
まあ彼女を信じる方というか彼女が自立していく方に懸ける方が価値あるかなと思って。
はい。
なんかねただ働きたいだけやのに全然違うところで引っ掛かってしまうというか傷ついてしまうっていうところで…。
ずっとこの何か月間かね見てきたんですけど気持ちの浮き沈みもありましたしそういう意味ではちょっと希望が少し見えたかなっていう気はします。
今めっちゃホッとしてる。
なんかもううまいこと全部いったからなんかやっとホッとした。
なんかもう自分のためにここまでしてくれる人ってほんま普通おらんよなぁと思って。
めっちゃなんかもうありがとうって思った。
なんて言ったらいいんやろ。
もうそんときわぁ〜って泣いたから全然分からんけど…なんかずっと横おってくれてうれしかった。
おはよう。
(スタッフ)おはよう。
3年生のゆきなさんは毎週土曜日辻田さんたちのいるあいまカフェへと向かいます
(ゆきなさん)おは〜。
・おは〜。
あっ私服や。
あっこんばんは。
進路について悩み続けたゆきなさんでしたがついに大学に進学することを決断しました
推薦で大阪の4年生の女子大に入学します
必要な書類を提出するぎりぎりまで悩みに悩みました
自分ではどうもコントロールできひんくて逃げるようにここに来るみたいな。
おんなじこと何回も言ったでな。
言ったね。
日によっても違ったもんねあのころは。
ふふっ。
「やっぱ就職する。
でもやっぱり…」みたいなんが。
そうそう。
そればっかりやった。
「どうしたらいいと思う?」しか聞いてなかったと思う。
ねえ。
スタッフはやりたいことやったら…。
いいんじゃないかって言ってくれるねんけど自分の中で決めきれへんから…。
そうやねんな。
ふふっ。
そういうもんなんやけどなぁ。
学校の先生は「やれやれ」みたいな。
「やるしかないやん」みたいな感じやけどここは「自分のペースでやったら?」ぐらいのなんか軽い感じっていうか。
軽いけどなんかなんて言うん?分からへんけど…。
支えられてるっていう感じ。
(スタッフ)そっか。
うん。
かなっていう感じ。
これなんやったっけな?
(ゆきなさん)いつも出てくんねん。
結構出てくるやろ?これ。
(ゆきなさん)熟語で…長文で出てくる。
「besuitedfor」。
推薦で入学が決まりましたが授業料が免除される特待生を目指し入試を受けます
「wheelchair」。
椅子?椅子…椅子…。
ただの椅子?違う。
「wheelchair」。
車椅子。
あっ車椅子か。
ゆきなさんの家は母親が働いて支えてきました
長女のゆきなさんは3人いる弟や妹たちの面倒を見ることが多く母親の代わりに保育園に迎えに行ったりご飯を作ったりしてきました
目下受験生のゆきなさんですが勉強部屋はありません
(スタッフ)お姉ちゃん最近勉強してんの?・してないな。
してないよ。
家ではしないよ。
だって邪魔されるもん。
大学選びで最も重視したのは少しでも学費が減額される制度があるかどうかでした
大学行くんやったら絶対に免除あるところがいいかなと思ったから家庭的にも。
家のことっていうかたぶん下の弟たちのことを考えたんと違うかなって。
自分の5個下に弟がいてる。
7つ下にも弟がいてる。
やっぱり10個下に妹がいてる。
自分が4大進んでる間にやっぱりみんなそれぞれ中学生になって高校生になってってするし。
今もまだたぶん悩んでると思うんですね。
自分がこの道を進んで正解なのかどうかっていうのと進学じゃなくて就職してもいいんと違うかなっていう思いは半々ぐらいあると思うんですね。
西成高校の2学期の終業式です
年が明ければいよいよ大学の入学試験です
クリスマスイブのこの日あいまカフェでクリスマス会が開かれました
高校のとなりカフェによく来る生徒たちも学校の帰りにやってきました
いつもお世話になってるから。
(スタッフ)もしかして手作り?手作りだよ。
ゆきなさんはスタッフ1人1人にこっそりクリスマスカードを作っていました
スタッフがのぞこうとしたので慌てて隠しました
はぁ〜。
ちょっと〜。
ちょっと〜。
ちょっと〜もう…。
てれくさかったみたいです
もう…。
たぶんここに置いてたやつは見られたと思う。
・そう?・ありがとう。
・ありがとう。
(ゆきなさん)みんな顔違うねんでサンタの顔。
・ああ〜ほんまや。
・俺の唇腫れてると思った。
(ゆきなさん)ふふっ。
・かわいい〜。
・めちゃかわいいやん。
来いゆきな。
イエ〜イ!・イエ〜イ!はい。
いや〜ありがとう。
おっすごい。
細かっ!細かいです。
あはははっ。
これはめっちゃ手間かかってる。
かわいい。
すご〜い。
すごい折り紙が。
おお〜同じように…。
ははっ全員に。
すごいですね。
(スタッフ)プレゼントあると思ってました?いやいやいやまさか。
私が渡さなあかんぐらいやのに。
もらってばっかり。
はははっなるほど。
1月
ゆきなさんの入試の日がやってきました
この試験で成績が極めて優秀であれば入学金と4年間の授業料が全額免除される特待生になれます
まあ試験合格して特待取れるようにもう一生懸命やるしかないなと思って。
頑張ってこようかな。
(スタッフ)自分の気持ちとしては4月から大学生ってことで固まってる?今んところは。
なんも揺るぎなければ変わることはないかな。
(スタッフ)頑張ってきてくださいね。
はい。
はぁ〜。
いってきます。
スーパーで働きはじめて1か月
まみさんが半年ぶりに母校の西成高校を訪れました
髪の色も直って。
偉いやろ?偉いね。
ちゃんと社会人やってんの?アルバイト?続いてんの?前言ってたところ。
うん。
ちゃんと行ってんで。
笑てたかと思ったらどうしたん?なんか急に。
ははははっ。
アルバイトに追われていた頃の元気のないまみさんを担任だった水野先生は覚えています
となりカフェへ連れていったのも水野先生でした
笑ってなかったかなぁっていう感じするよね。
朝来て「元気ないわ。
朝なんも食べてへんねん」とか言って。
「体調悪いねん」って言ってず〜っと机で沈んでた感じやったよね。
2年生のときなんか特にね。
(まみさん)「おなかすいた」ってなってたずっと。
「おなかすいた」とか。
(水野先生)うん。
「バイトしんどいねん」って言って保健室行ったりっていうのがずっと続いて。
そんな印象やったのがそうですね3年生ぐらいからかななんか友達とワイワイしてる雰囲気とかね。
そんな感じですね。
今いちばん元気そうな感じしますわ。
ははっ。
そう言われると。
うんうん。
(水野先生)よかったやん。
そんだけやっぱ1年でまた成長してんねんなきっと。
うん。
ふふっ。
となりカフェにはかつての自分と同じように伸び伸びと時間を過ごす生徒の姿がありました
・暴れるな。
暴れるな。
(まみさん)懐かしい!遅かったなぁ。
(まみさん)うん。
あと15分でここ閉めるで。
(まみさん)うそでしょ。
居場所みたいな感じ。
なんか家でも学校でもないな〜と思ってて…居場所とか楽になれる場所がなくて。
でもここ来たら楽やしいいと思ってた。
だいぶ変わった。
絶対今の方がいい。
(スタッフ)どんなふうに変わったかなって思います?元気になった。
(スタッフ)そっかそっか。
よく笑うようになったしよくしゃべるようになった。
アルバイトが始まってから辻田さんに会いに行く機会は減りました
経済的に苦しい状態は変わりません
いずれ正社員として働き安定した収入を得たいというのが今の願いです
となりカフェは相変わらずにぎやかでした
3年生のゆきなさんは今日が最後の学校です
試験の結果残念ながら特待生にはなれませんでした
4月から奨学金制度を使って大学へ通います
最近目標ができました
子供に関わる仕事で…。
誰でもおれる居場所を作れる自分になりたい。
となりカフェで教えてもらったみたいにそういう場所は絶対必要やと思うし頼るところも必要やと思うから…。
そういう居場所を作る人になれたらなってうっすら感じてるかな。
ずっといる場所ではないと思ってます。
必要なくなったらそれはそれでいちばんよくて。
ほんとに仮に居場所を作っていて社会の中に自分でまた居場所を見つけていってくれるのがほんとはいちばんいいと思うんですけど実際それは難しい部分もあると思うのでまあ無理やり巣立っていってほしいわけではないんですけどどこか自分の居場所だと思える場所がほかに見つかるのは寂しい反面うれしいというかそこまでの準備を手伝えたんかなって思えるかなとは思います。
となりカフェのような取り組みは今年度大阪府内8つの高校に広がりました
自分の居場所を見つけられずいつしか社会との接点を見失う若者が増えつつあります
だから辻田さんは願っています
まずはここにおいでよ
すべてはそこから始まるのだから
2014/02/17(月) 00:50〜01:50
MBS毎日放送
映像’14 ここにおいでよ〜居場所を見失った十代のために〜[字]
貧困や家族問題に悩む若者…高校中退・不登校フォローアップ事業として全国で初めて大阪府の高校内に設けられた「となりカフェ」を紹介。
詳細情報
番組内容
2012年9月、大阪府立西成高校内に、大阪府の委託を受けた「となりカフェ」がオープンした。これは府の「高校中退・不登校フォローアップ事業」として全国初の試みであった。年々増加する不登校や高校中退…「となりカフェ」では学校に居場所を作ることでそうした生徒たちを減らすとともに、卒業生の支援も行なっている。スタートから1年経った実際を紹介しつつ、背後に潜む子どもたちの貧困の問題を浮き彫りにする。
出演者
【ナレーター】
大吉洋平(MBSアナウンサー)
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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