こうして誕生した宮本武蔵
日本の頂点を目指した彼の波乱の人生は大きく動き始めた
宮本武蔵は剣での立身出世を試み京の吉岡道場を訪れる
圧倒的な強さを見せつけた武蔵はついに剣豪・吉岡清十郎に試合を挑む
(吉岡清十郎)危ないやないか。
吉岡清十郎との決戦を控えた武蔵は槍の名手宝蔵院の日観を訪ねた
武蔵は日観の言葉に従い最強の剣術家として名高い柳生石舟斎に教えを乞う
(宮本武蔵)まずこの城を相手にとって合戦を申し込む。
(庄田喜左衛門)二刀流…!
(武蔵の声)吉岡清十郎に勝つにはどうしたらいい?
(柳生石舟斎宗厳)聞こえるはずのないその音を聞け。
己の強さを疑う事のなかった武蔵が味わう苦悩と葛藤
未熟者!!
一方その頃武蔵を追って京に向かったお通は又八の母お杉の逆恨みにより命を狙われる
武蔵もまた運命の時を迎えていた
武蔵を待つ剣豪・吉岡清十郎
そして宿敵・佐々木小次郎との伝説の一戦へと時は静かに流れていくのであった
聞こえるはずのないその音を聞け。
(沢庵)どうしたおばばこんなところで。
(お杉)沢庵坊…。
おばばその小太刀はなんじゃ?あっあっ…。
(お杉)離せ!
(沢庵)おばば…おばば!お通!?
宮本武蔵は三十三間堂で吉岡清十郎との戦いを迎えていた
吉岡清十郎。
宮本武蔵。
行くぞ。
早う来い。
(伝七郎)《二刀流…》《道場へ来た時は一刀と聞いていたが…》
(清十郎)《隙を見せたら負ける》《隙を見極めれば勝てる》
(石舟斎)音を聞け。
聞こえるはずのないその音を聞け。
《聞こえるはずのないその音…》兄上…。
兄上!
(朱実)たけぞう。
私も連れてって。
(沢庵)妙秀尼様。
申し訳ないがわしはこれから江戸に行かねばならぬ。
お通の傷が治るまでしばらくここで預かってもらえないだろうか。
ええええ喜んで。
(妙秀尼)お通さんとは四年ぶりになりますかのう。
(戸の開く音)
(りん弥)お帰りなさんせ。
(琵琶)
(琵琶)
(本阿弥光悦)いやいや素晴らしい素晴らしい。
武蔵殿どちらにいらした?当代きっての吉野太夫じゃ。
(園藤次)植田殿!
(光悦)いやいや素晴らしい。
至福じゃ至福じゃ。
小雪太夫は?あれはどうした?
(遊女)まだまだでありんす。
(光悦)いつになったら連弾きを聞かせて頂けるんかのう?
(紹由老人)さあみんな踊った踊った!
(光悦)踊った踊った。
(三味線)かたじけない。
(紹由)やっ…血ぃやないか。
いいえ。
緋牡丹のひとひらでござんしょ。
そうか牡丹か…。
(藤次)武蔵はどこだ?六条の遊郭にいます!殺せ…遊郭を封鎖しろ!復讐だ!
(一同)おおー!植田行くぞ!先に行っててくれ。
(三味線)
(嗚咽)若先生…。
(嗚咽)若先生!
(三味線)
(人々の悲鳴)武蔵を遊郭から出すな。
捜せ!
(一同)おう!
(三味線)アハハ…。
いやいや…見事じゃ見事じゃ。
あっ紹由殿。
ハハハ…。
そろそろお暇致しましょうかの。
そうじゃそうじゃ。
ハハハハ…。
武蔵様こなたはここへお泊まりなさんせ。
なんとのう今宵はいなしとうござんせん。
なあようござんしょう?こなさんをお泊めさんしても。
アハハハ…。
ああよいともよいとも。
たんとかわいがってやってくだされ。
いや俺も光悦殿と一緒に帰ります。
武蔵殿野暮は言わんと今宵はここでゆっくり休んで明日よい潮を見てお戻りになったらいかがかな。
太夫もせっかくああ言うて心配してくれとるんじゃから。
心配?吉野太夫。
どうやった?へい。
他のお方はともかく武蔵様だけはうかつに遊郭の外へ出られますまい。
(人々の騒ぎ声)もし?武蔵様?なんだ?おなごの私には兵法なんぞという道はわかりんせんがこなさんの所作や眼差しをうかごうてると今にも斬られて死なんすお人のように見えてなりんせん。
何?お気に障らんしたか?俺の所作が今にも斬られる人間に見えてならぬとはどういうわけか?たわむれか?私は今ここで琵琶を一個の人間として例えてみたいのでござんす。
(琵琶)わずか四つの糸と板の胴から…。
(琵琶)こないに数多い音が鳴り出るというのは…。
(琵琶)不思議な事やござんせんか?けどその不思議な音色もこの板の体を割って琵琶の心をのぞいてみさんすとなんの不思議でもない事がわかりんす。
(鉈を叩きつける音)ごろうじなんせ。
このとおり琵琶の中はうつろも同じでござんしょ。
ほなあの様々な音の変化はどこから起こるのかと思いますとこの胴の中に渡してある横木一つでござんす。
この横木こそ琵琶の体を持ち支えている骨であり心でもありんす。
けどこの横木とでもただ頑丈に真っ直ぐに胴を張り締めているだけではなんの曲もござんせん。
まことの音色はどこからやと言うたらこの横木の両端の力をほどようそぎ取ってある緩みから生まれてくんのでござんす。
つまり私ら人間の生きていく心構えもこの琵琶と似たものやないやろかと思う事でござんす。
(住持日観)御身は強すぎる。
あまりに強い。
それじゃによってもっと弱くならにゃいかん。
いたぞ!武蔵だ!何をしておる…行かすな!
(一同)おう!武蔵待て!なんだ!?この武蔵に待てとはどういう了見だ?ここで答える必要もないと思う。
武蔵支度はいいか?支度?武士の支度は寝る間にも出来ておる事。
いつでも参られ。
だがその前に…!吉岡はこの武蔵を暗殺したいか?それとも正当に討ちたいか?恨みで来たか?試合の仕返しで来たか?どちらか聞かせ!言わずとも知れた事。
師の清十郎御舎弟の伝七郎を討たれ我々吉岡一門が汝を無事に生かしておけるか!武蔵不憫だが汝の首は我々が申し受けたぞ。
五体と両刀が続く限り相手しよう。
ただ一つ!ここにあるのは木剣とは違うぞ。
(佐々木小次郎)板倉が来るぞ!遊郭の総門の前でこの騒ぎは野暮というもの。
もしここへ板倉のような役人でも来て手を煩わせればただの喧嘩沙汰としか扱われませぬぞ。
そうなれば各々の名ばかりか武士という者全ての恥さらし。
吉岡の申さるる師弟の名分もかえって世の笑いぐさではあるまいか。
何!?剣の上の解決は剣の作法に従って改めて時や場所を選んでなすべきでは?いかにも道理はそのとおりに違いない。
だが貴公は何者だ?私は巌流。
佐々木小次郎と申す者。
佐々木小次郎!佐々木…!?小次郎?では佐々木小次郎殿必ず他日まで武蔵が逃げ失せぬという保証を貴公はするのか?してもよいが…。
どうする?承知した。
…という事だ。
(植田)よし。
ならば明朝寅の下刻。
場所は一乗寺山のふもと藪之郷下り松。
あの下り松を出会いの場所とする。
わかった。
吉岡方名目人は清十郎伝七郎の叔父にあたる壬生源左衛門の一子源次郎を立てる。
源次郎は吉岡家の跡目相続人であるが若輩者ゆえ門弟何名かを介添として立ち会いにつけるという事。
それも念のため申しておくぞ。
承知した。
フッ…。
では明朝寅の下刻に。
佐々木小次郎。
なぜ俺の身を預かった?貴殿は必ず下り松に参る。
…であろう?本阿弥家の本業は刀の鑑定と研ぎとぬぐい。
その技をもって足利の初世から室町今川織田豊臣と代々の刀を研いできたのじゃが光悦が自ら研ぐと言ったのは初めてかもしれぬ。
かたじけない。
武蔵殿は剣はお好きか?は?武蔵殿はなんのために剣の道を歩んでおられる?それは…。
剣で名を成すためです。
そうですか。
ではいつか本当の意味を見つけられるといいですね。
本当の意味?
(光悦)いやいやさすがに室町から伝わる名刀。
よう斬れる。
その上強い。
武蔵…。
(足音)
(妙秀尼)お通さん!まだ寝ていないと…。
武蔵様は?武蔵様がいらしたような…。
お通さん…。
む…武蔵殿とお知り合いか?やはりいらっしゃったんですか?ええ先ほど。
武蔵様が…。
私が長い間捜していた方なんです。
あっ…!まあ!武蔵様は?今どちらへ?今…。
一乗寺跡へお向かいになられた。
一乗寺…?こちらへは戻りますか?武蔵殿は果たし合いに行きました。
吉岡道場との。
(荒い息遣い)お通さん!今水をくんできますからね。
街道が三つに分かれている。
武蔵がどこから出てくるかが考えものだ。
下り松には名目人の源次郎様に源左殿。
さらに古参方が十名ほど控えておられたらよろしかろう。
他の者は三手に分かれて途中で伏せろ。
よいな?
(一同)はっ!数えたところ吉岡方は七十六名。
七十六…?介添とは言っていたがすごい人数だ。
まるで合戦だな。
どうする?逃げるか?まさか。
俺は天下一の吉岡一門を倒した男として歴史に名を残す。
そして…この世に並ぶ者のない天下無双となってやる。
フッ…面白い。
武蔵殿。
万が一武蔵殿が生きて帰ったら私と試合をして頂けないだろうか?なぜ?私は今まで負けた事がない。
武蔵殿とならばいい試合が出来そうだ。
つまり負けてみたいという事か?いや宮本武蔵を倒して…私が天下無双となる。
フッ…面白い。
受けて立つ。
武蔵様…。
お通体は?怪我をしたと聞いたが…。
なんともございません。
これから果たし合いに向かう武蔵様の事を思うと体の事など忘れたようになんともございません。
お通…。
武蔵様…。
死ぬ覚悟でございましょう?武蔵様が死にあそばしたら私も生きていないつもりです。
そのせいか体の悪い事なんて忘れたようになんともございません。
馬鹿な事を言うな!お通聞いてくれ。
恥も外聞もなく言う。
俺はお通が好きだ。
だが今の俺はお通にはふさわしくない男だ。
家も家族もない一文無しのただの牢人だ。
お前の事を食わせてやる事も出来ない。
だが剣で名を上げれば仕官への道も開いてくるかもしれない。
その時に俺はお通と添い遂げたいと思っている。
でもあなたが死んでしまったらそんな日も来やしません!そんな出世はいりません!私はただ武蔵様と一緒にいたいだけなんです!行かないでください!お願いします!私と一緒に逃げてください!それは出来ない!逃げれば世の中に笑われる。
逃げたところで吉岡は俺を殺すまでどこまでも追ってくるだろう。
これはな一か八かの戦いなんだ。
勝って仕官の道を手にするか負けて全てを失うか。
だがなお通俺は勝つ。
絶対に勝ってみせる。
俺自身のためにも…。
お通のためにも。
嫌です…。
武蔵様を失うのは嫌です…。
お願いします!行かないで!行かないでください!この戦いに勝ったら必ず迎えに行く。
だから今は行かせてくれ。
もう行かなければ。
武蔵様…。
武蔵様!お通!武蔵様…!
早朝寅の下刻
ここ一乗寺下り松ではすでに宮本武蔵に迎え撃つべく態勢が整えられていた
死ぬわけにはいかん…。
お手並み拝見といこうか。
勝って天下無双になってやる!うわっ!うっ…!ああっ!うぅ…。
一つ。
うう…!二つ。
うっ!おい…うわあっ!うっ!四つ五つ六つ。
武蔵…!ぐあっ!やあーっ!うわあ!ああっ!八つ九つ…。
源次郎下がっておれ!うっ…ぐあっ!おのれ…くっ…!ああ…。
(源左衛門)ああっ…!父上!いかが致す?こっちだ!源次郎殿!源次郎殿!吉岡ももはやこれまでか…。
俺たちの負けだ…。
覚悟せえ…。
吉岡の火は絶対消さんぞ!うおーっ!うおーっ!うおーっ!ハァ…ハァ…ハァ…。
ハァ…ハァ…ハァ…。
うっ…。
くっ…!ハァ…。
うわっ!ハハハハハ!武蔵!どうした?これで終わりだ。
くっ…!今までこそこそ…命繋いだか。
これも兵法のうち。
勝つためだ。
来いよ…。
ええいっ!うっ!《なぜこいつは倒れない?なぜ戦ってるんだ?》うっ!七十六…。
ハァ…ハァ…ハァ…。
勝った…。
ハァ…ハァ…ハァ…。
(笛)
(妙秀尼)お通さん…。
妙秀尼様。
武蔵様が?なんてざまだ吉岡は。
いい気味だと俺は思ってるんだよ。
飲もう飲もう。
飲もう。
いらっしゃい。
親父酒だ酒。
お酒ちょうだい。
いやだがよ聞けば吉岡はあんまりもろい負け方したもんじゃないか。
吉岡が弱いんじゃない。
武蔵という男が途方もなく強いらしいんだ。
何が武蔵だ。
早く世間に名を売った奴に大成した人間は少ねえ。
なあなあなあなあ…佐々木小次郎とやったらどっちが勝つだろうか?ああ…俺はね小次郎だと思う。
武蔵の剣は荒々しいが小次郎の剣は洗練されてる…。
一対一なら小次郎のほうが上だろう。
うーん…今度は小次郎か。
(奈良井大蔵)兄さん。
兄さん!なんだい?ちょっといいかい?私はね奈良井の大蔵という者で質屋をやってるんだ。
江戸でねいい金儲けの話があるんだが乗らないかい?けっ!興味ねえよ。
成功すれば千両だぜ。
せっ…!千両?はっ!ああっ…。
生きてる…。
俺は本当に勝ったんだ…。
ここは?和尚様!佐々木小次郎?そうじゃ。
そなたを預けるとすぐに江戸へと発っていきおったわ。
ハハ…。
再会の折には約束を果たすようとの伝言じゃ。
うむ…ところでそなたまたなぜそのような怪我を?失礼します。
うむ。
なんと…。
武蔵殿そなたに客じゃ。
お前が宮本武蔵か!そうだ。
中堂延暦寺より申し渡す。
叡山は浄地たり霊域たり不逞闘争の輩の潜伏を許さず。
即刻当山より退去あるべし。
違反あるにおいては山門の厳則に照らし断固処罰申そうぞ。
左様心得られい。
わかった。
ここからは出て行く。
だが不逞闘争とはどういう事だ?言ってやろう。
お前は吉岡清十郎伝七郎を斬りさらに壬生源次郎を斬った。
それで吉岡との果たし合いは終わったはずじゃ。
なのになぜ七十人余りの門人を一人残らず殺したのじゃ?無用な殺生じゃ!いかに武道の上とはいえ血も涙もない所業。
斬らなければこちらが死んでいた。
逃げる事も出来たじゃろう?逃げなかったのはお前の心が人殺しを楽しんでいたからじゃ!違う!ではなんじゃ?功名のためか?吉岡一門を全滅させた男としての名が欲しかったのか?否定はせぬのだな?浅ましい…!外道羅刹の名を持ってしてまだ言い足らぬ気がするわ!それでもお前は人間か?俺のような牢人が名を上げるためにはそうするしかないのだ!哀れ。
時勢が変わったのじゃ。
人を殺さぬ剣…。
柳生石舟斎の剣はそれじゃ。
お前は時勢に取り残された哀れな男なのじゃ!今日はもう明かりが乏しい。
明朝発たれるがよい。
おい小僧。
はい。
一つ頼みたい事がある。
おのれ…思い知れ…!あーっ!痛え…。
痛え。
おばば?
退去を命じられた宮本武蔵は無動寺をあとにした
おばば少し休むか?なんの…。
おぬしに情けを受けて恨みを忘れるような婆で…!ああ痛たた…。
休もう。
ほれ。
痛たた…。
痛たた…。
痛い…。
どこじゃ?うん?
(ため息)おばば又八に会わにゃあ。
何を言うとる?又八は関ヶ原で死んだんじゃ!死んどらん!又八は幸せに暮らしとる。
又八は不破山におらんかった。
たけぞうおぬしはえせ善人じゃのう。
無駄な事を…。
聞きとうないわい!ハア…先の様子見てくる。
おばば少し待っておれ。
ハア…。
小便か?おばば!はっ!はっ!ははーっ!武蔵様からの文です。
武蔵様から?はい。
武蔵様今どちらへ?比叡山の無動寺にいたのですが…旅立たれました。
えっ?ありがとうございました!御免。
ここで飯は食えるのか?はいどうぞ。
又八?たけぞう!
(二人)おう…。
何年ぶりだ?関ヶ原!あれからだ。
あれから会ってないんだ。
ああそうだ。
ついさっきまでおばばと一緒だったぞ。
えっおふくろと?ああ。
京の町のほうに行った。
行って驚かせてやれ。
おばばおぬしが関ヶ原で死んだとばっかり思い込んでる。
まあ…でも久しぶりなんだしとりあえず飲もう。
一本。
その傷下り松の怪我か?知ってるのか?そりゃもう世間じゃ大騒ぎよ!そうか…。
ずっと遊んで暮らしてきたのか?まったく俺は…お甲や朱実のために大事な一歩を過ったものだ。
あの二人は?別れた。
そうか…。
そうだ。
お前宮本村でお通に会うたか?会うた。
お通は今どうしとるじゃろ?お通を捨ててお甲に走った俺を許してくれるじゃろか?お通は今京の本阿弥光悦殿の屋敷に世話になってる。
えっ!京におるんか。
お通とは瀬田で落ち合う約束をしている。
落ち合う約束?お前ら…付き合うとるんか?又八一緒に行くか?又八。
いや…俺はこのまま江戸へ出るつもりだ。
江戸?たけぞうお前こそ俺と一緒に来ないか?いい儲け話があるんだ。
俺はこのまま剣の道を行くつもりだ。
そうか。
じゃあ俺一人で儲けさせてもらうよ。
おばばどうする?おふくろ…。
そうだな。
じゃあ早速追いかける事にしよう。
(又八)たけぞう…いや武蔵また会おう。
ああ。
お通め…裏切りやがって。
(又八)お通!どなたです?俺だよ本位田又八だ。
お通きれいになったなあ。
お前今何を考えていた?別に…何も。
俺の事を考えていてくれたのじゃないのか。
俺は一日だってお前の事を思い出さない日はなかった。
何を言ってるんです?他の女を選んで私を捨てたのはあなたです!以前の事を言われるとつらいなぁ。
全く俺が悪いんだ。
だがなんの因果か俺はお前の事を諦めきれない。
月日が返らぬように私たちの昔の心ももう呼び戻す事は出来ません。
出来ない事はないよお通。
お通…!いいえ…出来ません!お通!お前は武蔵の事を思ってるのか?お慕いしています。
生涯添い遂げる人はあのお方と心に決めて…。
言ったな!お通。
わかった。
俺に会ってそう言えとそれも武蔵の指図だろう。
いいやそうに違いねえ。
いいえ。
自分の生涯を決める事武蔵様の指図は受けません。
俺も意地だ!お通男には意地があるぞ。
てめえがそういう了見なら…。
何するんです!?俺も男だ!俺の生涯をかけて武蔵と添わせてたまるか!!許さぬ!誰が許す!!ああっ!命が惜しいと思ったら武蔵の事など思いませんとここで誓え。
さあ誓え!
(又八)なんだ?これ。
どうした…お通。
(石母田外記)お尋ね申すが…。
(石母田)もしや尊公は宮本殿ではござりませぬか?そうですが…。
おお〜!拙者は奥州青葉城のあるじ伊達政宗公の臣下で石母田外記という者です。
(石母田)おお〜…ホホホ…。
(石母田)いやあ今度の旅ではどこかでお目にかかれるような気持ちが初めから致しておった。
あ…いざ。
いざお近づきに。
外記殿。
ん?これは一体どういう事ですか?拙者のような者のためになぜこのような?なるほど…。
ご不審はごもっともじゃ。
しかし別段意味はないので…。
強いてなんのためにと問わるるならばまあ一言で申せば…惚れたのでござるよ。
男が男に惚れたのでござる。
一乗寺下り松のお働きを伝え聞いて失礼ながら今日まで見ぬ恋に憧れておったのじゃ。
武蔵殿は主持ちになる気はありませぬか?あります。
もちろんあります。
そうですか!それはそれは…。
どうじゃな武蔵殿。
仙台へお越しなさらぬか?拙者がご推挙致せば叶ったも同然。
実を言うと…いつかは仕官したいと長い間願っておりました。
それがこのような形で叶うとは…。
今日まで剣の修行に励んできた甲斐がありました。
誠に…誠にかたじけのうございます。
それほど喜んで頂けるとは武蔵殿を探し回った甲斐があったというもの。
拙者も嬉しい限りじゃ。
ハッハッハッハ!いざ。
ああ…。
ところで武蔵殿。
はい。
つかぬ事をお聞きするが…。
先の合戦において西軍にいたという事はよもやあるまいな?それが何か?もしや…。
はい。
宇喜多秀家様の元足軽をしておりました。
なんと…!なんと…。
宮本武蔵…!この話はなかった事に。
どういう事ですか?家康公が各地の大名に制約状を書かせておるのじゃ。
その中に謀反人を召し抱えてはならぬという一文がある。
謀反人?謀反人じゃ!関ヶ原で西軍にくみした者たちじゃ!!という事は…。
宮本武蔵!貴様を召し抱える事が出来る大名はいないという事じゃ。
徳川の世が続く限り。
貴様は…ただの人殺しじゃ!人殺し…。
(朱実)たけぞうは吉岡清十郎伝七郎を斬りさらに壬生源次郎を斬った。
それで吉岡との果たし合いは終わったはずじゃ。
なのになぜ七十人余りの門人を一人残らず殺したのじゃ。
功名のためか?哀れな男じゃ。
逃げる事も出来たじゃろう!浅ましい。
外道羅刹の名を持ってしてまだ言い足りんせん気がしゃあさんす。
ああーっ!逃げなかったのは武蔵様の心が人殺しを楽しんでいたからです。
(又八)お通待っとってくれ。
絶対関ヶ原で出世して戻ってくる。
約束じゃ!
(縄の切れる音)お通め…どこ行きやがった!ちくしょう!ちくしょう!
(奈良井)又八!魚が逃げるじゃねえか。
これは大蔵様。
どうしてこんなところへ?お前に会いに来たのよ。
策が決まったんでな。
御免ください。
はい。
こちらに宮本武蔵という方は?あ〜そのご牢人なら今朝方旅立たれました。
今朝?はい。
どちらに行ったかご存じありませんか?さあ…。
(大蔵)お前井戸掘り人足になって江戸城の西の丸御新城へ入れ。
機を伺って新将軍秀忠を鉄砲で仕留めろ。
それに使う短筒はこちらの手で城内の椿の木の下に埋めておく。
闇夜に紛れて掘り返せば大丈夫だろう。
だが職人たちは夜になったら家に帰されるからそこは自分で工夫しろいいな。
へえ大蔵様。
でもその前に少しばかり軍資金を。
(又八)ヘヘヘヘ…すいません。
幕府の所在地となった江戸に日本の中心が移り町中がいわゆる建設ラッシュで活気に溢れていた
なんでこんなに家が建つんじゃろう?何をするんじゃ!アッハハハ!ハハハハ!大当たりじゃ!
(笑い声)何を笑う!
(お杉)何を笑う!謝れ!謝れ!
(お杉)全てはあくぞうのせいじゃ。
又八…。
なんで母をおいて死んでしもうたんじゃあ…。
(泣き声)
(沢庵)おばば。
おばばではないか。
沢庵坊。
うん!おばば。
まだ武蔵を追っているのか?当たり前じゃ!京を出たいう噂を聞いたけえ江戸じゃろうと思って追いかけて来たんじゃ。
今はどこの宿におるのじゃ?まだ決まっとらん。
ならわしのいるところに来るか?宿代はタダだぞ。
世話になってやってもええぞ。
沢庵坊…どないしてこげなとこ宿にしてるんじゃろう?
剣を捨てた宮本武蔵は法典ヶ原で暮らしていた
(村人)何してるだ?あんなところに畑作る気でいるのか?一人は死んだ三右衛門ところのガキ伊織じゃねえのか?
(村人)もう一人はそこに住みついた物乞いだ。
先生これどうしましょう?あそこへ。
豊前小倉に本地を置く細川家の細川忠利は江戸の藩邸に住んでいた
(細川)お主妙ななりをしておるの。
侍奉公は初めてか?まだ主取りは存じませぬ。
当家に望みがあるやに角兵衛から話は聞いておるが当家のどこがようて望んだか?死に場所として死に心地のよさそうなお家であると存じまして…。
うむ。
フフフフ…。
武道は?巌流と称します。
(岡谷五郎次)うああー!ううっ!
(岡谷)おっおお…。
(岡谷)うう…ああー!うわあ…!
(岩間)いやあ待たせたな。
少しやりすぎましたか?いやあ上々でござったよ。
殿も感銘を受けておった。
いずれ剣術師範としてお召し抱えになるだろう。
ところでお捜しの宮本武蔵だが…。
何かわかりましたか?下り松以来消息はわかっておらぬ。
何があったのか今では剣を捨てたという噂もあるぐらいだ。
なぜそんなに武蔵にこだわる?不遜に聞こえるかもしれませんが…。
私はもう誰と試合をしても楽しくはないのです。
子供の頃あんなに好きだった剣が今はもう楽しくない。
勝つとわかっていて格下の者を斬るのは苦痛でもあります。
でも武蔵と戦えば子供の頃の純粋な喜びを取り戻せるような気がするんです。
おい!糞骨折ってつまんねえ所に水たまりこしらえるでねえだ!やぶや河原に食えるもんの芽が出るくらいならよおらたちゃあお天道様に腹干して笛吹いて暮らすがよ。
(笑い声)あんな事大勢して言ってます。
どけ。
先生。
先生は死んだ父さんと同じようにお侍さんでしょ?どうして刀を持っていないのですか?先生はここに来た時と同じようにまたいつか旅に出てしまいますか?一緒に住もうって言ってくれて嬉しかったです。
父さんのお墓作ってくれてありがとう。
どうぞ。
ああかたじけない。
木村様はすぐ参りますので。
ああ。
旅のお方。
はい。
つかぬ事をお尋ねしますが宮本武蔵という方をご存じありませんか?ああ…吉岡一門を倒した男であろう。
今どこにいるかご存じですか?ああいや…何も噂を聞かぬなあ。
そうですか…。
(木村助九郎)お待たせした。
ああ。
(伊織)先生!
(馬のいななき)
(伊織)お客さんだよ。
随分捜しました。
あの時の約束覚えておいでですか?宮本武蔵を倒して私が天下無双となる。
受けて立つ。
覚えてます。
ならば今すぐにでもお相手願いたい。
剣を捨てました。
下り松…ですか?そうです。
それで仏像など彫っておられるのですか?
(草笛)
(草笛)
(笑い声)
(山賊たちの笑い声)死者の魂は慰められましたか?わかりません。
(伊織)先生!どうした?すぐ行ってください。
どこへ?村へ。
山の者が来たんです。
一昨々年も襲った奴が…。
山の者…?
(鐘)山賊か。
あの鐘はそれを告げておるのか。
早く行って村を助けてやってください!先生!先生!私が行こう。
先生!案内してくれ。
先生!
(人々の悲鳴)女は生け捕りじゃ!ハハハハハ…お前は俺と一緒に来るんだよ。
うあっ…ああ…。
すごい…。
おい!殺せ!うう…。
うぬか。
俺たちの邪魔に来た野郎というのは。
おお…。
《あいつだ…》刀を捨てろ!
(泣き声)こいつをぶっ殺すぞ!小竹!
(小竹)母ちゃん…!早く捨てろ!三つ数えるうちに捨てねえとこいつを本当にぶっ殺すからな!一つ…。
二つ…。
三つ!ヘヘヘヘヘ…。
野郎どもやっちまえ。
ああ!うああ!うおっ…。
小竹!ああーっ!おい!やった奴にそいつの長えのくれてやるぞ!
(一同)うああー!他人の刀では勝手が違うか?何?宮本武蔵が帰ってきたな。
(伊織)先生!私はこれから豊前小倉藩へ向かう。
待ってるぞ。
(伊織)先生!あの…握り飯ば作ってきました。
食べてくんなせい!ほら…。
ありがとう。
ありがとうございました!いただきます。
(村人たち)いくぞ!よいしょ!
(村人たち)よいしょ!
(村人たち)よいしょ!よいしょ!
(妙秀尼の声)武蔵殿はなんのために剣の道を歩んでおられる?ではいつか本当の意味を見つけられるといいですね。
(村人たち)よいしょ!
(村人たち)せーの…。
伊織。
(伊織)はい。
(村人たち)よいしょ!せーの…。
(村人たち)よいしょ!せーの…。
(村人たち)よいしょ!よし!せーの…。
(村人たち)よいしょ!動いた!動いた!いいかみんな!
(村人たち)よいしょ!
(村人たち)せーの…よいしょ!伊織。
はい。
俺はここを出ようと思う。
はい。
ここは先生のいる場所ではありません。
先生はもっと別の場所にいる方です。
ああっ!あーっ!
(又八)あっ…。
なんだてめえ?え?なんです?あーっ!俺の道具踏みつけやがってこの野郎!おい!おい捕まえてくれ!何しやがるんだ!あっあっ…おい!待て待て待て!うわっ!この野郎!
(又八)うわーっ!
(職方目付)しばらくそこでおとしくしてろ!
(鍵をかける音)作業終了!終了!作業終了!終了だ!少しは反省したか?
(職方目付)うわーっ!あった!石か!ないよ…ないない…。
ないよ!ない…。
ないよ!ないよ!あるものか。
(又八)沢庵!なんで?おいで。
来ないか。
おいでと言うに…。
これを…この穴を…。
よせ。
無駄な事。
人間が地上に描いた諸行は善業悪業共に白紙へ墨を落としたように一生消えはしない。
(沢庵)今した事もそうして土をかければすぐに消えると…。
そんな考え方だからお前は人生をぞんざいなものにするのだ。
お前は大それた罪を犯そうとした大罪人。
さあ来い!沢庵が斬首にして血の池へ蹴り込んでくれる!痛てて…痛ててて!痛てて!耳がちぎれる!耳がちぎれる!痛てて!痛い痛い痛い痛い…!
(鐘)
(鐘)お久しぶりです。
(日観)おお…。
武蔵か…ははっ。
いやかたじけない。
ああ…甘露甘露。
うまい。
ヘヘヘ…。
武蔵…。
いいあんばいに弱くなっとるのう。
はい。
ヘヘヘ…。
あなたの師匠胤栄は晩年命を生かす仏道と命を殺す武道の矛盾に悩み槍を廃し弟子たちにも武芸の修行を禁じたと聞きました。
うむ。
じゃが宝蔵院たっての頼みで引き続きこのわしが槍を教える事に相成った。
あなたはその矛盾をどのように克服なされたのですか?克服?ああ…。
克服はしとらん。
我が師胤栄が出来なんだ克服をこのわしが出来るはずがなかろう。
あほ。
ハハハ…。
矛盾は矛盾のままここにある。
人はとかく何事にも白黒をつけたがる。
善だの悪だの…敵だ味方だなどと白黒をつければすっぱりとして気持ちがええじゃろう。
しかし生きるという事はそういう事ではない。
白と黒との間の灰色…。
そこにとどまってこそが大切なんじゃ。
真の強さとはそうしたものじゃ。
武蔵。
人に問うても答えは見つからんぞ。
答えは己の中にある。
実に…。
難しい。
ハハハハハハ…。
失礼する!助けてください沢庵様!私は奈良井の大蔵にだまされたんです!
(沢庵)将軍暗殺を察知した池田輝政公の命により江戸城に逗留していたがまさかおぬしが関与しておるとはのう…。
沢庵様!助けてください!もう間に合わぬ。
(又八)でもまだ将軍様に鉄砲向けたわけではありません。
どうか!どうか助けてください!生まれ変わって生まれ変わって…きっときっと…!痛てて…。
(お杉)又八?又八!おふくろ!生きとったんじゃのう…。
生きとったんじゃのう!悪かったおふくろ!生まれ変わったら今度こそ…今度こそ…孝行するから!又八!又八!又八!
(又八)ああ…。
沢庵坊!助けてくれ。
助けてくれ!
(又八)おふくろ…おふくろ…ごめん…。
ごめんな…うう…。
又八?やれ。
(役人)ああ。
うう…!ああーっ!!又八…。
又八…!又八!又八!又八ーっ!又八…。
おふくろ…。
ああ…。
又八。
お前は生まれ変わったのじゃ。
先ほどの言葉決して忘れるでないぞ。
はい!
(赤ん坊の泣き声)
(朱実)たけぞう?お元気で。
(赤ん坊の泣き声)どうしたどうした?ん?
(朱実)よしよし…。
たけぞう!又八?おふくろ!おふくろ!武蔵だ!武蔵が帰ってきた!
(お杉)たけぞう…。
おばば…。
たけぞう…これまでのおばばの数々の狼藉許してくれ!おぬしの言ったとおり又八は生きとった!大丈夫だおばば。
最初から許しとる。
たけぞう…。
そっか…。
又八も坊主になったのか。
俺も生まれ変わったのだ。
そうか。
あっ沢庵和尚がここにいると聞いてきたのだが…。
ああいる。
…が今山のほうへ行ってる。
どうじゃ?すごいじゃろ?痛っ!
(お杉)アハハハハ…。
何するんじゃ!変わっとらんのう。
沢庵和尚。
おお武蔵。
久しぶりだな。
まあこっちへ来て座れ。
今夕日を楽しんでいたところだ。
夕日はいいぞ。
夕日は人の死を表しておる。
わしは夕日が好きだ。
どうじゃ?少しは人間らしくなったか?
(ため息)前より弱くなった。
ハハハハ…。
そりゃいい。
そりゃいい。
これから豊前に行ってくる。
ほう…。
これまたどうして?佐々木小次郎と戦って天下無双を決める。
これはこれは…。
また出世のためか。
いや徳川の世が続く限り俺は一生牢人だ。
関ヶ原で西軍についたのが運の尽きだ。
ではなんのために戦う?出世はせずとも名をとるか?佐々木小次郎を倒した男として後世に名を残すか?以前は出世のため名誉のために戦った。
世間の評判を上げようと必死だった。
そんな私利私欲で…。
俺は吉岡一門を皆殺しにした。
七十人以上の殺さなくていい人の命を奪った。
(沢庵)死んだら間違いなく地獄行きだ。
ああ。
名もいらぬ。
世間の評判もいらぬ。
出世もいらぬ。
ではなぜまだ戦い続けるのじゃ?もっと先が見てみたい。
何の?限界の…その先にあるもの。
俺は見てみたい。
小次郎と戦ったその先にあるもの。
きっと小次郎も一緒だろう。
死…。
…かもしれぬぞ。
そうかもしれん。
だがそれでも俺は構わん。
死のその最後の瞬間まで俺は見続けてやる。
お通はどうする?お通とは京で別れて以来会っていない。
どこでどうしているのやら…。
俺はお通が好きだ。
その気持ちはきっと変わらないだろう。
たとえお通の気持ちが変わったとしても誰か別の男と添い遂げようとも…。
俺の気持ちは変わらない。
きっと…死んでもその気持ちは変わらないだろう。
俺の心と体は剣の道に生きる。
だが俺の魂は…。
お通と共にあるだろう。
また会おう。
また会おう。
お通。
なぜ出て来なかった?今出て行ったらまた武蔵様を引き留めてしまう馬鹿な女になりそうで出て行けませんでした。
武蔵は気づいておったぞ。
お通がそこにいる事に。
はい…。
その上であのお言葉をくださいました。
それだけで…。
私は幸せです。
宮本武蔵は船島へと向かった
のちに巌流島とも呼ばれるその島へ…
いい天気だな。
(佐助)いい天気やね!こん季節にしちゃあ珍しくいい天気やね。
お侍さんそげん古い櫂をどうするんね?ん?あっ…。
細魚ばい。
焼いて食ったら相当うまいっちゃ。
娘の大好物ばい。
娘?娘が三人おって坊主が五人おるんよ。
にぎやかだな。
いや〜本当ね。
うろちょろしてから相当しゃあしいっちゃ。
他にじいさんとばあさんもおるけぇ。
まあみんな元気なだけが取り柄ばい!ん…?船島にはなんしに行くんね?決めに行く。
天下無双が誰であるか。
(又八)なぜ武蔵は戦い続けるんでしょう?人はそれぞれ違う形で戦い続けているものだ。
お前は毎日自分の怠け心と戦っているだろうが。
でも…命はかけてません。
命を…かけてやれ。
すいません。
だが武蔵と小次郎二人の天才の戦いには普通の戦いとは違う別の意味がある。
剣の道を行く者全てにとって…。
いや…人間そのものの存在にとっても特別な戦いとなるだろう。
すまん。
こいつを頼む。
それはどうして?武蔵はわしに限界の先を見たいと言った。
小次郎もそうだろうと。
例えばこの扇が人間全体が持っている可能性だとする。
可能性という言葉ではなく将来への蓄えと言ってもいい。
誰かが自分の限界を超えると…。
(沢庵)可能性の蓄えが大きくなる。
武蔵と小次郎は戦いのうちに何度も何度も己の限界を超えるだろう。
すると人間全体が持っている可能性がここまで大きくなる事になる。
剣の道にとっても全ての人間にとっても二人の戦いは大切なものとなるだろう。
待ちかねたぞ武蔵。
ああ。
遅くなった。
用意はいいか?整ってる。
いくぞ。
…いざ。
何か見えたか?武蔵。
まだわからん。
(荒い息遣い)うっ…!うっ…!うっ!うう…!うおおぉーっ!!
(荒い息遣い)
(荒い息遣い)2014/03/16(日) 21:00〜23:24
ABCテレビ1
テレビ朝日開局55周年記念 2夜連続ドラマスペシャル「宮本武蔵」第二夜[デ][字]
日本に、こんな強い男が実在した!日本人に愛され続ける剣豪・宮本武蔵に木村拓哉が挑む!今夜、堂々の完結!!
詳細情報
◇番組内容
木村拓哉が剣豪・宮本武蔵の軌跡を鮮やかに演じる大型時代劇の第二夜。
“巌流島の戦い”をクライマックスに、吉岡清十郎との死闘“一乗寺下り松70人斬り”など怒涛のアクションが連続!試練と挫折の果てに武蔵がたどり着いた境地とは…!?そしてお通との悲恋の行方は…!?
◇番組内容2
ついに天才剣士・吉岡清十郎(松田翔太)と剣を交えた、宮本武蔵(木村拓哉)。吉岡一門の恨みを買った武蔵は、復讐に燃える門弟たちと決闘することに。佐々木小次郎(沢村一樹)が見守る中、たったひとりで70余人の吉岡一門を相手に戦いを挑むが…!?
◇出演者
木村拓哉、沢村一樹、真木よう子、松田翔太、中谷美紀、倍賞美津子、武田鉄矢、八千草薫、西田敏行、ユースケ・サンタマリア、香川照之
◇出演者2
※以下、出演者五十音順
青木崇高、東幹久、今井雅之、夏帆、鈴木福、鶴田忍、デビット伊東、袴田吉彦、平泉成、森本レオ、竜雷太、渡辺大
◇スタッフ
【原作】吉川英治『宮本武蔵』(講談社刊)
【脚本】佐藤嗣麻子
【音楽】服部隆之
【ナレーション】市原悦子
【監督】兼