騒音が鳴り響く建設現場
ところがその壁の外では…
スヤスヤと眠りにつく赤ちゃん
こんな理想の環境を実現するための
夢の技術がある
世の中にあふれる様々な音
でもそうした騒音のもとを
空まですっぽりと覆い隠すことなどできない
そこで生まれたのが…
鍵は何の変哲もないこのパネル
壁の上にのせるだけで騒音は体感で何と半分になるという
よく見ると細かい穴が開いて向こうが透けて見える
なぜこんな薄いパネルで音を小さくできるのか?
開発したのは音に人生をささげた男…
やっと光が見えたというか成果が出だしたわけです
魔法のパネルと世界初の理論で騒音を減らしたい
目指すのは誰もが心地よく暮らせる環境づくり
Ihaveadream
この日河井は30年という歳月をかけて作り上げた
パネルの効果を自ら確かめるという
コの字に囲まれた壁の内側で太鼓をたたき
その外側で音の大きさを測定する
まずはこの音をお聞きください
(太鼓が鳴り響く)
ここで登場するのが河井の開発したパネル
壁のへりに取り付けるだけで音がどう変わるのか?
聞き比べてください
(太鼓が小さく鳴る)
(太鼓が鳴り響く)
(太鼓が小さく鳴る)
太鼓の音の大きさは…
それがパネルを付けることで
…に下がった
これは…
体感では半分以下に感じられるほどの差が出た
10dB下げてくれよと頼まれて下げようとすると従来だったら壁を3メートル上げようと提案してたものが60センチで済むホントにすごい技術だと思いますここまで落ちると思ってなかったです
ポイントは壁のへりの部分にあるという
へりに布をのせるだけでも音が小さくなる
本当だろうか?
大型トラックが行き交う道路
道に面した庭先の騒音は…
用意した布を塀のへりに木枠の上から掛ける
30センチの高さに毛布を干したような状態だ
布がある場合とない場合で聞き比べてみよう
(音が大きく鳴り響く)
(音が小さく響く)
(音が大きく鳴り響く)
(音が小さく響く)
騒音計の数値は…
自分でやってみようかなだって布を掛けるだけでいいんでしょ
なぜへりに布を掛けただけで音が抑えられるのか?
河井がそれを発見したのは今から…
建築音響工学の世界に足を踏み入れたばかりの頃だ
コンサートホールをはじめ建築に関わる
あらゆる音の基礎となる研究をしていた
その研究中に
…を偶然発見した
計算してみるとそういうのがわかったんです
そもそも音は空気の粒子が振動して伝わる
(太鼓をたたく)
河井が発見したのは音を伝える空気の粒子が
壁のへりで激しく振動すること
それによって音は一層大きく伝わる
河井はこれをこう名付けた
心が躍った
音を伝える空気の粒子の振動はへりで大きくなる
河井はすぐに論文にまとめて世界に発表した
ところが聞こえてきたのは賞賛ではなく批判の声
理由の1つは…
当時のコンピューターでは粒子の振動の膨大なデータを計算できなかった
「コンピューターにできないなら自分で計算するしかない」
河井は仕事の合間を縫い
理論を証明するための難解な計算を続けた
これ私の虎の巻みたいなので…いっぱい計算式を書いてるんです料理人でいえばレシピですよね
(スタッフ)これには先生の30年間の研究が全部入ってる?ほとんど入ってます
膨大な量の複雑な計算式は
河井の闘いの記録
「進んでいる道が正しいのかわからない」
「それでも発見した音の現象を証明したい」
1人計算式と格闘する日々が続いた
やめてしまおうとか思ったことは何度もあります好奇心大ですよこういうことをやってみたいとか何とか追究してみたいそれに向かっていくときに情熱と忍耐力がないと…
河井の夢を支えていたのは…
「この理論はいつかきっと世の中の役に立つ」
河井はそう信じて来る日も来る日も計算を続けた
そうして30年
コンピューターの進歩にも助けられ
膨大なデータをそろえ
自らが発見した音の現象を証明した
そして河井は確信する
へりで大きくなる空気の…
ありがとうの言葉を
研究一筋に生きてきた河井
息抜きは行きつけのスナックでのカラオケ
だがここでも音のことが頭から離れない
お酒の瓶や壁の絵などが
心地よい音の響きを生んでいるという
音への好奇心と情熱を絶やすことなく
忍耐強く研究を続けてきた河井
30年かけてへりで音が大きく伝わることを証明したが
その理論を実用化するすべがなかった
4年前そんな河井はある人物に協力を求めた
数多くのコンサートホールの設計を手がける音響のエキスパートだ
河井の理論を初めて荒木さんに聞いてもらうと…
すごくびっくりした
壁の面で吸音することが常識だった荒木さんにとって
壁のへりで吸音するという河井の理論は衝撃的だった
最終的に先生の思いはそれを世の中に役立てたいために製品にしたいそもそも私基礎理論ばっかりやってたのであんまりこういう実務というか実際のところはよくわかってなかったから
現場の物づくりのプロたちとつながりのある荒木さん
河井は理論を製品化して役立てるためのよきパートナーを得た
そして2人は高速道路の騒音を減らすために動き始めた
皆さんが利用する映画館とコンサートホール
この2つの場所には
全く違う音響効果の工夫があるって知っていますか?
映画館の場合床はじゅうたん敷き
いすは布で覆ったクッションが一般的
これは音を反響させないようにするため
反響するとセリフが聞き取りにくくなるんです
一方コンサートホールの床やいすは
木などの硬い素材で作られています
これは楽器の音を反響させて豊かな音色を伝えるための工夫
共に音が大切な場所ですが
音の反響に関しては正反対の造りなんですね
壁のへりで騒音を抑えるという画期的な河井の理論
注目したのは建設業界だった
建設現場にとって騒音対策は大きな悩みのタネ
とはいえ音の発生源を空まで覆い隠すことなどできない
大手ゼネコンに勤める小林さんは河井の理論に飛びついた
これはすぐに何か今までにないものをつくりたいと思いましたね
2人は壁のへりに取り付ける騒音を抑えるパネルを
穴の開いた素材で作ろうと考えた
その仕組みはこうだ
空気の粒子が激しく振動する壁のへり
そこに細かい穴の開いた素材をのせる
すると空気の粒子の振動は
細かい穴の中へと入り込み吸収されていく
そうして外へ伝わる騒音を小さく抑えようという狙いだ
早速小林さんとともに開発を始めた河井だったが
1つの問題に直面した
想定よりも音が減少しない
原因はパネルのへりに新たに生まれた振動だった
騒音を抑えるパネル開発に問題が発生
パネルによって音は低減するものの
そのパネルのへりにも粒子の振動が生まれてしまう
そこで上にいくほど薄くなるようパネルを積み重ね
振動を徐々に小さくしようと試みた
粒子の振動を減らす最も効果的なパネルの数は?
試作品は20通りにも及んだ
研究っていうのはレールの上行くわけではないんですよどちらかといえば…その道行ったらひょっとしたら崖で終わってるかもしれないしそういうのはしょっちゅうですから
試行錯誤の末に完成したのは実用化でのコストも考え
3つのパネルを重ねた60センチのパネル
その効果のほどは?
コの字に囲った壁の内側でトランペットを吹き
壁の外側で音の大きさを測定する
パネルでどれほどの違いが?
(トランペットが鳴り響く)
(トランペットが小さく鳴る)
(トランペットが鳴り響く)
(トランペットが小さく鳴る)
騒音計の数値は7dB下がっていた
壁の向こうのトランペットの音を
通常の会話レベルに抑えたことになる
常識を覆す高性能の遮音パネルが完成した
これならスタジアムの大歓声も…
工場の音も…
様々な騒音が抑えられる
河井は新たな製品の開発も目指していた
高い遮音壁は景観ばかりか日照問題も引き起こす
河井の理論による遮音パネルなら
高さを3分の1減らしてもその効果は変わらない
河井の理論と開発企業をつないできた荒木さんと共に
製品の最終確認へ向かう
いい性能が出ればいいんだけど
今回の製品を共に開発してきた木山さん
高速道路用の遮音パネルに使う
最適な素材を模索してきた
試した素材の組み合わせは100パターン以上に及ぶ
そうして完成したのがこちら
車が衝突することもある高速道路の遮音壁
何度も強度テストが繰り返された
強度を求めるあまり肝心な遮音性能は落ちていないか?
この日高速道路の音を再現し
遮音パネルの性能を確かめる
河井が高速道路用に開発した遮音パネルの性能テストが始まる
効果を比較するためまずは…
普通の壁の状態にする
壁の向こう側にスピーカーを置き
高速道路の騒音を流すと…
(音が大きく鳴り響く)
続いて鉄板を外し遮音パネルの威力を確かめる
(音が小さく響く)
(音が大きく鳴り響く)
(音が小さく響く)ずいぶん音のイメージが変わりましたよね
騒音計の数値は7dB減り
オフィス並みの静けさになったから驚きだ
すごくいいものができたとは思ってます
そして今月河井の遮音パネルが
試験的に高速道路に取り付けられた
今後数週間をかけてデータを取り
その性能を検証していくという
30年前誰にも相手にされなかった理論が
ようやく形になり世の中の役に立つ
河井の忍耐のたまものだった
天才なら好奇心だけでいけるかもしれないけど我慢してやってきたことはいつか花開くと思ってます
研究一筋
製品化のノウハウなど知らない河井の救世主となった荒木さんは…
30年間の孤独な闘いを1人でやってこられたと思いますがやっと日の目を見るというか製品があちこちに完成してきましたこれからもっとどんどんとこの理論で世の中の騒音がなくなったらいいなと思ってます僕たちも応援しますのでそれを20分の130分の1まで先生が頑張って落としていくようお願いします基礎理論ばっかりやってましてねあまりお役に立てないことも多かったかなまだ満足するとこまではいかないんですけどこれからも頑張って静かな騒音環境をつくる努力はしたいと思ってます
活躍の場を広げる河井の遮音パネル
ここでは室外機の騒音対策に使われていた
それは室内でも活躍
展示コーナーを天井まで塞がないパーテーションで仕切った場合でも
隣り合う空間への音漏れを減らすという
30年間道なき道をかき分けた先に見えてきた河井の夢
騒音の少ない誰もが心地よく暮らせる環境はすごそこにある
次回は…
困難と言われる地震予知に真っ向から挑む信念の男
鍵を握るのは深さ数千メートルもの深海で
海底のわずかな砂の動きをミクロ単位でとらえるテクノロジー
ナレーターは彼にバトンタッチ
「駆け込みドクター!」今夜は
2014/03/16(日) 18:30〜19:00
MBS毎日放送
夢の扉+[字]【30年の闘い…騒音が半減する新技術】
騒音が半減!? 音響解析のプロが生む“魔法のパネル”「遮音+吸音」〜世界初の新技術で快適な暮らしを! ナレーター/向井理
詳細情報
お知らせ
音をはね返す従来の遮音壁に、“高さ60cmのパネル”を乗せるだけで、体感で、騒音が半分以下に低減する— そんな魔法のような技術が生まれた!
車が行き交う幹線道路、鉄道、建設現場、工事現場・・。環境省によると、騒音に関する苦情件数は、年間1万6千件を超える。こうした騒音問題を少しでも減らしたいと、全く新しい理論を提唱し、高い減音効果を発揮する吸音パネル開発にこぎつけたのが、関西大学教授、河井康人。
番組内容
河井が注目したのは、板や壁の「へり(エッジ)」部分。その表と裏の境付近では、音を伝える空気の粒子が激しく振動していることを発見した。『この振動を抑えられれば、騒音を低減できるのでは?』
エッジ部分を、どんな素材と構造にすれば、最も効果が得られるのか。小型化、薄型化と同時に、強度と遮音性能を高めようと、模索を続ける。次なる挑戦は、これまで高さが必要だった高速道路の遮音壁を、3分の1低くすること!?
出演者
【ドリーム・メーカー】関西大学 環境都市工学部 教授 河井康人(63歳)
【ナレーター】向井理
音楽
【テーマソング】
「やさしい雨」
唄 小田和正(アリオラジャパン)
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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