中国の西の果て
敦煌
その先にはどこまでも砂漠が広がっています
砂漠に一筋の流れが
ほとりには川が削り出した断崖が続いていました
よく見ると崖に無数の穴があいています
実はこの穴
全て人が掘り抜いて造ったお堂
石窟なのです
その数700あまり
扉を開けると
壁一面に鮮やかな色
1300年前の美の世界が
そのまま残されていました
今日から2回にわたり敦煌の莫高窟スペシャル
断崖に1000年かけて掘られた穴
その一つ一つに
カラフルな仏像や絵があふれています
なぜ古代の鮮やかな色が残ったのか
前編は砂漠に花開いた美の秘密に迫ります
敦煌は中国の最果ての地
ここを越えれば異国
インドやペルシャへと至る西域でした
これは関所の跡
かつての国境線万里の長城が
砂に消えてゆきます
山の麓に莫高窟はありました
第一の驚きは…
穴の一つ一つが
異なる壁画や仏像で彩られていました
莫高窟のシンボルがこれ
巨大な楼閣です
崖の前を木造の建物が覆っています
断崖の高さは30メートルほど
穴は2層から3層に掘られ
南北1.6キロも並んでいます
穴の一つ一つが番号を付けられた石窟です
これは第130窟
崖に大仏が彫られていました
高さは26メートル
奈良の大仏の2倍近い巨大さ
今回石窟の内部は
高画質の4Kカメラで撮影しました
顔を間近に拝むため
3階建ての楼閣が築かれています
大仏の表面は粘土で形を整え
体全体に色を施しました
袈裟にはわずかに金箔が残されています
大仏が造られたのは今から1300年前
当時は黄金に輝いていたのです
実は20世紀の初め
莫高窟は砂の中に埋もれていました
崖の岩はもろく崩れやすいのです
現在の外壁は保護のため塗り固めたもの
第427窟には
建設当初のひさしが残されています
驚くのは壁という壁が
極彩色で塗られていたこと
二つの部屋が掘り抜かれていました
前室で高さ4メートルもある力士達が
仏を守ります
奥の部屋の三面の壁には
それぞれ過去現世未来を表す仏像が
置かれていました
天井や壁を埋め尽くすのは釈迦の姿
千の仏「千仏」といわれます
昔は全ての顔に金箔が貼られていました
石窟は金色の光が満ちていたのです
華やかな装飾が施された石窟は全体の7割ほど
ここでは天井が屋根のように
三角形に削り出されました
莫高窟を代表する仏像が納められています
中央は釈迦
左右に3体ずつ
弟子菩薩仏を守る天王です
どの像も写実的で色鮮やか
中国風の衣は質感さえ分かるほど
かつては外壁にも美しい絵が描かれていました
これは極楽浄土に住む「飛天」
衣をたなびかせ天を舞います
壁から突き出しているのは古代の梁
この上に通路を作り
渡り歩けるようにしたのです
これは最盛期の想像図です
まさに一大仏教施設でした
莫高窟とは
他に比べるものなき石窟を意味するのです
莫高窟がなぜ造られたのかを知る
初期の石窟があります
真ん中に設けられた四角い台は
戒壇と言います
仏の道を目指す者は
ここで守るべき戒を誓い僧侶になりました
両側の壁には小さな穴が並んでいます
座禅を組むための小部屋
もともと石窟は修行の場だったのです
壁画仏像建物が一つになった
世界最大の石窟寺院莫高窟は…
莫高窟は鳴沙山という砂山の麓に築かれています
白い砂山の中に三日月形の泉が
どんなときも水が枯れることがない月牙泉です
ここでは靴カバーをつけて砂山登りを楽しめます
この砂
鳴くような音を出すことから鳴沙山と名付けられました
砂山の頂からは絶景が
美しい月牙泉の眺めです
大人気が砂漠をラクダで行くツアー
遠い昔シルクロードの旅人も
こんなふうに異国を目指したのでしょう
敦煌の周りに連なる奇岩
366年一人の修行僧がこの地を訪れます
インドで始まった仏教の教えを求める旅でした
そして断崖で
金色に輝く光を見たのです
仏が現れたと思った僧は
一つの石窟を開きました
それが莫高窟の始まり
南北二つのエリアに分かれる莫高窟
壁画や仏像でカラフルに飾られているのは南区
祈りの場でした
北区はほとんどの穴がむき出しになっています
非公開のエリアで普通は入ることができません
崖を掘っただけの質素な石窟
ところが近年の発掘で
驚くべき事実が明らかに
人骨が散らばっているのはなぜ?
砂漠に現れた美の世界
二つめの驚きは…
そこで死を迎える者もいました
北区は一般には公開されていません
専門家に案内してもらいました
石窟の中はいくつかの小部屋に分かれていました
でも仏像も壁画もありません
なぜ崖にわざわざ穴を掘ったのでしょうか?
狭いから気をつけて身長165センチの私でも天井に頭がぶつかりそうですよこんな狭い所で修行していたんですよ
小さな穴は座禅を組むための場所でした
1980年代からの発掘調査で
北区は僧侶が暮らしていた生活の場だと分かったのです
天井はススで黒くなっています
片隅のかまどで煮炊きをしたのです
食器などの日用品も出土しました
木のおわん
銅製の皿
僧侶は小さな仏塔や仏像を作り
参拝者に配ったといいます
莫高窟の目の前を流れる川
必要な水は十分にありました
人里から離れ静かに瞑想にふけるには
最適の場所だったのです
修行僧の中には石窟で死に臨む者もいました
ここは年老いたり長年修行した僧侶が即身仏になるために最期にこもった石窟です壁をふさぎあの小さな穴から少しの水や食べ物を入れたのです
莫高窟で死ぬことは僧侶にとって夢だったのです
シルクロードのオアシス都市敦煌は
中国にやってくる旅人の玄関口でした
古くからの敦煌名物がこの店で食べられます
4代続く老舗
地元でとれた小麦を使う手延べ麺が特徴です
道具を一切使わず
手だけでひたすら延ばす
だからツルツルもちもちした食感に
ロバ肉のミートソースをかければ中国版スパゲティ
これが大人気の…
荷物運びに使われたロバは
車が普及すると食材になったとか
なんとロバ肉づくしも楽しめますよ
莫高窟で最も美しい壁画
白く透き通るような肌をした菩薩です
1300年前の色彩が
なぜ美しく残っているのでしょうか
シルクロードの玄関口敦煌
三つめの驚きは…
古代の色が鮮やかに残った秘密は壁の土に
敦煌では雨はほとんど降らず
石窟の中がカビることはありません
そのため奇跡的に美しい色が残りました
透けるような白い肌をした菩薩です
ここは「美人窟」と呼ばれます
冠は絵の具に金箔を混ぜ盛り上げています
壁画が美しく残っている要因として石窟の壁や絵の下地がとてもよくできているということがあります
職人は壁に泥を塗り
滑らかな土のキャンバスを作りました
さらに細かい砂で平らに仕上げ
石窟全面に絵の下地を塗ったのです
下地は近くの砂にニカワを混ぜたもの
ニカワの粘り気が土壁に絵をしっかりと
定着させたといいます
色彩が鮮やかに残った理由はまだあります
絵の具は色のついた石を砕いた粉末
だから色彩が長持ちします
けれど敦煌周辺で手に入らない色がありました
ラピスラズリです
この青だけは今でも国外から手に入れています壁画にもこの色は使われていますが資料によるとアフガニスタンからシルクロードの商人達によって運ばれてきていました
シルクロードで運ばれた莫高窟の青
色落ちのない絵の具
ところが同じ絵の他の菩薩は真っ黒です
何が起きたのでしょう?
まだ研究中なのですがこちらの黒くなった部分には硫化水銀が含まれる絵の具を使っていたのでしょう絵の具の成分が酸化したのが変色の主な原因と思われます
女性のような優しいまなざし
人々を慈しむ菩薩の姿は
日本へも大きな影響を与えました
中国の西の果てで生まれた美しい世界
それは辺境の乾いた土地だからこそ
色あせることなく守られたのです
敦煌の莫高窟
ここはまさに砂漠の大画廊です
敦煌スペシャル後編は
隠された小部屋を発見
世界中から探検家が殺到しました
海を渡った敦煌の美の物語です
騒音が鳴り響く建設現場
2014/03/16(日) 18:00〜18:30
MBS毎日放送
THE世界遺産[字]【700の穴!砂漠の大画廊〜中国】
中国・敦煌の莫高窟。そこには仏教芸術の精粋ともいえる美しい壁画と仏像がありました。1000年の時を越え、色鮮やかに残る仏たちを4Kカメラの映像でお届けします!
詳細情報
お知らせ
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番組内容
中国の西に広がる砂漠地帯。シルクロードの中継点となったこの地は、様々な文化が集まった。その中の鳴沙山の断崖に4世紀から1000年に渡り、700もの石窟が掘られた。「南区」と呼ばれる石窟エリアは仏教美術の宝庫。当時のままの色彩豊かな壁画や写実的な仏像が残る。また「北区」石窟エリアには人骨が。そこには莫高窟の始まり、僧侶の祈りの場の痕跡があった。
出演者
【ナレーター】
深津絵里
音楽
【オープニングテーマ曲】
「風の詩〜THE 世界遺産」小松亮太
【メインテーマ曲】
「Les enfants de la Terre fantaisie〜地球のこどもたち〜」
作曲 服部隆之 演奏 宮本笑里 with 仙台フィルハーモニー
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
福祉 – 文字(字幕)
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