春はあけぼの。
やうやう白くなる山際。
早朝の京都大原に枕草子の世界が広がる。
母と息子の大原散歩。
ベニシアさんと間もなく大学生になる息子悠仁君。
大原に暮らして16年。
この時期毎年2人が楽しみにしているイベントがある。
向かったのは三千院。
1,000年以上の歴史を持つお寺。
(ベニシア)寒いから熱い大根食べたい。
京都の季節行事。
大根焚きへやって来た。
(2人)こんにちは。
うわすごい!
(辻)いらっしゃい。
何か久しぶり。
お久しぶり。
(悠仁)お久しぶりです。
大原育ちの辻美正さんは地域のリーダー的存在。
有機農法で作られた大原産の大根を辻さんが煮込んだ。
食品関係の仕事をしている辻さんは味にこだわる。
昔ながらの行事大根焚きには無病息災の願いが込められている。
(辻)悠仁2つくらいいけるやろ?
(悠仁)ありがとうございます。
温まりそう。
温まって下さい。
今日来た人ラッキーって感じだね。
(辻)ゆっくり食べて下さい。
ありがとう。
ありがとうございます。
頂きます。
うまい。
おいしい?おいしい。
やっぱり辻さんの味やな。
おいしい。
おいしいでしょ?辻さんのはおいしいもん。
ありがとう。
味付けるのが仕事やしな。
おいしい。
ねえ。
いつもみんなでやってる感じあるもんね。
ここ居たら知ってる人居るしみんな一緒にやってるからすごくそれいい事やね。
みんな知ってる同士が多いから。
コンビニのバイトでも大原の常連さんが来て「悠仁君や。
大きくなったね」みたいな。
めっちゃ楽しいですね。
面白い人とか多いし。
成長する姿をみんなで見守る。
それが大原の子育て。
ベニシアさんが暮らす古民家の庭でもようやく春の足音が聞こえてきた。
今日はアロエの株分けをするという。
もとの株はこれ。
これは赤ちゃん。
株分けは2年に1回くらいするべきやね。
土も新しい土。
何か不思議な形やねアロエは。
日本に来るまで全然アロエの事知らなかった。
多分日本ではやけどしたら使ってる人が多いと思う。
アロエはベニシアさんの暮らしに欠かせないハーブ。
アロエを使ってシャンプーを手作りする。
ローズマリーと昆布のシャンプーを作りたいと思ってます。
今日は特別アロエも入れようかなと思ってます。
アロエもシャンプーの中に入れたら髪の毛が元気になるらしい。
最初はローズマリーと昆布を煎じます。
この水の中に入れます。
大体15分くらい煎じて。
日本に初めて来た時昆布シャンプーを見つけてすごく私の髪の毛によかった。
昆布があるから日本の女性の髪の毛きれいやなと思って。
だから自分のシャンプーを作る時は是非昆布を入れようと思って入れてます。
イギリスは昆布は全部堆肥になってる。
向こうで全然知らないよね。
昆布のよさ分かってないよね。
アロエの準備します。
中のゼリーみたい。
トロトロなんですけど。
イギリスでは昔あんまりアロエは知らなかった。
私はアロエ化粧水を最初作ってそれがよかったからアロエ化粧水の中にゆずの種とかどくだみを入れてそれでもっともっとよくなって。
本当に好きな好みで私はプロではないからあるものでいろいろ楽しく試してるだけですから。
お湯が薄い緑色になったらこす。
昆布は髪に艶を出す効果がある。
使い終わったらコンポストへ。
お湯が熱いうちに粉せっけんを加える。
アロエは頭皮を守り髪に潤いを与える。
アロエ入れてローズマリーを2滴。
香りづけにエッセンシャルオイルを加える。
最後に日本の昔の知恵のツバキ油やね。
ツバキ油は紫外線やドライヤーの熱から髪の毛を守る。
あまりとろみがないけど冷えたらとろみが出る。
冬すごく寒い時は硬くなるからお湯につけておく。
その瓶のまま。
はいできました。
ベニシアさんオリジナルのアロエシャンプー。
日本で身につけた知恵が詰まっている。
古民家の和室。
ベニシアさんお気に入りの額にはたきをかける。
数年前骨とう屋で手に入れた浮世絵は特に大切にしている。
古い日本の家ですからこういう絵は合いますね。
雰囲気が出るのね。
自分の好きな絵。
これは日本に初めて来た時浮世絵にすごく興味があって季節の事も感じるし日本の美しさも。
この時代江戸時代すごく好きやねん。
ベニシアさん日本画に描かれる季節の情緒が好き。
先日旅先の友人の家である浮世絵に目を奪われた。
今でも覚えてる。
印象に残って。
繊細で色がすごい鋭いって感じで。
多分今までみた浮世絵の中で一番きれいと思った。
その浮世絵は同じ京都に住む人が描いたらしい。
もっと彼の浮世絵が見てみたいと画家の自宅を訪ねた。
お邪魔します。
(立原)はい。
こんにちは。
こんにちは。
木版画家の立原位貫さん。
すてきな家。
立原さんベニシアさんが旅先で見たという作品の原画を用意してくれていた。
(立原)額に入ってましたよね?そうそうこれや。
立原さんのオリジナル「牡丹」という作品。
満開の花の生命力と独特な色遣いが印象的。
カラーがすごく落ち着いて。
この色だけどあるの?この色の牡丹。
いやこの色の牡丹はないです。
だからそれが面白いなと思って。
うちの庭に牡丹が咲いた。
その時にスケッチをして。
当然その時は淡いピンクの牡丹でしたけどこの作品は墨の色の葉っぱを生かしたかったのでこの墨の色とブルーだけでちょっと抑えた感じであえてあり得ない青の花の色にしてるんですけど。
今を生きるみたいな雰囲気をものすごく感じた。
初め見た時。
最初見た時5分くらいずっと見てたの。
江戸時代に生まれた浮世絵主に木版が多く何枚もの板を彫り色を刷り重ねる技法。
当時の風俗や自然の様が豊かな色彩で描かれ庶民をとりこにしていた。
立原さんの作品も江戸時代の浮世絵と同じ技法で描かれている。
江戸時代に作られたものを復元したもの。
これで1枚の絵なんです。
それは立原さん自分でやったの?それもできるの?僕自身がそもそも浮世絵の修復とか復元からこういう版画のオリジナルの世界に入っていきましたから。
それは誰かに頼まれて?自分で。
自分でしたいから?江戸時代の浮世絵をもとに一から版木を彫り直し当時の色に刷り上げる。
立原さんはそうして独学で浮世絵を習得してきた。
そしたら木も自分で?
(立原)自分で彫るんです。
それがすごいやん。
そしたらすごい時間かかるじゃないですか。
もちろん時間はかかりますけど。
色はそのまま?
(立原)もちろん。
江戸時代に使われた絵の具を使うというのはこれは大原則なんですよね。
やっぱりそういうものが再現できないとこの仕事はほとんど意味がない仕事なので。
本とか読んでたんですか?本ももちろん古い文献とかいろいろ読みましたけどほとんど読んでも分からないんですよね。
だからちょっと想像しないといけない?想像と自分が想像して思い描いた事を現実にやってみる。
そうやね。
それしかない。
それしかない。
でもそれが面白いんでしょ?だからそれが楽しくてずっとやってた訳で。
何かやれば答えは出るじゃないですか。
その答えからまた何か疑問が出てきたり発見があったり。
それの繰り返しですよ。
江戸時代浮世絵の制作はいくつもの工程をそれぞれに熟練した職人が受け持つ分業制だった。
立原さんは今その全ての工程を一人でこなす。
江戸時代の方法で浮世絵を復元できる唯一の人だ。
しかしもともとは全く別の世界に身を置いていた。
若き日ジャズにのめり込み音楽の道を目指していたのだ。
一番最初は僕は浮世絵版画というのは知ってましたけど浮世絵版画が木版画でできてるという事を知りませんでしたから。
描いたものだと思ってました。
浮世絵自体がインパクトあったという事もありますけどそれが木版画でできてるという事がすごく驚きでしたね。
25歳の時に出会った浮世絵の緻密さと色彩に心を奪われた。
彫刻刀を買いに文房具屋へ走るとその日から彫り始めたという。
好きになったら一心不乱。
試行錯誤の中で夢中になって版画を作り全ての工程を身につけた。
しかしどうしても江戸時代のものにはかなわなかった。
それまで作品は自分なりにいいと思ってやってましたけどやればやるほど江戸のものって違うんですよね。
例えば紫は紫なんですよね。
赤は赤なんですけど。
その紫とか赤が持ってる質感が今の絵の具ではどうしても出ない。
そのもの自体が持ってる質感というものを捉えないと出来上がった1枚の絵にした時にこんなにやっぱり受ける印象が違うんだなと見るたびに痛感しましたからね。
その時からは実際に絵の具を自分で作ってみたり。
それはありとあらゆる素材こういう版木もそうですけど。
そのあたりから江戸のものを復元するという事が自分の中では大きなテーマとして出来上がってきたというところはありますね。
復元とは画材全てをその時代のもので行うべき。
35年の浮世絵人生そのほとんどは材料探しの時間だった。
版木は今では貴重な山桜で。
紙は実際に江戸時代に使われた和紙を手に入れ原料を分析。
自ら復元した。
これが今僕が使うために復元したものですけど。
一番の大きい違いっていうのは紙をすく時にのりを入れてるんですよ。
米ののりを。
それを入れる事によって紙の風合いというのが随分変わるんです。
こういうものが持っている風合いや質感っていうのが最終的に出来上がった1枚の絵にすごく大きく影響する。
中でも苦労したのが絵の具。
江戸時代の浮世絵に使われていたのは僅か8色だった事が分かった。
それを混ぜてさまざまな色を表現していたのだ。
この絵はあまりたくさん色は使ってないんですけどこのブルーとここに使われてる紫のベースになってるのは露草という植物がありますよね。
あれを使ったものです。
実際の露草を搾ってこういう和紙に染めたものです。
こういうものに保存しておいて実際に使う時にはこれをちぎってこういうふうに水で搾れば青い色が出るんです。
こういう青い色をしてるんですが経年変化で少し色は黒くなっていくんですが数年なら鮮やかな青の色で残しておけますから。
江戸時代の絵の具の原料はそのほとんどが植物。
しかし刷ったその場から色があせるのが難点。
立原さんの復元により露草の青を生かして鮮やかな紫が戻った。
赤は紅花から抽出して作られているという。
紅花はね…。
赤がどういう色調であるかっていう事で1枚の絵の雰囲気が変わりますから。
紅花以外の赤では絶対駄目だというところがあるんです。
江戸時代と同じ顔料を作り再びよみがえった色。
1枚の絵になるとその配色の妙とあいまって独特の美しさを放つ。
人工的な色があふれている今という時代に自然の中から生まれた色を守り続けるのが立原さんの仕事。
今制作しているのは市川亀治郎さんの歌舞伎絵。
立原さんはまさに平成の浮世絵師だ。
立原さんとベニシアさん共通の趣味は散歩。
江戸時代に築かれたという庭園。
周りの自然ととけ合う庭にかすかに春のにおいを感じて。
苔も元気ですね。
こういう苔京都ならではの苔。
みんな木も古いんです。
季節によって随分表情が変わるんです。
浮世絵は江戸時代で始まって自然がまだあったっていう感じでしょ?自然しかない社会ですからそういうものをうまく自分の生活に取り込んでそういうものと共存をしていきましょうっていうそういう事が自然のうちに社会の中に出来上がってた時代なんですよね。
いろんなあらゆる事をうまくやっていきましょうっていう。
人と人もそうですけど人と自然の間もそうですよね。
本当そうですね。
風とか葉っぱの動きとか。
彼らはただ美しく生きてるみたいですが人間もああいうふうになったら少しリラックスできるんじゃないかと。
(立原)植物のようにですか?そうそう。
江戸時代にちょっと戻りましょうみたいな。
自然が与えてくれるものは限りない。
だからその声に耳を傾け寄り添って生きる。
まだ寒さの残るとある午後。
卒業を控えた息子を囲んでおしゃべり。
ベニシアさんの夫で山岳写真家の梶山正さん。
悠仁君の成長を折に触れて写真に撮りためてきた。
悠仁がママとかいう前にジョイって言ったんよね。
最初は。
(正)これ小学校2年のはずだよ。
こけたんだよ。
リレーの前に50メートル走で。
(悠仁)その傷今でもあんで。
脚に。
(正)記念写真っていいよね。
思い出すよね。
その時の事とか。
(悠仁)俺こんなんやったんやって思って。
でも新たなスタートやなこれから。
本当にやりたい事があったら。
でも楽しいから。
いつも楽しいと感じられるっていう事を…。
(正)僕もそう思う。
やりたい事をそういうものを…。
(悠仁)やったらいい?やったらいいっていうか探して見つけたらいいと思う。
頑張って。
(悠仁)頑張るわ。
本当に好きな事を見つけてほしい。
それは生きていく力になるから。
悠仁に寄ったようにしようか。
悠仁はまっすぐで。
春はまだ始まったばかりだ。
はい撮るよ。
(正)ああこんなんか。
結構いいじゃん。
学んでいきましょう!
「学ぼうBOSAI」今回のテーマは…
2014/03/02(日) 18:00〜18:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手 京都大原 ベニシアの手づくり暮らし「春はあけぼの」[字]
ベニシアさん、息子と大原・三千院の季節行事、大根焚きで大根を味わう。京都市内の木版画家を訪れ、浮世絵の復元画を見せてもらう。アルバムを見て息子の成長を振り返る。
詳細情報
番組内容
春の兆しが見え始めた京都・大原。ベニシアさんは、息子・悠仁君と一緒に、大原・三千院の季節行事、大根焚(だ)きで大根を味わう。家に帰って、アロエのシャンプーを作る。江戸時代の浮世絵を復元している、市内在住の木版画家・立原位貫さんを訪問。復元された浮世絵を見せてもらった後、2人で江戸時代の人々の自然との関わりについて語りあう。家では、古いアルバムを見ながら、悠仁君の成長を振り返る。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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