白熱教室海外版“幸福学”白熱教室〜幸せの処方箋〜 第4回  2014.01.31

シリーズ「幸福学白熱教室」。
第4回のテーマは「幸せを導く人間関係とは?」。
ストレスが多い現代社会。
その原因の一つに職場地域家庭などにおけるさまざまな人間関係の難しさが挙げられます。
人が幸福になるには他者との結びつきが不可欠。
ではどうすれば人間関係から幸福を導き出せるのでしょうか?講師を務めるのはアメリカポートランド州立大学心理学部の…「幸福学」ではこれまでさまざまなアプローチで人間関係に関する調査・研究を行ってきました。
ディーナー博士はそうしたデータを独自に分析しています。
ポートランド州立大学。
州最大の学生数を誇りビジネススクールと大学院も有する西海岸屈指の有名校です。
今回はここでの公開授業。
(拍手)さて人は一生のうちにいろんな役割を果たします。
さまざまな義務責任期待。
人生の中で与えられた持ち場役割を一つ一つこなしていく事。
それがその人の幸せや達成感につながっていきます。
人間の一生をちょうど真ん中辺りで「若者」と「高齢者」に分けるとしましょう。
私たちはそのどちらに対してもある種の固定観念を持っています。
特に幸福が関係すると偏った見方をしがちです。
「若者」と聞いてどんなイメージを持っているか考えてみて下さい。
まず肯定的なものとして「若者たちは皆エネルギーがある」というもの。
しかしそれは否定的な意味にもなります。
例えばデモの若者たちのように危険な印象。
あるいは世間知らずで軽率。
若さゆえのあふれるエネルギーに理性のブレーキはききません。
マーク・トウェインの言葉を思い出しました。
「若者は若さを無駄にする」。
しかし偏見の目で見られているのは若者だけじゃありません。
高齢者に対しても偏見があります。
高齢者のイメージは「孤独でヨボヨボでケチ意地悪」というもの。
しかし肯定的なイメージもありますよね。
「賢く人脈があって寛容。
ゆったりしている」。
人生の中で人間関係は狭くなったり広くなったり深くなったり浅くなったりと変化していきます。
そこで初めに世代によって幸福度はどう違うのか考察していきます。
私たちは子供から大人へと成長しいろんな段階でさまざまな経験をします。
その「人生の段階」は幸福にどんな影響を与えているのでしょう。
人生の中で幸福はどう変わっていくと思いますか?幸福は責任の重さで変わってくると思うようになりました。
子供の頃は大人のように果たすべき責任も少ないのでそれがストレスになる事もありません。
でも大人になると経済的な事や仕事で悩んだり人間関係をうまくやらなければいけなくなったりしてストレスが増えてくると思います。
そのとおりとてもいい意見です。
子供の頃や若い頃は大人が持っている悩みとは無縁だったと誰もが思います。
大人になればお金の心配配水管の故障のようなささいだけど幸福に影を落とす事柄が出てきます。
でも子供はそんな事は関係ない。
自由な空想の世界に生きています。
だからといって本当に子供の方が幸せなのでしょうか?「結びつき」かしら。
他の人たちとどれだけ結びつき親しくつきあうかで幸せが違ってくると思います。
すばらしい意見です。
年を取るにつれて人と親しくなる機会が増えると思いますか?子供たちはほとんどの時間を学校で過ごし学校と家庭以外の世界を知りません。
しかし大人になると人とつきあういろいろな機会に恵まれます。
同じバスや飛行機に乗り合わせた人やスーパーの客といった表面的な関係から大学や職場の友人のような濃密な関係までさまざまです。
人との結びつきが幸福の源であるとすればそれは人生に影響してくるはずです。
他には?高齢者は自分の欲求さえ満たせば幸福になれるなんていう罠には引っ掛からないと思います。
つまりお年寄りの方が現実的な人生観だという事?ええ。
欲しいものを次々手に入れたところで幸せになれるわけじゃない。
年を取ると自然にそう思うようになる気がします。
そのとおり。
彼の意見に賛成です。
我々の欲求は年と共に減り特に老年になると少なくなる。
一方で若者たちは自己を確立したい自分の足で立ちたいと貪欲に必死に闘っている。
確かにそう言えます。
ここで一生の中で幸福はどう変化していくのかデータをお見せしましょう。
結婚している人離婚経験者生涯結婚しない人の場合や子供と高齢者の幸福についての研究結果です。
データは世代ごとに分かれています。
幸福に関係している感情を3つに分類しました。
この棒グラフを見て下さい。
青が20代と30代赤が40代50代緑が60代以上です。
ポジティブとネガティブな感情そして人生満足度を見ていきます。
ポジティブな感情ネガティブな感情。
そして人生に対する満足感。
これら幸福度に影響を与える感情をどれだけ持っているのか3つに分けた世代に対して調査した結果です。
縦軸はそれぞれの項目を数値化して導き出された「感情の量」を表しています。
世代によって「感情の量」に違いがあるものとないものがある事が分かります。
まずポジティブな感情です。
これはどの世代もほぼ変わりません。
老人になると不満が多くて暗くなりがちだという私たちの思い込みは間違いだと言えます。
つまりこのデータはポジティブな感情は生涯を通じて安定しているという事を証明しています。
そしてネガティブな感情。
ネガティブな感情は明らかに減っていきます。
「子供はポジティブ」という固定概念とは逆です。
そして人生満足度は年を取るにつれて上がっていきます。
幸福に関して言えばお年寄りは安泰。
ポジティブな感情は変わらずネガティブな感情は減り人生満足度は上がります。
お年寄り万歳!ここで説明しておきたい事があります。
実はこのグラフには重要な事実が隠されているのです。
それは中年層にとって残念な事実です。
詳しく見ていきましょう。
これは年代ごとの人生満足度を比較したものです。
他のグループに比べてかなり低い年代があります。
それは40代と50代です。
私のようなこの世代の人は今が感情的なダメージを経験している時期かもしれません。
これは他の多くの研究でも見られるのですが残念ながら40歳前後の落ち込みはしばらくは続きます。
ここで当然疑問が出てきます。
「40代の幸福度が低くなる理由は何か?」。
一般的に28歳前後で結婚して子供を持てば中年になる頃には子供たちが10代になります。
これは当然の結果です。
ところで10代とは扱いにくい世代です。
体格も食事の量もかかるお金も大人と同じなのに社会人としての判断も車の運転もできない。
正直ちょっと面倒な存在の時もあります。
いやいや子供のせいで中年が不幸になると言ってるわけではありません。
一つの原因は離婚です。
多くの人は中年になってから離婚します。
28歳で結婚しても29歳では別れない。
大抵もうちょっと頑張ってみようと思ってしばらくは続くわけです。
しかし仕事の責任が重くなり子供たちの問題が出てくる中年期にさしかかると離婚がぐっと増えます。
40代から50代にかけて幸福度は下がってしまうというデータ。
ちょっと残念に思う人は多いでしょう。
更にこんな調査もあります。
これは「結婚に関する幸福度」のグラフ。
結婚している人は未婚の人や離婚経験者よりも総じて高い幸福度にある事が分かります。
しかしどの範疇に含まれる人も40代になれば一様に幸福度は下がっていきます。
そして50代に向かうにつれ幸福度の回復が同じように見られるのです。
ここからが重要です。
この中年期の落ち込みは「社会との結びつき」によって減らす事ができるのです。
一番上の既婚者の線を見て下さい。
40歳前後で落ち込んでいます。
確かに既婚者にも落ち込みが見られますが年を取るにつれ回復しています。
既婚者は生涯未婚の人よりも幸福です。
そしてこの2つのグループは一番下の離婚経験者より幸福度が高い。
離婚経験者の幸福度が低いのは人間関係がうまくいかずストレスが大きいのが要因です。
ではなぜ高齢者は上手に幸福になっているのか?なぜ彼らの満足度はこんなに高くポジティブな感情が安定しているのか?この研究から導き出される答えがあります。
高齢者の方が「受容度」が高いという事です。
これも老人は融通がきかず頑固だという固定概念と矛盾します。
そのイメージは間違っていました。
高齢者は自分の死と向き合う機会が多くなり幾度もの困難に耐えて逆境に負けない心を育んできました。
今まで困難を乗り越えてきたから次も乗り越えられるものだと分かっているのです。
何度調査をしても困難を受け入れるのは高齢者でした。
不運を恨んだりなかった事にしないで受け入れるのです。
彼らは困難は来ては去るもの耐えられるものと分かっています。
これは我々が高齢者から学ぶべき重要な教訓です。
40代から50代にかけて見られる幸福度の低下。
ディーナー博士はその理由の一つに離婚を挙げました。
しかしこれはあくまで「離婚率50%」というアメリカのデータです。
離婚率が36%という日本の場合はどうなのでしょうか?内閣府が発表した年齢による幸福度の推移データ。
講義にあったようにアメリカ人は年を取るにつれて幸福度が上昇していきます。
それに対して日本人は回復を見せる事なく低いまま高齢を迎えています。
どういう事でしょうか?こちらは内閣府による60歳以上の男女を対象にした「高齢者の生活と意識に関する国際比較」のデータ。
「別居している子供と週1回以上会う」という項目では日本人はおよそ2人に1人。
一方アメリカやスウェーデンはおよそ8割という高い数字です。
「相談あるいは世話をし合う親しい友人がいる」。
「電話で家族や友人などと連絡をとる」などの項目でも低い結果が出ました。
更に「近所の人たちと病気の時に助け合う」という質問では他の国の半分以下です。
日本の高齢者は人との結びつきが薄い事が明らかになっています。
孤独死や地域と接点を持たない独居老人など高齢化社会の問題が浮き彫りになっています。
日本では人間関係の希薄さが幸福度をぐっと下げていたのです。
オーストラリアのホスピスで働く看護師が余命数週間の患者にこう問いかけました。
「人生で一番後悔している事は何ですか?」。
人生を終えようとしている人々にこう聞けるのはめったにない機会です。
あなた自身も考えてみて下さい。
もし余命2週間だとしたら何を一番後悔すると思いますか?死を迎える人たちが最後に人生を振り返った貴重な証言集です。
オーストラリアで看護師をしていたブロニー・ウェアが2011年に発表しました。
多かった答えは次の5つです。
こう答えた人たちは自分の目標や夢を諦めて人のために生きてきたと思っています。
責任や義務を負う事はもちろん大切です。
バランスがとれればよかったのですがこの人たちは自分の夢を犠牲にしすぎたと思っているようです。
2番目の答えは私のお気に入りです。
まさにこれをみんなに教えたいんです。
あっ今その真っ最中ですね。
働きすぎるな。
気を楽に持て。
サーフィンにでもスキーにでも行け。
本を読め休みを取れ。
徹夜で期末試験の勉強なんてするな。
誰でも死の間際になって「ああ期末試験の時もっと勉強すればよかった」とか「もっと早く会社に行って仕事すればよかった」「週末も夜も働けばよかった」なんて言う人間はいません。
仕事は大事。
人生に意義も与えてくれるし生活の糧も与えてくれます。
しかし時に本当に大切なものを見失わせます。
それが他の答えに出ています。
次は…切ないですね。
こう答えた人たちは人とつながりたい本当の自分をさらけ出したいと思いながら怖くてそうできなかった。
親しいから言わなくても分かるだろうと思ってしまったり逆に言葉足らずだったりしてはっきり伝える事ができなかった。
彼らはそれを最後の最後に後悔している。
これはみんなにとって貴重な教訓です。
難しい話も愛のある話もためらわないで話して下さい。
今すぐ気持ちを伝えるのです。
4番目は…これまでも話したとおり幸福に秘訣があるとすればそれは「社会との結びつき」。
大切な鍵です。
最後は…これについては皆さん自分で考えてみて下さい。
皆さんの心はどのくらい自分の幸せを制限しているでしょうか?もしこれから自分自身を解き放って自由になったらあなたは幸せになるでしょうか?人生が少しは変わってもうちょっと人生の意義を感じポジティブになれるでしょうか?自分の人生で後悔している事。
その答えには自分のした事だけでなく人との関わり方についての思いが多くありました。
人生の幸福度に大きく関係する人間関係。
これからの人生いかに人と良いつながりを築いていくかが幸せにつながっていきます。
実際に外に出て自分自身をより幸せにする方法があります。
一つは自分が誰かにした親切を数える事。
今日1日自分がした親切を書き留めたり日記や手帳に印をつけましょう。
それはドアを押さえてあげるとかコーヒーを1杯おごるとか高速道路で車を前に入れてあげるとか小さな事でかまいません。
ささやかな無償の親切です。
相手だけでなくあなた自身もいい気持ちになります。
恐らくこの仕組みが私たちを互いに結びつけているのです。
そのつながりの中で私たちは「世界がよりよくなった」と感じる事ができるのです。
是非どこかに出かけて1日の終わりに「今日はどんな親切をした?」と自分に尋ね日記に印をつけたり短い文章を書いたりしてみて下さい。
ではある話から始めましょう。
舞台は私が重点的に幸福に関する調査を行っている場所インドのコルカタです。
私は長い間海外の人々がどうやって幸福になったりどのような考え方をしたりしているのかに興味を持っていました。
特に強く惹かれたのが貧しい人々です。
そこで10年ほど前コルカタの南端にあるスラムを訪れました。
もう想像がつくでしょう。
ここは決して快適な場所ではありません。
衛生面はひどいし人が多すぎて上下水道も足りない。
もちろん水洗トイレなどありません。
住みたい場所ではないでしょう。
特に問題なのはこの写真に写っている生ごみと汚物が浮かんだよどんだ池です。
水洗トイレがないので用を足したくなったらこの池まで行って人けがない所で済ませるしかないのです。
ところが私はまさにこの悲惨なスラムで人生最良の瞬間を体験したのです。
私はここで10歳の少女プータールと出会いました。
スラムで調査していた時に知り合ったのです。
私は彼女に「大人になったら何になりたい?」と聞きました。
もちろん彼女の選択肢は非常に限られています。
プータールは「看護師になりたい」と答えました。
「看護師になるための君の長所は?」と聞くと子供らしい答えが返ってきました。
「私足が速いの」。
すばらしい。
たくさんの患者の熱を測る時素早く走って回れそうです。
実は私は子供と競争して負かすのが大好きです。
「僕より速いと思う?」と聞きました。
するとプータールは「うん絶対速いよ」。
そこで「一番遠いタクシーの所まで競争しよう」と提案しました。
私は特に俊足ではないけどちょっとした距離なら勝てるだろうと踏んだんです。
「じゃああのタクシーまで」と言うと「いいよ」。
2人並んで「位置について!用意!スタート!」横を見るとプータールがいない。
土煙だけ。
言っておきますがあの子は本当に速かった。
ゴールしたプータールは振り向いて「やった!」。
それはもう幸せそのものでした。
私を難なくやっつけた彼女はそのまま両親のもとに駆け寄り両親は誇らしげに娘を抱きしめました。
スラム中から拍手と歓声が沸き起こり見物人もタクシーの運転手も乗客もみんながプータールをたたえました。
辺りに幸福感が満ちあふれ私まで幸せでした。
小さな少女に負けたのに最高に気分が良かったのです。
ここに人々特に子供の環境について学ぶべき重要な教訓があります。
プータールのような子供の生活を外から観察して「経済的社会的政治的に問題が多すぎる」と言うのは簡単です。
確かに事実だし生活状況を改善するよう努力していかなければなりません。
ですが彼女が幸せになれない毎日を楽しんでいないと決めつけるのは大きな間違いです。
この事は大切な事を教えています。
「幸福の力」です。
今起きた事を考えてみて下さい。
私は心の中にある幸せの井戸から地球の反対側で体験した10年以上前の話を取り出してあの日と同じ感情を再び味わいました。
今でもあの時の幸福感を呼び起こす事ができます。
幸福は伝染するのです。
今私は皆さんと幸福を共有し集合的な幸福感を増す事ができた。
ほとんどの人が私の昔話から小さな心の高まりを感じたはずです。
これは幸福は社会的なネットワークを通じて広がっていく力があるという事です。
幸福が人から人へと伝染していく事を明らかにした調査結果があります。
ハーバード大学のクリスタキス博士とフォウラー博士は5万人を対象に幸福が伝わるネットワークについて調査しました。
点は人の分布を表しています。
幸福度の高い人は黄色低くなるに従って緑水色そして青になっていきます。
幸福度が高い何人かを選び出しその人たちの近所に住む親族や友達を調査しました。
すると周りの人たちにも高い幸福度が見られる事が分かりました。
つまり幸せが連鎖しているというのです。
ここで分かるのはいかに社会との結びつきが重要であるかという事です。
この図は社会的ネットワークです。
小さな点の一つ一つが人間で皆つながっています。
点をつないでいる線はこの大がかりな研究で調べたたくさんの人のつながりを表しています。
つまりこれは人の気持ち感情で分類されたネットワークです。
この図を見れば今まで抱いていた不幸に対するイメージが変わると思います。
不幸とは世界のどこかにいる一人一人があちこちで孤独に悩んでいる。
そう思っていませんでしたか?しかし実際には幸福な人が固まるように落ち込んでいる人も固まっていたのです。
幸福もそして不幸も伝染するのです。
中には孤立した青い点もありますが青もほとんどが固まっています。
この研究者によると間に何人かを挟んでも幸せは伝染する事が分かりました。
調査によって分かった人の感情は波及していくという事実。
更にそれを裏付ける研究があります。
アメリカマサチューセッツ州でおよそ20年間継続して行われている調査。
「知人を介して自分がどれだけ幸福感を得る事ができるか」について調べたものです。
縦軸は人と接する事で得られる幸福度を示しています。
例えば近しい友達が幸福だったとすると自分の幸福度はおよそ15%上昇します。
「友達の友達」が幸せだった場合でも自分の幸福度は8%ほど上がる事が分かります。
調査した人たちの接触した時間や暮らしている場所の距離を数量化して計算した幸福な感情の伝達度です。
つまりあなたの友達が幸福ならあなたも幸福である確率が高くなるのです。
友達の友達の幸福はあなたに影響します。
友達の友達の友達の幸福でも影響します。
でも間に4人入るともうあなたの幸福とは関係がなくなります。
「幸福は伝染する」。
面白いですね。
大事なのは人とつきあう事。
そうすれば幸福な人と出会います。
幸福な人とはお互いに支える事も支えてもらう事もできます。
あなたがうまくいった時もいかない時もそばにいてくれる人です。
仲間の幸福であなたも幸福になる。
幸せの絆の上昇スパイラルを見つけられるでしょう。
幸福の研究における最も重要な発見についてお話ししましょう。
私の父とその共同研究者は最も幸福な人々とそうでない人々を調査しました。
その結果大きな違いは人との結びつきにありました。
これを見て下さい。
これはどんな人と結びつきが深いと幸福を感じられるのかを示したグラフ。
縦軸は結びつきの強さです。
幸福度の高い人は親友家族恋人どれも結びつきが強い事が分かります。
人との結びつきには大きく3種類あります。
「親友」絆の強い「家族」信頼でき弱みも見せられつながっていると感じる「恋人」です。
最も幸福な人々グラフの緑を見て下さい。
言うまでもなく幸福な人々はどれもとてもいい人間関係を築いています。
恋人との関係も良好家族の絆も固く友人ともうまくいっています。
反対に幸福度が低い人々青のグラフは人間関係で苦しんでいます。
頼れる人がなく支えてくれる人もいません。
他よりも高い疎外感孤独感を感じています。
興味深い事にこれは国によって少し違いがあります。
私はイランとヨルダンとアメリカの3つの国で人との結びつきの重要度について調査しました。
家族や友人の支えが幸福にどう影響するかを調べたのです。
人生満足度を見てみましょう。
イランは家族のつながりが大きく影響していました。
家族が協力的だと感じる事で幸福になっていました。
一方アメリカでは家族だけでなく友人との関係も大事です。
しかしイランは友人とのつながりは満足度に影響しませんでした。
ヨルダンで影響したのは家族との関係だけです。
続いて自分がネガティブな感情になった時に求めるつながりを調査しました。
イランは予想どおりの結果です。
家族の支えがないとネガティブな感情になってしまいます。
アメリカはこれも家族と友人の両方が影響します。
家族恋人友人など幸福に必要な人間関係は文化によってバランスが違います。
では日本人にとってより幸せになる人間関係はどれなのでしょうか?内閣府の調査によると幸福感を高めるのに有効な手だてとして最も多い答えが「家族との助け合い」でした。
次に重視しているのが友人。
そして地域住民職場の同僚という順番でした。
日本で幸福学の研究を行っている…日本という社会は集団主義的な社会ですから人間関係というのを非常に大事にする社会だと思います。
我々の研究では人間関係の量が幸せに影響するのかそれとも質が影響するのかそういう研究をしました。
その結果友人関係の多様性が幸せに影響するという事が分かっています。
つまり多様な友達いろんな職業ですとか性別ですとか国籍ですとかいろんな友達を持っている人が幸せな傾向があって友達の数が多ければ幸せというわけではないという事が分かったんですね。
人との関係は多ければ多いほどいいのかディーナー博士にも聞きました。
質問いいですか?どうぞ。
簡単な質問です。
社会との結びつきについてですがまずリアルな人間関係がありますね。
あなたと私とか私と私の友達というように。
その一方で現代にはもう一つソーシャルネットワーク上での交友関係があります。
ある日突然オンラインで1,000人単位の友人ができるかもしれない。
そんな状況でも結びつきの強い少数の友人を持った方がいいのでしょうか?それについての研究はあるのですか?基本的な研究によれば自分の弱みを見せられる人や困った時に頼れる親友が1人か2人いればそれで十分幸福になれます。
もちろん幸福が保証されるわけではありませんがその数だけでもあなたの幸福は強固なものになりますよ。
そう考えれば更にSNSの友人が1,000人いるのは余分です。
友人が数人しかいなくてもそれだけで十分助けになります。
もしネット上での友達が増えればエネルギーの使い方が変わりその人間関係の維持に力を注ぐかもしれない。
生活に影響があるでしょう。
でも友達は銀行口座の預金とは違うのです。
幸せな人間関係を考える時誰もがサポートを受ける事ばかりを気にしています。
まるでそれが幸福に不可欠であるかのようです。
でも大切なのはむしろサポートをする事なのです。
人を支える事で自分の幸福度は高まっていく。
それは特別な事ではありません。
アメリカでホスピス・ワーカーを務めるジャニス・ベルさんです。
仕事からは得る事ばかりです。
末期の患者さんが相手だから家に帰っても悲しいというような事はありません。
自分の仕事の事は人に言わないんです。
「それはつらい仕事ですね」とか「よくそんな仕事ができますね」と言われるのがオチですからね。
この仕事の喜びは人と関わりご家族や患者さんを安心させる事。
それが最終目標なんです。
余命僅かな人の家を訪ね病状を見つつ言葉を交わしながら本人や家族の気持ちをサポートするのがベルさんの仕事です。
ベルさんは患者の症状を見れば死期が近づいている事が分かります。
家族に真実を伝えなくてはならない重い責任もあります。
あと数日でこん睡状態になると思います。
今は二言三言話したら眠っていますがこれから次第に悪化します。
会話もできません。
これからどんどん話せなくなってただ眠り続けます。
好きな食べ物飲み物をあげて下さい。
いつかは分かりませんがあと1週間ほどかと思います。
臨終に立ち会っても前ほど泣かなくなりました。
最初は泣いたけれど…。
仕事は一生懸命。
でも自分の生活には持ち込まない。
最近ベルさんには孫ができました。
人とつながる事で幸福を感じる事ができる。
つらく悲しい死ですら受け入れる心が生まれるとベルさんは信じています。
娘の出産に立ち会って思いました。
私は人生の反対側で働いているけれど驚くほど似ていると。
生まれた時は自分では何もできず人の助けに頼るしかない。
死ぬ時にもまたたくさんの助けを借りる。
死は生の一部です。
ここで恋愛に関する面白い研究があるので皆さんにご紹介しましょう。
研究のタイトルは「物事がうまくいった時あなたはそばにいてくれますか?」。
いい恋人とは「物事がうまくいかない時にこそそばにいてくれる人」だと誰もが思いますよね。
でも研究で明らかになったのはその逆の事でした。
例えば何かいい事があってそれを恋人に自慢したとします。
「仕事で昇進した」とか「テストでいい点を取った」とか。
うれしい出来事を恋人と共有し成功を喜び合いたいと思った時相手が関心を示さなかったカップルは別れていたのです。
物事がうまくいった時にサポートしないサポートされない経験は破局の予兆だという結果が出ています。
うまくいかなかった時だけ支えるのは間違いです。
結婚生活を長く続けている私が恋愛のアドバイスをするとしたらこう言います。
「恋人にいい事があったら一緒に喜んで最高にうれしがらせてあげなさい。
そうしないのは必死に救いを求めている恋人を助けないのと同じなのです」。
質問?いい運動になるね。
答えがあるのか分かりませんが小さい頃からずっと不幸だった人が「こうして幸福になれた」という研究はあるのでしょうか?例えば子供の頃から友達が全くいなくて家族の支えもなく独りぼっちで不幸な生活をしていたとしたらどういうきっかけがあればいいのでしょうか?幸福になる要因は分かりましたがずっと不幸だった人にはどんな転機が必要なのでしょうか?実は不幸な友達がいてこの講義にも誘ってみたのですが本人には全くその気がなくて困っているんです。
臨床心理学の観点から答えましょう。
うつ病の罹患率を見ると多くの人が一度は軽いうつ病にかかった事があります。
配偶者と争ったり親が亡くなったりと人生にはつらい事がたくさんある。
そんな逆境に誰もが一時的に絶望します。
しかしずっとその状態にとどまっているわけではありません。
多くの場合いつかは自分自身を救い出しどん底から抜け出す事ができる。
そのために誰かが手を差し伸べてくれます。
社会的な支援を受けたり体を動かしたり中には抗うつ薬をのんだり瞑想などを活用する人もいるでしょう。
そんな人を助ける方法はたくさんあるのです。
前の質問の続きになりますがうつ病や慢性的に落ち込む病気と診断されている人たちではなくただ一般的に不幸な人の場合不幸から幸福になっていく変化は段階的なものなんでしょうか?それとも電気のスイッチが入ったり何かひらめいたりするように突然なれるものなんでしょうか?よく「幸せは気持ちしだいだ」と言う人がいますね。
彼らはそれがスイッチのオンオフのように簡単なものだと思っているようです。
心が変化するには新しい考え方感じ方になじんで順応しなければならないため当然時間がかかります。
ある程度の時間がたって自分に起きた事を客観的に見られるようになってから新たな見方で物事を理解し前向きな経験を引き出せるようになるのです。
結論を急がない事私はそう言っています。
幸福についての研究は世界各国の政策にどれだけ効果があるんでしょうか?例えばブータンの政策はどれだけ真剣に受け止められているのでしょう?幸福の研究はどこに向かっているのでしょうか?幸福の研究が政策レベルでどのくらい真剣に受け止められているかという質問ですね。
皆さんもブータンの国民総幸福量については知っているでしょう。
これはブータンの前国王が平均余命や国内総生産などの経済指標に加えて「国民がどれだけ自分の生活に満足し楽しんでいるか」も測るべきだと言った事から始まりました。
残念な事にブータンでもリーダーが変わり経済優先の政策になっているため恐らく国民の幸福量は徐々に減っていく事でしょう。
いいニュースもあります。
幸福度の測定が世界各国の政策レベルで重要視されるようになってきた事です。
多くの政府が国民の幸福を調査する部署を設置しています。
国民にどれだけ収入と借り入れがあるか経済の状況について調べるだけでなく通勤・通学をどう思っているか仕事は好きか学校や警察の質についてはどうなのか知る事も重要だとしています。
例えば国連は近年「幸福政策」に関する講演を行い文書も出しています。
また自治体のレベルでも先見の明のあるリーダーが市民の幸せを念頭に置いた政策を打ち出す都市が増えてきているのです。
今日はこれで終わりです。
参加して下さった皆さんどうもありがとう。
皆さんの質問や深い洞察議論に感謝します。
とても意義深い時間でした。
皆さんにとって役に立つものになれば幸いです。
このあともどうか忘れず今日から人に小さな親切をしてそれを記録してみて下さい。
ご静聴ありがとうございました。
(拍手)2014/01/31(金) 23:00〜23:55
NHKEテレ1大阪
白熱教室海外版“幸福学”白熱教室〜幸せの処方箋〜 第4回 [二][字]

第4回は、幸福と人間関係がどのような関わりを持っているのか、さまざまなデータをもとに解き明かす。米ポートランド州立大学ロバート・ビスワス・ディーナー博士が講義。

詳細情報
番組内容
「幸福学」第4回は、幸福と人間関係がどのような関わりを持っているのか、さまざまな研究データをもとに解き明かしていく。幸福を導くという人間関係はあるのだろうか? 幸せは人を介したネットワークによって伝ぱしていくという。人生のさまざまな局面で変化していく人間関係と幸福のつながりについて、アメリカ・ポートランド州立大学ロバート・ビスワス・ディーナー博士が講義する。
出演者
【出演】ポートランド州立大学心理学博士…ロバート・ビスワス・ディーナー

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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英語
サンプリングレート : 48kHz

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