(調教師)「みんなの心が一つです」。
初夏神奈川県にある水族館にやって来た。
ちょうど人気のイルカたちのショータイム。
でも今日の主人公はこのお利口さんたちではない。
ショー会場の脇にあるこの青い建物。
一番奥にある水槽になんとも奇妙な生き物がいるのです。
(取材者)大きいですね。
まるで巨大な顔だけのような姿。
ただ悠然と水槽の中を漂っている。
なぜか呼べば近寄ってくる。
へへへ。
ほら動いてる口。
そしてつぶらな黒い瞳でじっとこちらを見つめる。
この不思議な巨大魚の前でみんなどんな事を感じるんだろう。
撮影開始から間もなく。
水槽の前に座り込んでマンボウを見つめるカップルがいた。
10分たっても動こうとしない。
声を掛けてみよう。
ほっとします?ふだんは畳を作る職人さん。
淡々とした日々の暮らしでは驚く事なんてほとんどないんだとか。
結構やっぱり感動しました?整体師の彼女と2人何か刺激が欲しいとここに足を運んだそうだ。
すっかり魅せられちゃった。
確かに世の中感動できる事って少ないのかな。
またもや座り込んで写真を撮っているカップルを発見。
マンボウに会いたくてわざわざ調べてやって来たそうだ。
マンボウファンって結構いるみたい。
でもどこにそんなに引き付けられるんだろう?そうですね。
ただプカプカと漂うだけ。
そこになぜか人が引き寄せられていく。
今度は熟年カップル…かな?仕事一筋だったご主人が45歳の時に結婚したご夫婦。
子どもはいないからいつも2人。
マンボウまた来てる。
どうなんですかね。
マンボウが自分たちだけに心を開いてくれた。
そんな気持ちにさせられる。
ありがとう。
すみません。
どうもありがとうございました。
どうも。
どうもありがとうございます。
あっ手をつないだ。
相手は魚だけどちょっと気持ちが華やいだのかな。
それなのにたくさんの人たちがマンボウ水槽のある建物に集まってきた。
ついていかせてもらう事にした。
夜の水族館に1晩泊まる女性限定の超人気イベントだった。
主役はこのイルカたち。
幻想的な雰囲気が売りらしい。
(シャッター音)その奥のマンボウは?相変わらず超然と漂っている。
時間がたつとやっぱり人が引き寄せられていく。
あっ水槽の前で座り込んでる。
(シャッター音)2人は親子。
お母さんの誕生日を祝うために娘さんが誘った。
お母さんマンボウを見るうち自然といろんな思いが浮かんできたみたい。
物も言わない表情もない。
なのに見る人にいろいろ考えさせる不思議な生き物。
土曜日の朝。
ではおはようございます。
お待たせ致しました。
すごい人。
朝から行列が出来てる。
お客さんの数は平日の2倍以上にもなるらしい。
マンボウの水槽に一番乗りで家族連れが入っていった。
家族連れに交じって一人じっとマンボウを見つめている年配の男性。
何か忘れたい事あるのかな?何て言うかな…退職後の生活費を株で運用しているという。
最近の株価の事が心配でならないそうだ。
マンボウが自分を迎えてくれたと大興奮している。
20年前に中東から日本に働きにやって来た彼。
地方の食品工場を振り出しに言葉や文化の違いに悩みながらがむしゃらに働いてきたそうだ。
マンボウはどんな相手でも受け止めてくれる。
どうもありがとうございました。
お昼。
マンボウにも大切な時間がやって来る。
夕方ごろ初夏の日ざしが水槽いっぱいに降り注いでくる。
光を浴びながら浮かび続けるマンボウ。
もしかしたら表情がないからそこに自由な思いを重ねられるのかも。
またぼんやりとマンボウを見つめる人。
何でうらやましいんだろ?20年以上勤めてきたIT関係の会社を辞めたばかりという。
徹夜に次ぐ徹夜で最後は体が悲鳴を上げていたそうだ。
身を粉にして働いたけど気持ちは燃え尽きた。
またカップルが1組。
山形から来た銀行マンと保育士。
結婚を前提につきあってるそうだけど彼女の方は最近の彼に不満があるみたい。
なんか「あれっ?」みたいな。
震災以降銀行での仕事が激増しゆっくり将来について考えるゆとりがなくなった。
久しぶりにのんびり過ごした休み。
彼は転職の意志を初めて明かした。
人生の小さな一歩。
これも不思議なマンボウの導きかな。
次の赤ちゃんの…。
ちょっとそれがありつつ。
皆さんご家族ですか?はい。
これシスター。
友達なんですけどね。
友達。
同じ中でああやって忙しく動いてるものもいればね…一番のにぎわいが予想される日曜日。
マンボウの水槽にも朝から人が引き寄せられていく。
その中になぜかマンボウに向かって文句を言う人がいた。
何でも同じような調子で水槽の中を回る姿にイライラさせられるという。
浜松にある自動車部品の工場で働く2人。
単調になりがちな毎日の中憧れるようになった生き方があるそうだ。
惰性でただ生きるより短くても燃え尽きるような人生を生きてみたい。
でもそれが簡単じゃない事も分かってる。
楽しかったです。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
ここに来て胸の奥にしまってあった思いが呼び起こされたのかな。
間もなく閉館。
最後に駆け込んできた男性。
どうしてもマンボウが見たくなったそうだ。
6年前役者を目指して兵庫から上京。
でもずっと「鳴かず飛ばず」らしい。
え〜!自分で選んだ道。
間違っていなかったと思いたい。
水槽から立ち去る彼。
すいませんありがとうございました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
見送ったマンボウはいつものように黙って漂うのみ。
いや〜何て言うの…。
娘と孫です。
じゃあ3代続いて…。
そう。
皆さんお顔そっくりですね。
いやそんな…。
へえ〜じゃあ4代。
4代…4代ですね。
2014/01/31(金) 22:55〜23:20
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間・選「巨大マンボウの前で」[字]
毎回、様々な場所から日本の「今」を切り取るべく挑戦を続けるドキュメント72時間。今回は日本最大級のマンボウが飼育される水槽の前に集う人々の声に3日間耳を傾けた。
詳細情報
番組内容
巨大な体に不釣り合いな、丸くつぶらな瞳。水槽内をユーモラスにゆったりと漂う姿。見つめていると非現実的な感覚にとらわれる不思議な生き物、マンボウ。横浜・八景島では、現時点で日本最大級1.8mのマンボウが飼育・展示されている。それを目当てに、多くの見物客が、せわしない浮き世のことをいっときでも忘れたいと全国から押し寄せる。巨大なマンボウを前に人は何を思い、語るのか。マンボウ越しに見た現代ニッポンの姿。
出演者
【語り】SPUTNIKO!
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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