(雷鳴)その日は朝から厚い雲が空を覆って今にも嵐がやってきそうな気配でした。
荷を運ぶ仕事をする朝吉が仕事を終えて我が家に帰る途中のことでした。
《朝吉:嵐にならねばいいが》
(雷鳴)わっあぁ〜!ん?ぎゃ〜!お〜いお〜い。
お前さんなんでこんなのを連れて帰ってきたんじゃ。
(朝吉)流れのはやい雲に足をとられて落ちてしまったんだと。
ん?でもよく見るとかわいいじゃないか。
え?家には子供がいないんだしせっかくだから家の子にしちゃおうよ。
ぎゃっ。
ま待ってくれ気持は嬉しいがおら天界に住む雷小僧だ。
この世界には住めねえんだ。
そのかわりおらを天界に戻してくれたらきっとお前さんたちによい子を授けてあげる。
でも…。
雷小僧が言うにはくすの木で小船をこしらえてくれたらそれに乗って天界に帰るということでした。
おやすいご用と朝吉はさっそくくすの木をくり抜いて小舟を作ってやりました。
いや面倒かけたな。
約束は必ず守るぞ。
(2人)あぁ!その後朝吉と女房に待ち望んでいた子供が授かりました。
雨風の音をはね返すぐらいの産声を響かせ元気な男の子が産まれました。
夫婦は早速雷太と名付けました。
元気に育てよ。
雷太は並外れた力持ちのやんちゃな子供に育ちました。
(雷太)え〜い。
朝吉はきかん坊の雷太を寺に預けることにしました。
雷太が修行を始めて間もなく小僧さんたちが1人また1人姿を消すという奇妙な出来事が起きました。
巷では寺のどこかに鬼が住んでいるという噂が立ちました。
恐ろしいことじゃ。
(雷太)和尚様。
おぉ雷太。
おいらが鬼を退治いたします。
いや噂のとおり本当に鬼の仕業なら大の大人でも敵わぬ。
年端もいかぬお前を危ない目にあわすことはできぬ。
心配無用ですおいらによい考えがあります。
雷太には何か不思議な力があると感じた和尚さん。
やらせてみることにしました。
でも和尚さんにも手伝ってもらいます。
いいじゃろう。
雷太の計画は自分がおとりとなり鐘楼にのぼり鐘を突き鬼が出たところを和尚様があかりを照らし鬼の目を眩ませおもりのついた縄を落とし縛り上げようというものでした。
(鐘の音)〜出たな…。
和尚さん!今だ!えい!やったぞ!ん?〜ダメだ…。
ガオ!ガウガオ!大きくなったのう。
(雷太)お前は?お前のおとうはおいらの命の恩人でな。
だからひとつおいらから忠告しておこう。
お前には勇気と並外れた力がある。
だがそのうえに知恵がともなえば今の何倍も強くなるというものだ。
わかるな!ではおとうによろしくな!う〜っやっ!雷小僧に助けられながらも見事鬼を退治した雷太は知恵と力におごることなく修行を続け市中に知られる偉いお坊さんになったということです。
ある村の空き地に甘い実をつけた柿の木があった。
うめぇな。
うめぇうめぇ!うめぇ!おらたちにもおくれ。
欲しかったら登ってくればええがや。
こら!オメエたちちっちゃい子にもわけてやらんかい!なんだオメエやる気か?コイツでっかい体してるぜ。
なに相手は女だ。
女なの?3人いっぺんにかかれば大丈夫だ。
アンタたちどうしてもやる気かい?さあかかっておいで!やっちまえ!うぅ…。
えい!
(3人)うわぁ〜!
(3人)うわぁ〜!
(2人)わぁ〜アハハハハ!イテテテ…。
これでもくらえ!あっ!
(2人)ああ!よくも汚したな!待て!
(3人)うわぁ〜!おっかあ水くんできたぞ。
おやまぁずいぶんと遅くなったこと。
着物もずいぶん汚してきて。
またケンカかい?女の子なのに困った子だよ。
それでも月日が流れ年頃の娘になると縁あって隣村に嫁ぐことになった。
おっかあ晩飯のぶんもっと採ってくるか?もっと食うか?もうそれでいいから。
ちょっと上がっておくれ。
何じゃ?改まって。
お前が嫁にいくのももうじきだ。
お前のいいところを先様がわかってくれておっかあも嬉しい。
エヘヘヘもう言うな。
いいや言う。
心配なのはその言葉遣い。
お前は生まれたときから大きくて男に混ざって育ったからしかたないかもしれないが言葉が乱暴すぎる!婿さんもいい気持はすまい。
そうか?どうすればいい?おっかあ。
だから丁寧な言葉を使うんだ。
丁寧な言葉ってどういうんだ?うん「お」をつけるといい。
米はお米。
いもはおいも。
茶碗はお茶碗。
わかった!「お」をつけるんだな。
〜これこれこらちょっとちょっと!はい。
かぁ〜!ともかく式も無事に済んで新しい暮らしが始まった。
おお洗濯。
おお天気。
おはようさん。
おおはようさんです。
おお洗濯は私が。
あぁすまないね。
おおおかまいなく。
はいできました。
まぁ!おおお手伝いしましょうか?それはありがたい。
そして婿さんは嫁さんの腕の中で気持よさそうに眠るのでした。
そんなある日…。
どうだいい出来だろう。
おおお立派にお育って。
今お立派って言ったか?あぁ…。
あっお風があってお干し物もよくお乾くなぁ。
お風お干し物?あれ?お鶏がお小豆を突っつく。
これおあっちへ行け!
(3人)はぁ?嫁さんが丁寧な言葉を使おうとして頭に「お」をつけたと知った家族は…。
(3人)アハハハッ!もう丁寧な言葉なんぞ気にせんでいいぞ。
そうよ。
無理して「お」なんかつけなくてもいいのよ。
は〜いわかりました。
とは言ったものの…。
今日はやじさまもちつく。
らも手伝う。
今日は…。
ふくろさま流しにいたけ使っていいな?流しに…。
あぁ使っていいよ。
毎日毎日嫁さんの言葉に「お」がない。
ほとほと困って母親を呼んだ。
娘に言葉遣いを教えなかった私の責任です。
どうか離縁だけは…。
嫁さんは働き者だ。
心根も優しいわ。
おら嫁がいないと夜眠れねえだ。
うむ。
わかりました。
言葉遣いは暮らしの中でこの私が教えましょう。
ありがとうございます。
おみおつけは「お」を取ってみつけでいいのかね?おふくろさま。
あぁそれはみつけ。
いやおつけ?みおつけ…。
え〜と…私もわからなくなっちゃったわ。
(みんな)アハハハッ!丁寧な言葉と普通の言葉。
皆さんはうまく使い分けられますか?昔むかしある大きな屋敷にこなみという娘が働いていました。
貧しい家に生まれたこなみは身寄りもいません。
屋敷で働ける今の暮らしに感謝していました。
(こなみ)お地蔵様今日も一日ありがとうございました。
こうして毎日お地蔵様にお参りするのがこなみの日課でした。
あっ。
旦那様。
おぉこなみ。
扇子はどこに置いたかな?それならここに。
おぉありがとう。
(キク)こなみ!お参りも結構だけどね戸締まりを忘れないでおくれ。
(こなみ)はい。
後妻のキクは主人がこなみばかりを気にかけるのがおもしろくありません。
陰日向なく働くこなみは使用人たちにも慕われています。
おやお使いかね?ああ代官所にな。
なくすと大事だ吾作には頼めねえな。
ハハハハハ!あっ吾作さん薪がなくなりそうなのでお願いします。
(吾作)おぅわかった。
まぁこんなにたくさん。
余分に割っといただ。
《お地蔵様どうか吾作さんもみんなと仲よくできますように》《こなみなら…》主人夫婦には子供がいません。
そこでこなみを養女に迎えたいと考えていました。
ところが…。
とんでもない!第一身分が違います!それにお前様に取り入って何を企んでいるのかわかりゃしない。
いやこなみはそんな子ではない。
養女など私は絶対反対ですから!旦那様は今夜お泊まりになるね。
久々に羽をのばして…おっと…。
こなみあとで部屋まで来ておくれ。
は…はい。
おぉこなみ。
あ…。
どうしたこんな遅くに。
使いを頼まれたのか?わし代わりに行ってやる。
それよこせ!いいんです!あっ!こなみまで俺を…うぅ!
(泣き声)火事が起きたのは夜半過ぎ。
折からの風で火は屋敷全体を焼き尽くしたのです。
家の者と使用人はこれだけか?へい。
ん?こなみお前が火を!え?お役人様こなみをつかまえてくださいまし!ゆうべ私はこなみに暇を出しました。
それを恨んでつけ火をしたんです!あ〜!いいえ!あっ。
お屋敷をやめるよう奥様が申されたのは本当です。
あとはどんなに厳しく責められてもこなみは口を開こうとしませんでした。
お願いでございます。
もう一度お取り調べを!こなみは信心深い子でございます。
つけ火など大それたことするわけがない!何とぞお願いでございます。
しかし願いもむなしくつけ火の罪でこなみは火あぶりの刑が決まってしまったのです。
あぁ悪い夢を見ているようだ。
あっ…。
こなみ!おぉ〜!こ…これは!お地蔵様がお守りくださった。
あっお…お地蔵様!お地蔵様…。
わしだ!わしが火の始末をしなかっただ。
こなみにまで冷たくされ悔しくて火の始末を忘れてしまっただ。
そしたら火事になって恐ろしゅうて言えなかったんじゃ。
こ…こなみ…許しておくれ〜こなみ。
吾作の言うとおり不始末から起きた火事だったのです。
どうかご寛大なお裁きを。
お地蔵様のお慈悲で吾作さんを許してあげてください。
こなみ!代官はこなみの心をくみ取り吾作は軽い罪で済みました。
こなみは養女になる話を断りました。
尼僧となり地蔵様のそばの庵で暮らし始めました。
人の心の支えとなる御仏の道を選んだのです。
そしてこのお地蔵様は身代わり焼け地蔵と呼ばれ人々から親しまれるようになりました。
2014/03/16(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「雷太と鬼」
「‘お’は難しい」
「焼け地蔵」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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