日曜美術館 アートシーン ▽“アートニュース” ほか 2014.03.02

「アートシーン」です。
今日は大きなニュースからお伝えします。
浮世絵の巨匠喜多川歌麿の最高傑作発見です。
歌麿幻の作品が発見されたという知らせが入りました。
発見されたのは巨大な掛け軸。
現れたのは鮮やかな色彩で描かれた女性の群像。
縦およそ2m。
横およそ3.5m。
浮世絵史上最大級の大きさです。
画面の隅々まで一分の隙もなく緻密に描き込まれた大画面。
200年以上も前に描かれたとは思えない美しさです。
いや〜きれいですね。
表装がボロボロだから中の絵はどうかと思ったら非常に鮮やかに色が残ってるんですね。
長い眠りから目覚めた喜多川歌麿幻の傑作「深川の雪」。
舞台は江戸を代表する遊里深川の料亭。
芸者や遊女たちが中庭を囲むように描かれています。
風俗や画風の分析などから制作されたのは歌麿最晩年の1802年ごろから1806年と推定されました。
精密な筆遣いと流れるような画面の構成。
歌麿の最高傑作と考えられます。
登場人物は27人。
着物の文様しぐさ表情まで描き分けられています。
木々に積もる雪に優しくそっと手を伸ばす女性の姿。
緑色の口紅は当時流行した笹色紅です。
作者を示す書き込みは何もありませんが歌麿本人の手によるものと鑑定されました。
もう疑いなく歌麿美人ですね。
全て子供を除いては女性たち歌麿の得意な美人たちが勢ぞろいしている。
それぞれの表情とニュアンスを与えられて一つの全体像が有機的に構成されている。
これは歌麿以外にはありえない。
描けない。
現在確認されている歌麿の作品は2,000図以上。
そのほとんどは版画で絵師が直接描く肉筆画は僅か40点ほどです。
「深川の雪」の最も古い記録。
明治12年栃木の寺で行われた展示会に出品されていました。
栃木の豪商の依頼によって歌麿が描いた「雪月花」という3部作の一つだと考えられます。
3部作はその後栃木からフランスへ流出。
「吉原の花」と「品川の月」は今アメリカの美術館に収められています。
「深川の雪」は昭和23年東京・銀座で開かれた展覧会を最後に姿を消します。
以来その存在はモノクロ写真でしか知られておらず幻の作品としてさまざまな臆測を呼んできました。
2012年の初め古美術商が作品を入手。
64年ぶりに姿を現しました。
奇跡的に鮮やかな色彩を保っていましたがシミや虫食い破れ折れなどかなりの損傷を受けていました。
絵を本来の状態に近づけ安全に展示するため大々的な修復が行われる事になりました。
まず高精細デジタルカメラと赤外線カメラを使って調査が行われました。
しわや折れを取り表装を全て取り替えます。
作品の裏側全体に水を含ませて裏打ち紙などを丹念に剥がしてゆきます。
シミや汚れは薬品を使わず水だけで慎重に除去されました。
絵の具の状態が極めて良かったため上から絵の具を足す事はせず歌麿の色がそのまま生かされました。
先月全ての修復が完了。
発見された「深川の雪」はまるで制作当初のようによみがえりました。
紙の折れなど損傷は全て元どおりに。
喜多川歌麿の「深川の雪」。
それは晩年の歌麿が持てる力の全てを注いで描き上げた最後にして最高の大作でした。
200年という歳月を超えてその輝きを今に伝えています。
う〜んドキドキする大きさですね。
うれしそうですね。
うれしいです。
しかも肉筆ですからね。
歌麿は謎多き絵師ですからこれでまた研究が進むかもしれませんし何よりも美術ファンはほんとにうれしい事です。
実際に足を運んで直接見なきゃいけないですね。
この作品は…ではその他の展覧会をご紹介いたしましょう。
ミロのヴィーナスに代表される古代ギリシャの女性美。
その美しさを探究し描かれた作品。
19世紀後半イギリスのヴィクトリア朝時代に唯美主義を提唱する芸術家たちが登場しました。
その時代の建築様式で建てられた…ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の所蔵品を中心に生活の中に美を求めた展覧会です。
画家のパトロンの邸宅食堂の暖炉の上を飾ったバーン=ジョーンズの浮き彫りです。
西の果ての楽園に住む精霊たちと黄金のりんごの木を守るドラゴン。
金とプラチナの箔をふんだんに用いて食堂を華やかに引き立てました。
「パヴォニア」。
美のシンボルくじゃくを意味します。
画家レイトンは男性をひときわ魅了する女性として漆黒の髪を持つイタリア人女性を描きました。
憂いを帯びた官能的な瞳。
男性を破滅に追いやるファム・ファタールを思わせます。
古代ギリシャの神殿。
そこには贅沢な調度品に囲まれさくらんぼを手にする親子。
背景には古代ギリシャと並ぶ美の源泉日本の屏風が飾られています。
美に包まれて暮らす。
まさに唯美主義を象徴する絵画です。
唯美主義は生活の中にまで反映されていました。
当時の理想的な室内。
飾り棚暖炉の装飾など美が部屋を覆い尽くしています。
当時の暖炉。
金属や木材そして陶器や大理石などさまざまな材質を使ってデザインされています。
最上段には漆絵まで飾られ日本の美への憧れも込められています。
こうしたアート・ファニチャーは唯美主義のライフスタイルを代表するものです。
映画ポスターやイラストで知られる生範義78歳。
「スター・ウォーズ帝国の逆襲」の国際版ポスターで一躍世界に知られたイラストレーター。
50年に及ぶ仕事の全貌を紹介する展覧会です。
生の名声を不動にしたのがこの作品です。
1970年吉川英治「宮本武蔵」第一巻のために描かれた鬼気迫る武蔵の表情。
生の手がけた作品は数千点。
その質と量は他に比類のないものと言われています。
なくても困らないけれどあるとちょっとうれしい。
画家谷川晃一が世界各地で集めてきた心を豊かにしてくれる雑貨の世界です。
雑貨は個人的な好き嫌いが判断基準。
主観的な選択が心地よい暮らしの証明と谷川は言います。
美術は常に生活と共にあるべきという谷川の考えが反映された展覧会。
黒漆を塗り重ねた表面に細かな彫りを施しそこに色漆を塗り込んで研ぎ出す技法蒟醤。
この技法で知られる人間国宝磯井如真の没後50年を記念する展覧会です。
磯井は明治16年香川県生まれ。
地元の漆の技術を研究し蒟醤を更に発展させました。
従来の線彫りの蒟醤からより緻密な点彫りの蒟醤で表現したアカシアの花。
蒟醤の技法に彫りを組み合わせて作られた作品。
磯井の独特な世界です。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2014/03/02(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“アートニュース” ほか[字]

「アートニュース」ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「アートニュース」ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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