昔むかしお酢を造っている男がいました。
おぉ〜。
ん?こりゃいかん!ん?あらまぁ!シュロの葉を取ってきて倉の窓を覆いました。
これでバッチリ!この男頭の中はお酢のことばかり。
カラスにバカにされてもまったく気づきません。
そして日がな一日お酢のおしゃべりに耳を傾けています。
暑い…暑い…暑い…。
まだ暑いかの?風があるといいんだが…。
今年のほうが少しは涼しいか…う〜ん!ほれ風じゃ。
よいよい…よいよい…。
樽の中で賑やかにおしゃべりするお酢はかめに移されてからもそっとおしゃべりを続けます。
まだまだ…まだまだ…。
そうかもう少しかかるか。
こっちはどうかな?ふわ〜よいころよいころ。
こうなればお酢の出来上がりです。
お酢造りにはとても長い月日がかかるのです。
そうそう町の酒屋のご主人がねいいお酢があったら欲しいそうですよ。
あの商売上手の酒屋の親父がか?何ですかお得意先に都の料亭が何軒かあるとかでお酢も頼まれたそうです。
(くしゃみ)寒いか?ちょっと冷えてきましたね。
私のこと心配してくれてるんですか?お酢が寒がっとる!は?窓閉めてくる!
(くしゃみ)それはずいぶん前から寝かせてあるお酢のかめでした。
とびきりとびきりかんろかんろ…。
うまい!香りとほのかな甘さが口に広がります。
とびきり上等なお酢が出来たのです。
このおいしさ酒屋の親父も驚くわい。
わしもそろそろ職人として名前を上げるときかなぁ。
ん〜こんなうまいお酢初めてだ。
まさにかんろかんろ。
どうだ?売れそうかのう?おぅこりゃ儲かる。
どんどん造って儲けましょうぞ。
のう?ワハハハハ!エヘヘヘ!そこで男は町でいちばん大きなかめを買い家路に着きました。
《5倍の大きさの入れ物で造れば5倍更に倍の速さで造れば儲けは10倍。
フフッフフフフ!》男はお酢を大量に素早く造ることにしました。
お前さん大変!大変!お客さんが…。
え?あ〜っ!ここのお酢はえらく体に効くらしい。
おぅじいさまの曲がった腰がピョーンと伸びたそうな。
はいはい1列に並んで。
数に限りがあるよ〜!いっいつの間に!商いのコツは素早く噂を広げることじゃ。
あ儲けは半分半分でな。
でもそんな大勢の分は出来とらんぞ!あ〜どうすれば…。
なあに水で薄めればええ。
え〜っ!?何をする!?ダメだ!ほれ!ひぃ!それ〜!ひぃ〜!ほれ〜!ひぃ〜!!
(2人)あ?あ〜まずいまずい!
(みんな)わぁ〜!持ってけ持ってけ!
(みんな)わぁ〜!まずいまずい!やめてくれ〜!
(2人)うわ〜!お前さ〜ん!大丈夫ですか〜?お前さん!あれ?お客さんは?酒屋の親父は?何言ってるんですか。
慌てて家を飛び出して坂道を急ぐから石につまずいて飛ばされたんですよ。
男は転んで気を失ったまま夢を見ていたのでした。
はっ!あ〜!わしが精魂込めて造ったお酢が!勘弁してくれ〜!それ以来お酢は何もしゃべらなくなりました。
怒ったんじゃ〜。
アホーアホーアホー。
ドアホ−!ドアホ−!今日は暑くなりそうですよ。
お前さんいつも言ってたでしょ?人が汗をかくときはお酢も暑がってるって。
あ!〜よいよい…。
よいよい。
もうすぐかんろかんろかんろ。
しゃべった〜!こうして男はお酢のおしゃべりに耳を傾けながらおいしいお酢造りに励み続けたということです。
昔むかしある山奥におじいさんとおばあさんが住んでいた。
働き者のおじいさんは今日も山で柴刈りをしていたがお昼になったのでおばあさんが作ってくれた大好きな草餅を食べた。
残りの草餅をあとで食べようと切り株の上に置いてまた柴刈りに精を出した。
すると一羽の小鳥が飛んできて草餅を突っつきはじめた。
ピーピヨピヨピヨピヨピーピヨピヨピヨピヨ!ピーチチチチ!ピヨピヨ!こりゃかわいそうに!今取ってやるからな。
小鳥の足についた草餅を取ってやろうとするのだがなかなか取れない。
そこで口で吸い取ってやろうとして…。
ピヨー!小鳥をうっかり飲みこんでしまった。
するとのどからお腹のあたりがむずむずしてきてなんと…。
うわっなんじゃこりゃ!じいさんのヘソから鳥のシッポの羽が飛び出した。
「チチンプヨプヨププヨプヨ」「ゴヨノオンタカラ」「チチンプヨプヨププヨプヨ」うわっこれはおもしれぇ!ばあさんやばあさんや!なんじゃろね騒々しい。
見てくれやばあさん!ほれこれ引っ張ってみいや。
えっこれはいったい?ええから引っ張ってみ。
「チチンプヨプヨププヨプヨ」あれれれれまあ!「チチンプヨプヨププヨプヨ」これはおもしろい。
どうじゃきれいな声じゃろう?ホントに。
村の人にも聞かせてやりましょう。
ああそうしよう!翌朝おじいさんとおばあさんは村人を集めて…。
「チチンプヨプヨププヨプヨゴヨノオンタカラ」村人たちは大喜びした。
次の日も隣の町へでかけ…。
「ゴヨノオンタカラ」「チチンプヨプヨププヨプヨ」町の人々もその美しい声に大喜びした。
こうしてあちこちで鳥の声を聞かせていたある日のこと…。
これは縁起がよい。
(2人)はぁ?「ゴヨノオンタカラ」とは「ゴヨ」すなわちこの世のお宝というお告げ。
縁起がよいから多くの人に聞かせるとよい。
(2人)はいありがとうございます。
世のお宝ですと!えらいものを飲み込んでしもうたのう。
おじいさんおばあさん。
ねぇ鳥の声を聞かせる人でしょ?いかにもそうじゃが…。
おばばが病気なの。
鳥の声を聞かせて。
よほど悪いのかい?わからねえずっと寝たっきりなの。
それはいけねえな。
鳥の声でよければいつでも聞かせてあげよう。
おじいさんとおばあさんは娘のおばばを見舞うことにした。
おとうもじっちゃも亡くなって男手がなくなってから働きづめでしたからのう。
すっかり弱ってしまって…。
おばば鳥の声で歌うじい様が来てくれたんだよ。
ではのう早速鳥の歌聞かせてしんぜよのう。
冥土の土産じゃ聞かせておくれ。
「チチンプヨプヨププヨプヨ」おおええ声じゃのう。
「チチンプヨプヨププヨプヨ」「ゴヨノオンタカラ」ありがたやありがたや。
おっ!
(2人)おばば!腹減った!おばば!おばばが元気になったよ。
鳥の歌がきいたかのう?ゴヨノオンタカラの御利益じゃ。
おばばはお粥をうまそうにすすった。
よかったのうおばばが元気になったぞ!母親はお礼に何も差し上げられないことを詫びた。
おじいさんおばあさん。
これあげる。
おばばからのお礼。
ほう!かわいい風車じゃないか。
去年おばばがおらに作ってくれたんだ。
そんな大切なものもらうわけにはいかん。
いいんだ!元気になったからまた作ってくれるって。
そうかい?きっとまた作ってもらえるんじゃな。
うん!ほら!ふぅ〜!ほうええ音じゃ。
カラカラとよう回っとる。
ありがとう!おじいさんおばあさん。
おばばを大事にな。
女の子がくれた風車はよく回った。
風で回る風車の音がいつしか鳥の声と混ざるようになった。
「ゴヨノオンタカラオンタカラ」「カラカラカラカラカラカラ」ばあさんや今鳥の声が聞こえなかったか?確かに聞こえました。
腹を見るとあの尾っぽが出ていない。
どどうしましょう?おじいさん!すると急におじいさんののどのあたりがむずむずとして…。
ピヨピヨ…ピヨ〜!「チチンプヨプヨププヨプヨ」「ゴヨノオンタカラ」あの鳥はゴヨノオンタカラをこの風車に託したのじゃな。
私らの宝にいたしましょう。
ふぅ〜!そうしよう!「ゴヨノオンタカラカラカラ…」ここに大きくて立派なお山があった。
この山には天狗が住んでいると言われていた。
日が西に傾くと修行僧さえ天狗を恐れて山を下りていく。
真っ暗な夜になると誰一人山に入る者はいなかった。
ある雨の夜のこと…。
山のふもとの宿屋に若者たちが集まって賑やかに酒を飲んでいた。
その中にいつも大口ばかりたたいて威張っている大蔵という男がいた。
なに大蛇が!?そうさ。
俺の前で道を塞いでいたからちょ〜いとどいてもらったわけよ。
へぇ〜。
またまた。
何がまたまただ。
怖いもの知らずの大蔵様の自慢話がま〜たまた。
その前は岩みたいにでっかいクマと相撲とったんだってなぁ。
おおそうさ。
とりゃ〜!あのクマあれから山で俺に会うと死んだふりするぞ。
まあ俺に怖いものなどないな。
ウフフフ…。
だがこの山には天狗がいるというぞ。
な〜に天狗なんぞ。
じゃああの山のお社まで行ってこられるか?時雨の夜じゃ恐ろしいぞ。
お…俺は絶対に嫌じゃ。
フンこの腰抜けどもが。
それなら登ってくるか?おう。
そんなものおちゃのこさいさいじゃ。
奥宮まで登った証拠にさい銭箱担いでこいや。
わかった。
持ってきてやる。
ここで待っとれ。
ありゃ本気だぜ…。
この壁はきっちり弁償してもらいます。
大蔵は雨の中山のお社目指して登っていった。
ひいっ!て…天狗でも何でも用があるなら出てこ〜い!出てこ〜い!ヘッ出るわけないか。
だ〜っはははは!うわっ!イテッ!邪魔な根っこめ!天狗の手下か!何のこれしき!「俺は大蔵強いぞう」「天狗なんて怖くない」えっ!あっ奥宮じゃ!「怖くないへっちゃらだなんでもこい」どうじゃ俺の度胸に天狗も肝を冷やしたか。
おちゃのこさいさいじゃ〜。
そうださい銭箱持ってこいって言ったよな。
あぁ〜!て…天狗じゃ〜!うお〜っ!お助け〜!さ…さぶぅ〜海の上じゃ〜!お前ちょっと重いな〜。
ちょちょちょちょちょちょ…。
しょっぺえしょっぺえ!どうか落とさねえでくださいまし〜!お助け〜!喝!なななな…。
ああ〜なぜ〜?ああっ!?受け止めんのかい!無理。
和尚さんてえへんです。
空からこんなやつが降ってまいりましたで。
ほっほっそれはめでたい。
天の恵みかもしれん。
おぬしどこから来たのじゃ?へいおらが山からです。
なんとはるばるおらが山からわびしい島まで?えっわびしい島!?うぅ…グスン…。
なるほどそういうわけじゃったか。
自慢ばかりしていい気になっておることを天狗になるという。
お前さんどうやら天狗のバチが当たったようじゃの。
に…二度と天狗様を侮ったりはいたしませんのでどうか国へ帰らせてもらえませんか?うむ…。
もう村のみんなに会えないのは嫌だ〜!うむ故郷へ帰りたい気持はわからんでもない。
うむなんとか取り計らってしんぜよう。
あ…ありがとうございます!あのおかわり…。
もうないわい!ニャ〜。
大蔵は和尚さんの計らいで島を離れることになった。
そして山のふもとの自分の村まで帰っていった。
あれ!おい見ろ大蔵だ。
生きておったのか。
大蔵が帰ってきたぞ。
どうしておったんじゃ?捜してたんだぞ。
まずはち〜っと1杯飲ませてくれんか。
バカ心配させて…。
無事でよかった。
ふぇ〜。
何があったか話してみろや。
やっぱり天狗がおったか?天狗?おったのか?ああ。
天狗に捕まったのか?それがな…。
天狗が俺をつかもうとしたから反対に投げ飛ばしてやったんじゃ〜!それから天狗に飛び乗って空を飛び海を渡って遠い島まで行ってきたんじゃ。
(みんな)え〜っ!まぁ天狗を操れるのは俺くらいなもんよ。
だ〜はっはっはっ!喝!ひぇ〜!て…天狗じゃ〜!どうしたの?大蔵おい?大丈夫か?それからというものさすがの大蔵も心を入れ替え大口をたたかなくなったそうじゃ。
しゃきっとしな!イテ!すみましぇん。
天狗よりおっかないね。
お幸せに!2014/02/16(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「お酢のささやき」
「鳥呑み爺さん」
「天狗と空の旅」
の3本です。みんな見てね!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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