(鳴き声)高齢者に癒やしを与えるロボット。
種まきから収穫まで全てできるコンテナ型の野菜工場。
そして工場やオフィスなどの電力を補う小型の風力発電機。
実はこれらの製品は全部一つの住宅メーカーが手がけています。
大阪に本社がある大和ハウス工業。
住宅建設業界で最大手です。
そんな中一見住宅と関係ないような新事業に積極的に力を入れています。
今日は住宅メーカーがなぜ次々と新事業に挑むのかその戦略を経営トップに聞きます。
関西を元気にする方々を紹介していく「新・ルソンの壷」。
今日は新しい事業に次々と取り組む住宅メーカー。
その戦略に迫ってまいります。
壷ナビゲーターはNHK大阪放送局報道部の河内康之記者です。
河内さんこの会社は本業である住宅メーカーとしても大手なんですよね?そうですね。
この10年間で業績を2倍に伸ばしてまして売上高が2兆円余り。
そして営業利益も1,000億円を超えているんです。
非常に好調なんですけどもあえて今新規事業に乗り出しているんですね。
この新規事業なんですけどもあまり本業とは一見関係なさそうな事業が多いんです。
一体どうしてなんでしょうか。
今日は会長をお呼びしてその辺りをじっくりと伺ってみたいと思います。
どうぞお入り下さい。
どうぞ。
お願い致します。
こんにちは。
こんにちは。
どうぞこちらに。
紹介させて頂きます。
大和ハウス工業の会長でいらっしゃる樋口武男さんです。
今日はよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
ではどうぞお掛け下さい。
失礼致します。
今ありましたように樋口さんの会社がここまで好調な理由それを教えて頂きたいんですが。
何でなんでしょう?住宅はコア事業ですけども住宅だけやなしに総合生活産業という意味合いから建築もやってるし流通店舗という新しい手法のまあ一般の建築物商業施設等をやってますでしょ。
集合住宅やってるしグループ会社入れたら128社ありますしね。
スポーツクラブやってるしホテルやってるしゴルフ場やってるしホームセンターやってるしともかく総合生活産業のキーワードでかなり横に広がってますよね。
必要とされる事をやろうと。
住宅だから家というイメージが強かったんですけれども実はそれ以外の今おっしゃったような店舗だとか…。
商業施設とかね一般のビルとか工場物流倉庫。
だから一般建築全部やりますよね。
そうすると郊外のロードサイドにある…。
店舗随分やらせてもらいましたね。
そういったいろんな事業があって今の好調があるという事なんですけれども更に今新しい事業にたくさん取り組んでいらっしゃるという事でまずはどのような事業にどのように取り組んでらっしゃるかこちらをご覧頂きましょう。
樋口さんの会社は住宅メーカーという枠を超えてさまざまな分野でビジネスを展開しています。
例えばこちらの風力発電。
作り出した電気を電力会社に売って収益をあげています。
こうしたエネルギー関連で将来は1,000億円の事業規模を目指しています。
そしてこちらのコンテナ型の施設。
中では野菜を栽培しています。
野菜は人工の光を使って育てられています。
そのため季節や天候に左右される事なく一年中収穫する事ができます。
おととしから外食産業向けに販売。
今後は学校や介護施設などにも広げていこうとしています。
そして今一番力を入れているのがロボット事業です。
足が不自由な人の動きを補助するこのロボット。
5年前からリース販売を始め現在全国170か所の病院や施設で使用されています。
こうした新しい事業は全国に広がる住宅などの販売網を使って進められています。
以前は住宅を売っていたこの営業マンも今は病院や施設を回ってロボットの営業をしています。
こうした住宅と関係ないように見える事業一体どうやって次々と立ち上げているのでしょうか。
実はその多くはベンチャー企業と組む事で進めています。
この日ロボット事業の責任者が訪ねたのは介護機器のベンチャー企業です。
どうですか?カップの改良の方。
新しく今進んでまして…このベンチャー企業が開発した自動排せつ処理ロボット。
寝たままで排せつをしてもその度に排せつ物を吸い込み自動的に洗浄乾燥する事で体を清潔に保てるといいます。
寝たきりの人の介護の負担を減らす事にもつながると期待されています。
樋口さんの会社が去年から販売を担当しおよそ270台を売り上げています。
このベンチャー企業は2年前試作品を製品化する資金がなくて困っていました。
一方樋口さんの会社は超高齢社会で必要となる将来性のある商品を探していました。
両社の思惑が一致し樋口さんの会社はこのベンチャー企業に出資して協力する事にしたのです。
新事業がたくさん出てきましたけれども樋口さんどうして今こういう新事業に力を入れてらっしゃるんですか?安心したら止まるでしょ?企業は常に成長し続けないかんでしょ?世の中も変わっていくから世の中の変化に応じて一歩でも先を読んでどういう事が必要になるのかどういう事業がええのかどういう商品がええのかしょっちゅう考えますよね。
先ほどの自動排せつロボットなんかは国内だけが年寄りが増えてくる訳やないんですわな。
海外も全部増えていく訳ですよ。
そうするとそういうものを輸出していけばそれぞれの国の人たちにも喜んでもらえるでしょ?これは事業を通じて多くの人々の役に立ち喜んでもらえる事をする会社がやっぱり残っていくんだと。
歩行支援ロボットなんかでも大学の教授が発明されたんだけども一生懸命説明されますよね。
僕会って「なぜその研究をされてるんですか?」と聞いた時に「自分の研究を通して世の中の多くの人々のお役に立てればいいと思ってやってます」と言うから「それはうちの精神と一緒やからそしたらうちサポートしますわ」と言うてそっちへ参画していったんですな。
本業の住宅建設だけで勝負するというのは駄目だったんですか?やっぱり将来高い目標あるでしょう?高い目標。
高い目標があるんですよ。
将来は10兆円というね。
売り上げですか?売り上げを。
それはオーナーが亡くなる前に「俺の夢や」言うて亡くなられてるから…。
創業者の方が…。
そしたら今の事業だけでいけるんかと自問自答した時にこの事業…枠の中だけではしんどいなと。
将来的に日本の人口は減っていきますよね?そしたら国内の事業だけで10兆円いくというのは不可能でしょう?だから今それぞれやってる事業はコア事業としてなくなる事業ではないですよ。
だけどその中で切磋琢磨しながら新しい技術をそこへ投入して勝ち進める企業に。
僕「生き残る企業」というのをどこかで講演を頼まれた事あんねんけどね「生き残る」やったか「勝ち残る」やったかな?言われたから「そんなテーマではよう講演せん」と言うたら「何かお気に障った事がありますか?」言うて。
「勝ち残るとか生き残るいうのは消極的や」と。
「勝ち進むというテーマでなら話ができる」と。
変な理屈なんですけどね。
だけどやっぱりあくまでもやるからには積極的行動と積極的精神がないとそら事が前に進まんですよね。
何でもそんな簡単にいかんから。
自社でも研究所をお持ちじゃないですか。
自社ではなくてベンチャー企業と組んで新規事業をやるメリットはどういうところにあるんですか?大体会社を立ち上げる時はあまり資本金もないですね。
大和ハウスだって本を正せばベンチャーですから。
資本金300万円で18人でスタートした会社やから。
だからベンチャーの場合はもともとお金がそんなに豊富にある訳やないでしょ?である程度まで来たけどもそこから前へ進みにくい。
販売のネットワークもない。
それがいいと思ったらうちが手助けして「もっとこういう事突っ込んでやって下さい」とかという形で一緒にやれるでしょ?そしたら社長さんと会い奥さんと会いこの人らホンマに前向いて世の中のためになろうとしてるというものが私に伝わってきたらうち一緒にやりましょうと。
ウインウインの関係にならない限りはうちはやらないと。
樋口さん変な言い方ですけど使いものになるかどうかって初め分からないじゃないですか。
どうやって見極めてるんですか?それはねホントに今おっしゃるとおり「ホンマに役に立つんかどうか体験してこい」言うてね社員3人行かせたの。
「おしめあてて大も小もしてこい」と。
帰ってきた子に聞いたら3人のうち2人は「小しか出ませんでした」と。
もう一人は「両方出ました」と。
「どうやった?」言うたら「快適でした」と。
「小だけでもセンサー感知したら温風がダ〜ッと流れて乾かしてくれるから快適」と。
「分かった。
俺も体験する」と。
樋口さんご自身も?そうそう。
僕やったら小は快適やった。
スッとすぐ乾いてしまうからね。
普通の布のおしめちゃうから。
自分も病気した事あるから…。
だから自動排せつロボットなんかあの時こんなのあったらよかったなと思う訳ですよね。
それは介護のご経験から…。
自分が入院して介護の人に面倒見てもらった経験から嫌やなと。
面倒見る人もっと嫌やと思うんですけどね。
そういう時にそういう意識が強く残ってるからこんなのあったら多くの人が助かるやろうなと。
で一緒にやりましょうと。
じゃあ一度手を組むと決めた事業というのは樋口さんの会社としてもサポートする。
そういう考え方。
そうしますよ。
このようにしていろんな企業と新しい事業に取り組んでらっしゃる樋口さんの会社なんですが本業である住宅ここに実は生きているという新しい事業もあるんです。
大阪・堺市にこの会社が去年分譲を始めた住宅団地があります。
実はこの団地ある特徴があります。
電力の自給自足を目指しているのです。
全ての家に太陽光パネルがつけられています。
作られた電気は家の蓄電池にためる事ができます。
実はこの蓄電池樋口さんの会社があるベンチャー企業に出資して製品化に結び付けたものなんです。
蓄電池に関わるようになったのは11年前。
電気自動車の研究開発プロジェクトに資金を出したのがきっかけでした。
結局このプロジェクトで実用化はできませんでしたがその原因の一つは蓄電池が非常に高価だった事でした。
そこでそのメンバー数人が新たに会社を立ち上げ安く一般に普及できる蓄電池の開発に挑みます。
樋口さんの会社は住宅で使おうとその会社に出資。
そしてついにおととし大規模な工場が完成しました。
この工場はそれまでの5倍の数の蓄電池を作る事ができます。
その結果大幅なコストダウンが可能になりました。
そこで樋口さんの会社では去年からこの蓄電池を生かした住宅団地の建設を本格化する事にしたのです。
この街に暮らす篠原さんのお宅です。
蓄電池がある事で去年の電気代に大きな効果があったと言います。
実は発電して余った電気は電力会社に売る事ができます。
しかもいつどのように売るかは自動で行われるのです。
篠原さんの家では去年6月から12月の7か月間で7万5,000円以上の収入になりました。
電気自動車の開発から始まった新事業。
それが今や本業の住宅建設に生かされる事になったのです。
最後は住宅に生きてきたというお話なんですけれども今となっては蓄電池ってよく聞くんですけれどもそういう時代が来るっていう事は何で分かったのかなと。
いやそれはねまあこれも教育してくれたのはオーナーですけどね常に先の先を読めと。
だからそのように意識してますもんね。
何かいい事はないかいう事はやっぱり常々考えてないと何かパッと見た時にピンと来ませんわな。
でも攻めるにしても結構すごい分野に…違う分野に攻めてらっしゃいますよね。
違う分野という見方をされますけどね私は総合生活産業いう事は生活に全部つながっていると思うんですよ。
でも何でそこまで攻めないといけないんだろうと不思議に思ってしまうんですけれども…。
だからキーワードは先ほど申し上げたけども…そういう一つの心棒がありますわな。
ホントにこれは世の中の役に立つな喜んでもらえるなと思た時はね少々突っ込んでいってでもやりたいと。
「やりたい」についても僕の会社やないから役員会で皆さんの賛同を得てやる訳ね。
今取り組んでらっしゃる新事業というのはもしかしたら家に全部つながれば確かに生活はしやすくなりますよね。
リチウムイオン電池が家についとった方がええしね。
そしてエネルギーがネット・ゼロ・エネルギー住宅。
例えば何点かやってますけども太陽光つけてリチウムイオン電池つけてね。
全部自給自足してできる。
だから電力は余ったら売る。
そういうような自給自足型の住宅で。
エネルギーのね。
そういう住宅にする。
もっと大事に手入れしていって電柱のない美しい町をつくって木を植えれば環境もようなりますよね。
そういう町を創造していきたいなと思てますね。
樋口さんいろんな新規事業取り組んでらっしゃいますが芽が出るまでかなり時間がかかるじゃないですか。
かかります。
これ結構リスクもありますよね。
あります。
だから初めからこう手結んで力入れていってお互い協力していってね。
僕は10年と思とんですよね。
10年はかかるやろと。
そんなに長く?パッと出るもんもあると思いますけどね。
すぐ出るやつもあるけどもリチウムイオン電池とかそういう類いのものはやっぱり世の中初めからあったもんやないから認知してもらわないかんしね。
10年待ったとしてもその10年先に成功があるかどうかって分からないじゃないですか?それは読みです。
読み。
読み。
世の中がどのように変わっていくんかという事から考える訳ですよ。
エネルギー問題もいずれはやっぱりタイトになってくるだろうとかね。
じゃあもう失敗しないであろうと?そら失敗するであろうと思て誰がやりますか。
そうですけれども。
樋口さん今どんどん新規事業を取り組まれてらっしゃいますが会社の規模としてはかなり大きくなってますよね。
うちね。
大企業としてはどういう姿があるべき姿だとお考えですか?僕は日本の物差しで言ったらね大企業と言われるんですけれどグローバルな時代と言うでしょ。
グローバルな時代やったらグローバルな視点でもの見なきゃいかんやないですか。
そしたら世界にね10兆円以上売り上げている企業は50社以上あるんですよ。
そこらは世界の大企業です。
まあ日本の中の大企業と言われるか分からんけどもグローバルな視点で見たら2兆や3兆まだ大企業と言えないでしょ。
だからどうしても名実ともに大企業と言われるような企業を。
それまあオーナーの夢ですからそれは実現していきたいなと。
だから…チャレンジ。
止まらずにずっと行かれる?止まったら…。
止まったら水は濁るでしょ。
腐るでしょ。
常に前進あるのみでしょ…と僕は思てますけど。
河内さん。
でも樋口さんがこの新事業に取り組もうと思ったあとの攻めの姿勢というのがすごく伝わってきましたね。
そうですね。
今いろんな企業が新規事業に取り組んでいるんですけどなかなかうまくいってないというのが現状なんですね。
こうした中この会社では時代の先の先を読んで世の中で必要だというような確信が持てれば我慢強く続けると。
芽が出るまでずっとやり続けるんだという。
10年待っても。
その信念というのが成功の鍵を握っているんだなと強く感じました。
樋口さん今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/03/16(日) 07:45〜08:10
NHK総合1・神戸
新・ルソンの壷「新事業で勝ち進め〜大手住宅メーカーの戦略〜」[字]
癒やしロボット、コンテナ型野菜工場、そして小型風力発電機。こうした新事業に、ある大手住宅メーカーが積極的に取り組んでいる。その戦略を経営トップにじっくりと聞く。
詳細情報
番組内容
高齢者に癒やしを与えるアザラシのロボット。種まきから収穫まですべてできるコンテナ型の野菜工場。オフィスなどの電力を補う小型風力発電機。実はこれらの製品は、全部、ある大阪の大手住宅メーカーが手がけている。一見、住宅とは関係ないようなこれらの新事業に、積極的に取り組んでいるのはなぜなのか。また、どのような方法で新事業を進めようとしているのか。その戦略を、経営のトップに、スタジオでじっくりと聞く。
ジャンル :
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