美食の国フランスその南東部を占めるこの地で店を開きわずか4年でミシュランの星を獲得した日本人シェフがいます。
伊地知雅さん38歳。
伊地知さんを突き動かしているのは特別な思い。
(スタッフ)フランス料理の本場ということもあって対フランス人に対してっていうこともあります?それだけですね。
舌の肥えた本場の食通たちを魅了するフランス料理界の新星。
その軌跡と料理人魂に迫ります。
人の行く道は一本道とはかぎらない。
突然に岐路が現れ進路を選ぶことで旅路は続く。
この人はどんな道を歩むのだろう?大河ローヌのほとりにひらけた美しい街ヴァランス。
かのリヨンに続くローヌ・アルプ地方の美食の街。
伊地知さんはその旧市街の一角に店を構えています。
ラ・カシェットフランス語で隠れ家。
店名どおり控えめな看板が1つだけ。
しかし連日席が埋め尽くされる人気店。
客もフランス人なら接客担当もフランス人。
厨房で飛び交うのもフランス語。
しかしここになぜかフランス人はいません。
それは伊地知シェフのこだわりから。
たとえ本場にいようとも媚びへつらわず目指しているのは日本人の感性を活かしたフランス料理です。
彼のところに行くといつも違う料理が食べられるっていうイメージでやらせていただいてます。
その言葉どおり料理の発想は自由にして大胆。
フランス料理のスープのダシブイヨンの材料は王道の牛肉や鶏ガラではなくワカメとキノコ。
まさに和風ダシ。
そのスープと出会うのはフォアグラ。
フランスが誇る世界三大珍味のひとつに和のエッセンスを注ぎ込んだ伊地知シェフならではのひと皿。
口に運ぶと客の顔はおのずとほころびます。
大皿と小皿。
可憐なふた皿からなる斬新なオードブル。
得意とする鳩料理。
盛りつけはどこか和の趣。
日本人ならではの創意工夫。
それが本場のフランス人をうならせているのです。
早朝。
どこかへ足を運んだ伊地知さん。
ボンジュールボンジュール。
ここは週に2度開かれる市内の市場マルシェ。
こだわっているのは季節をうつしだす地の食材。
(フランス語)この鮮魚店とは10年来のつきあい。
車エビいきてます。
(フランス語)もはや国籍の違いを感じさせない地元でのつきあい。
(スタッフ)最初からあんなに会話が流暢なんですか?いえいえ…最初なんか魚屋なんか魚触ったらお前触るなよみたいな。
これはもうホント毎回毎回時間をかけて足運んでお金使ってやるしかないですよね。
食材を調達するのは店だけではありません。
やって来たのは地元の農場。
ともに畑に出て採りたての野菜を厳選して仕入れています。
すごいいい香り。
うん甘い。
ちっちゃいときの…。
思い出しますよね。
うちの親父もこうやって作ってたんで。
鹿児島のほうなんですけど。
鹿児島の阿久根っていうホント田舎町なんですけど…。
伊地知さんは農家の長男として生まれました。
幼い日は野山を駆けめぐる自然児。
小学校に上がってからは野球小僧。
プロ野球選手を夢見ていたという地方のごく普通の少年に運命の出会いが訪れたのは高校3年生のときでした。
高校の大先輩でした。
全校生徒の前で涙ながらに修業時代の話とかをされてそういう熱い話を聞いてから私の心にも火がついたみたいな。
中村さんは現在ホテルの名誉総料理長を務めています。
しばらく距離を置こうと思った。
これは本物だなと思って。
中村さんは自らが信頼を寄せる菅沼豊明シェフを紹介。
伊地知さんは当時下北沢にあった菅沼さんの店で料理人としていちから修業をスタートさせたのです。
ときどきね私に強く叱られてね。
ただその叱られたあとにね一歩近づいて真剣に怒ってもらってありがとうございますということを言われたときにはホントにビックリしましたよ。
彼はねそういう夢がありましたね。
そして2000年25歳のとき夢を叶えてフランスへと渡ったのです。
持ち前のガッツと不断の努力で頭角を現しヴァランスの名店ピックにも職を得た伊地知さん。
30歳の節目の年人生の岐路に立たされます。
店から車で10分ほどの住宅街。
そこに伊地知さんの自宅があります。
伊地知家は夫婦と一男二女の子供たちの5人暮らし。
(スタッフ)奥さんに感謝…。
いつもいつも。
いつも感謝しております。
家にいるとだらしないから。
そうなんですか?奥さん。
(笑い声)2人が出会ったのは下北沢の店。
幸枝さんもパティシエとして同じ厨房で働いていたのです。
伊地知さんが渡仏して2年後あとを追うようにパティシエ修業に来た幸枝さん。
2004年2人は結婚。
新たな命も授かりました。
節目の30歳を前にこのままフランスにとどまるか日本に帰るか伊地知さんは悩みました。
一念発起。
銀行から借金して閉店していたレストランの営業権を買い取り…。
しかし遠いアジアから来た外国人が本場で勝負するのは並大抵のことではありませんでした。
最初オープンしたときはホントに差別というかバカにされたというか…あってですね。
大丈夫大丈夫それしか言えなかったですけど。
俺はやるんだっていう感じで家族もあるし家族を養っていかないといけなかったんでもうやるしかなかったです。
その気持だけでしたね。
日本人の感性を活かしたフランス料理を追求する日々。
その努力と苦労がついに報われるときが来たのです。
それはオープンからわずか4年。
この書斎で大切にしまわれている一冊の本。
初めて一つ星がついたときの…。
2009年なんですよ。
いやあ嬉しかったですよ。
夢が叶ったっていうか。
あのときは…。
うちの嫁と2人でホント涙ですね。
いろんな人に支えていただいたおかげでですねこれが獲れたんだなと思うと嬉しかったです。
なんて格好悪いですけど。
16年前鹿児島の母校で聞き心動かされた中村勝宏シェフの講演。
その日から追い続けてきた夢を我が手につかんだのです。
その分プレッシャーはだいぶありましたけど…。
やっていかないとなと思って。
ここまで来られた理由それは常に傍らで支えてくれる人がいたから。
これよろしく。
(スタッフ)今日お手伝いですか?はい朝だけ。
子供がいない間はやってます。
仕込み的な?大変ですね子育てと…。
そしてもちろん伊地知シェフのたゆまぬ努力があってこそ。
星を獲得して以降連日満席ですが決しておごることはありません。
手が空けば厨房を離れて客席を観察。
料理を出すタイミングをはかります。
ひと皿ひと皿心をこめて盛りつけ。
それを終えれば接客にも努めます。
(フランス語)きめ細やかな心遣いは日本人の身上。
今やヴァランスの有名人となった伊地知さん。
さまざまな依頼も舞い込んできます。
この日やってきたのはキッチンメーカーのショールーム。
月に一度乞われて料理教室の講師を務めているのです。
生徒は地元の主婦や料理が趣味の男性。
日本人がフランス料理を教えることに違和感を抱く人はもはやいなくなりました。
2014年新たな節目の年。
伊地知シェフが動き出しました。
2014年伊地知シェフのラ・カシェットは記念すべき10年目を迎えました。
(スタッフ)おはようございます。
おはようございます。
ご無沙汰です。
どうですか?なんとかかたちにはなり始めてます。
ちょっといいですか?どうぞどうぞもちろん。
お邪魔にならないように。
いえいえ。
3か月ぶりに訪ねてみるとキッチンのレイアウトが様変わり。
結構変わりましたね。
そうですね。
すごいすごしやすくなったと思います。
まあ今日も朝全部…。
節目の年ということで新たなメニューにも取り組みます。
ボンジュールアラン。
ここはヴァランス郊外のトリュフ農園。
世界三大珍味のひとつ黒いダイヤとも呼ばれるトリュフ。
地中で生育しているものを犬がその優れた嗅覚で掘り当てます。
あっ!ブリュマルっていう品種…。
白胡椒みたいな香りでこのトリュフは結構火に強いというか。
コンソメで炊いたりとか煮込みに…。
これはすごい!そうこの特別なトリュフを新メニューに使おうというのです。
あっすごい!やっぱりトリュフなんかも新メニューの食材はトリュフだけではありません。
お願いしてあった大根ですね。
地元の農家に頼んで特別に育ててもらった日本風の大根はかつら剥きにしたあと茹でて氷水でしめます。
イメージとしては中の詰め物をうっすらと見せたいなって感じですね。
あとシャキッとした食感をですね出したいなと思って。
大根の上にトマト手長エビをのせ巻いていきます。
淡い色合いが美しいオードブル。
オレンジビネガーで味わえば口に爽やかな風味が広がります。
こちらはエスカルゴを使ったひと品。
エスカルゴと野菜の上にのるのはまん丸のコロッケです。
客席に出すのはもちろん初めて。
食卓に新鮮な驚きが広がります。
そしてあのトリュフ。
伊地知シェフはフォアグラを挟みパイ生地で包みました。
こんがりとした焼き色が食欲をそそるパイ包み焼き。
採りたてのトリュフとあってナイフを入れるとかぐわしい香りが立ちのぼります。
すべてに斬新なコース料理は伊地知シェフの10年目の決意の表れ。
(スタッフ)お疲れさまでした。
お疲れさまでした。
やっと終わりましたはい。
やっぱり鹿児島の田舎から出てきたいち外国人にやっぱりここまで喜んでいただけると本当に嬉しい。
心からホント嬉しいですよね。
(スタッフ)今後の目標というか目指すところは?やっぱりいち料理人としてまた目指すもの。
もっと大きなものを目指していけるように。
あと1つ…2つ3つなんで。
そんなことないですけど。
(笑い声)はい。
頑張れるように。
もっと頑張っていきたいと思います。
日本人の誇りを胸に本場フランスで勝負する料理人伊地知雅さんを応援します。
お疲れさまでした。
お疲れっす。
お疲れっした。
2014/02/15(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
Crossroad <伊地知雅>[字]
2005年に店をオープンさせ、わずか4年で一つ星を獲得したフランス料理界の新星・伊地知雅に密着。フランス・ローヌ地方の町で、さらに上を目指して挑戦し続ける姿を追う。
詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
フランス・ローヌ地方のヴァランスという町に、ひとりの日本人オーナーシェフがいる。フランス料理界の新星・伊地知雅。2005年に店をオープンさせると僅か4年でミシュラン一つ星を獲得した新進気鋭だ。フランス人シェフにはない繊細で華やかな料理が評判を呼び、口コミでリピーターが増えていったという。2009年に一つ星を獲得して以来まもなく5年。さらに上を目指して、フランスの田舎町で挑戦し続ける姿を追う。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなCrossroad(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
お知らせ
次週2/22(土)はソチオリンピック中継のため休止です。
次回の「Crossroad」は、3/1(土)夜10時30分から放送します。
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
情報/ワイドショー – グルメ・料理
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