夫婦同姓を定めた民法の規定が憲法違反にあたるかが争われた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。荒井勉裁判長は「規定は合憲」とする判断を示した。そのうえで東京、富山、京都の男女5人の国に対する計600万円の損害賠償請求を棄却。一審に続いて原告敗訴とした。

 高裁は「夫婦は夫か妻のどちらかの姓を名乗る」と定めた民法750条について「家族の一体感の醸成という立法目的には正当性が認められる」と指摘。「夫婦が同一の姓であることは、旧来、社会的に受け入れられており、現時点でも国民の支持を失っていない」として、憲法違反にはあたらないと判断した。

 原告は、結婚している30~70代の女性3人と40代の事実婚夫婦。750条を「どちらか一方の姓への変更を強制するものだ」とし、夫婦別姓を認めないのは「夫婦は同等の権利を有する」と定めた憲法24条や、個人の尊重をうたう憲法13条に反すると主張した。昨年5月の一審・東京地裁判決は「夫婦が別姓でいることは、憲法で保障された権利ではない」と指摘。請求を退けた。