向日町競輪場、いつ閉鎖? 両候補の未来図に注目
向日市の京都向日町競輪場が、先行き不透明な状況に置かれている。競輪ファンの減少による収入低迷を受け、運営する京都府は廃止方針を打ち出したが、閉鎖時期や跡地の活用策は未定だ。京都府知事選で論戦を繰り広げる両候補に展望を聞きたいと地元住民が願っている。
同競輪場は1950年、府財政を支える収益を得る目的で開業した。売上高は87年度に過去最高の403億円に達したが、競輪人気が下火になるにつれて低下。2009、10年度は赤字で、一般会計への収益繰り出しは00年度以降で1度のみだ。スタンド改修に20億円以上が見込まれることもあり、府は11年12月に「中長期的に存続は難しい」と廃止方針を打ち出した。
方針表明から2年がたつが、府は廃止時期を示していない。背景にはこの3年間の収支の好転がある。11年に大津びわこ競輪場(大津市)が廃止された影響で場外発売収入が伸び、11年度は7100万円、12年度は1400万円の黒字を確保した。本年度も黒字達成の見込みだ。
所管する府総務調整課は「車券の販売は全国でも減少傾向。先行きは厳しい」と将来的に廃止する姿勢を崩さないが、その時期となると「いずれは方向性を定めないといけない」と歯切れが悪い。
見通しが示されない中、競輪場関係者は廃止反対の声を強める。
日本競輪選手会京都支部の久米康徳副支部長は「京都には全国区の選手がいる。『とりあえず閉鎖しよう』との考えはしっくりこない」と語気を強める。
跡地活用の方向性も見えない。向日市の中心部約5万7千平方メートルを占める土地の利用を、府が検討する動きは鈍い。競輪場で働く約440人の雇用先の確保も課題だ。
地元の寺戸町連合自治会の中村尚夫会長は「廃止の賛否をいう立場にないが、もし閉鎖するなら環境に配慮して緑地を確保し、市民の健康につながる場所に」と注文する。60年以上にわたる競輪場の歴史にどんな未来図を描き込むのか、知事選の舌戦の行方に注目が集まる。
【 2014年03月24日 15時00分 】