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袴田さん釈放 再審決定は捜査機関批判
3月27日 19時09分

袴田さん釈放 再審決定は捜査機関批判

昭和41年に静岡県で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で死刑が確定し、27日再審=裁判のやり直しが認められた袴田巌さんが、逮捕から48年たって東京拘置所から釈放されました。
再審を認めた決定は、捜査機関が証拠をねつ造し、死刑の恐怖のもとに身柄を拘束した疑いがあると強く批判しました。

袴田巌さんは、昭和41年、今の静岡市清水区でみそ製造会社の専務の一家4人が殺害された事件で強盗殺人などの罪で死刑が確定し、無実を訴えて再審=裁判のやり直しを求めた結果、27日静岡地方裁判所で認められました。
裁判所は決定で元被告が事件を起こした時に着ていたとかつての死刑判決で認定された衣類について、捜査機関がねつ造した疑いがあると指摘しました。
再審請求の審理のなかで行ったDNA鑑定などをもとに、事件から1年以上たってみそタンクの中から見つかった衣類は、犯人のものでも袴田さんのものでもない可能性が強まったという判断でした。
さらに裁判所は、「元被告は死刑の恐怖のもとで極めて長い間、身柄を拘束された。これ以上勾留を続けることは耐えられないほど正義に反する」と指摘して死刑の執行と勾留を停止し、釈放を認める異例の決定をしました。
検察は再審を認めた決定を取り消すよう不服を申し立てる方針ですが、勾留を続ける法的な根拠がなくなったとして釈放の準備を進めていました。
これによって、裁判で無実を訴え続けながら死刑が確定した袴田さんは、昭和41年に逮捕されて以来、48年たって東京拘置所から釈放されました。
死刑囚の再審を認める決定は、9年前、平成17年の、いわゆる「名張毒ぶどう酒事件」以来、6件目で、裁判所が再審開始の決定を出した段階で死刑囚の勾留を停止し、釈放を認めたのは今回が初めてです。
これまでに死刑囚の再審が認められた5件のうち、名張事件はのちに決定が取り消されましたが、ほかの4件はその後、いずれも再審が開始され、無罪となっています。

袴田さんは釈放を実感

袴田巌さんの弁護団は、袴田さんが釈放されたあと、午後7時すぎから都内で記者会見しました。
拘置所の中で釈放に立ち会った弁護士は、「釈放の決定が出て、1階の応接室で待っていたところ、職員に連れられて40年ぶりにアクリル板ではなく生身の袴田さんと会うことができたので、皆で喜び合った。袴田さん自身は釈放については理解していたが、泣いて喜ぶという感じではなく淡々としている印象だった」と述べました。
また、釈放後に袴田さんと車の中で一緒だった弁護士は、「袴田さんは拘置所を出てからほとんどしゃべらずに外を見ていた。途中、駐車場で止まって外に出た時に、歩き出した袴田さんに向かって『釈放されたって分かるでしょ』と話しかけたら『ありがとう』と答えた。これを聞いて釈放されたことを実感しているのだと分かった」と述べました。
弁護団によりますと、袴田さんも姉の秀子さんも車に乗っていて、酔ってしまったということで、きょうは都内のホテルで休養し、あす以降、体調が整えば、静岡に戻り、今後については支援者などと相談して決めたいとしています。
弁護団は「信頼できるところで心と体のケアをしてもらいたい」と話しています。

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