ドキュメンタリー。iTunes Store にて字幕版レンタル。公開されたのは2008年。もちろん日本では劇場公開されていないが、町山智浩氏の著書『アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲』の中で紹介されているので、知っている人も多いのでは。
アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 (集英社文庫)
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/07/20
- メディア: 文庫
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原題は『Bigger, Stronger, Faster』。「もっとデカく、強く、速く」ということで、アメリカのことですね。で、副題が『THE SIDE EFFECTS OF BEING AMERICAN』。「アメリカ人になるための副作用」とでも。
「筋肉」に対してのアメリカ人の病的な信仰を描くことを通じ、「アメリカ人」であることというのは、かくもグロテスクでしんどく、副作用を伴うものである事をえぐりだしている。ビョーキ。
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AV男優。
液体バイアグラをペニスに直接注射して、勃起持続。
空軍パイロット
長時間や集中力を要する任務の際に、軍から支給される合法シャブを服用。
教師や生徒
論文執筆時や勉強の時に、気分をハイにして集中力を上げる薬を服用。学校の友達の間で「回す」とのこと。確かに終戦直後の日本の作家とかも、ヒロポン使ってたけど。
音楽家・演奏家
コンサートやオーディションでアガるのを防ぐ効果のある薬を服用。
インタビューを受けた人が一様に口にするのは「勝つために」「みんながヤってるから」。うーん……。
で、罪の意識もみんなゼロ。「薬のおかげで交通渋滞も気にならなくなったよ」って。
目的の達成と成功のためなら手段を選ばないアメリカらしいといえばアメリカらしいが。で、この連中の頭のネジがなにかのはずみでほんの少し緩むだけで、破局を迎えることにもなりかねないということを描いたのが、先日俺が観た『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』ですね。
日本を「生きづらい国」と評する論を目にすることがあるが、アメリカもまた違ったベクトルで、まことに生きづらい国のようで。