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【放送芸能】

聴き応え追求 音の職人 TOKYOFM技術部長 川島修さん

 クラシックや多彩な音楽の魅力をFMのいい音質で届けたい−。TOKYO FMの「音の職人」が聴き応えのある音を求め奮闘している。その成果は高く評価され、プロの音楽制作者や録音技術者らを対象とした賞にも輝いた。今月上旬、番組収録を兼ねたコンサート準備の現場を訪ね、こだわりの音をどのように集めるか見てきた。 (藤浪繁雄)

 東京・渋谷のNHKホール。通常はスタジオで録音される深夜の人気番組「JET STREAM」(月−金曜深夜零時)が、この日は約六十人編成のオーケストラのコンサートの模様を収録。TOKYO FMの川島修技術部長(46)は開演に先立ち、約四十本のマイクをステージのどこに立てるか、チェックに余念がない。形状やサイズによって感度が異なるマイクを、楽器の種類、その奏者の人数なども考慮しながら配置していった。

 ステージはロマンチックな映画音楽などを披露し、満員の客席を魅了。川島さんは録音の狙いを「ホールで聴く臨場感を放送でも出し、いつもの番組の雰囲気も伝えたい」と語る。コンサートの楽しみに加え、音楽とナレーションの余韻でじっくり伝える「夜間飛行」の番組コンセプトを編集段階で表現するのはハードルが高い作業だ。

 一九九〇年入社の川島さんは録音や編集など音をつくる技術畑を歩んできた。局のイベントでポップスやロック系のステージも多く担当したが、録音後、放送で流すために編集して構築した音は、音楽の分野によって異なるという。

 「特に大人数のジャズやクラシックはオブラートに包んだように届く音を目指すが、ロックは各楽器にしっかりマイクを置き、ガッツリ録(と)る」と違いを示す。一方で、クラシックでもベートーベンのような迫力ある曲はロックに近い方法で音を集めるなど、「クラシックは選択肢が多く難しい。それでも成功点が遠いところにあるのでやりがいがある」と意欲がみなぎる。

 そうした綿密な編集姿勢は注目を集め、昨年の「ジェットストリーム」コンサートの一部が、音楽制作者や放送局の録音技術者らを対象とした「第二十回日本プロ音楽録音賞」(日本オーディオ協会、日本レコード協会など主催)の一部門で優秀賞に輝いた。「裏方がスポットライトを浴びる賞でうれしい」と喜ぶ一方、「まだ一回も納得していない。それを追求していきたい」。FMを舞台にした快適な音づくりに終わりはないようだ。

     ◇

 川島さんが録音、編集した「ジェットストリーム2014ライブ・イン・コンサート」では、通常の番組でナレーションを務める「五代目機長」の大沢たかおもステージに登場し、語りを披露した。この模様は二十九日午後十時から、TOKYO FMはじめJFN三十八局で放送される。

 

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