新聞の読者離れと広告主離れが止まらない。多くの若い人にとって今や、新聞が無くても構わないのだろう。ニュースは、まとめサイトや、SNSで拡散しているニュースや、パーソナライズしたニュースアグリゲーターなどで閲覧しておけば、十分ということか。
ところがニュース産業として見ると、新聞はまだまだ圧倒的に強い。ネット先進国の米国でもそうだ。米国のニュース産業の総売上高は632億ドル程度であるが、そのうちの61%は新聞の売上高(386億ドル)が占めている。ウィークリー新聞も含めると、67%近くも占める。BuzzFeedやHuffington Postのような新興のデジタルニュースサイト(デジタルネイティブ)はネット住人にとって主流かもしれないが、これらの総売上高は年間10億ドルにも達せず、新聞売上高の約1/50に過ぎない。
米Pew Research Centerが編纂した「State of the News Media 2014」で示されていた、米国におけるニュースメディア別の年間売上高を以下に示す。
米国のニュース産業全体の売上高の内訳は次のようになっている。総売上の69%を広告売上が占めている。コンテンツ課金の販売売上は24%である。広告売上依存度が非常に高いのが、米国のニュース産業の特徴である。これまでニュースメディアは、広告単価を高く設定できていたのだ。
有料コンテンツの販売売上高でも、新聞は69%と圧倒している。新興デジタルネイティブは一般コンテンツの有料化が難しいだけに極めて少ない。
新聞の長期低落傾向が止まらないのだが、それなのに今も新聞メディアの売上高がニュースメディアの中で圧倒的なシェアを占めているのである。一方で伝統的な新聞メディアもデジタル化を加速化させている。でもデジタル化で先行しているNYタイムズでも全売上高(15億8000万ドル)の約75%をもプリント(新聞紙)事業から稼いでいる。新聞メディアの売上高の大半は、新聞紙事業から得ているのだ。つまり米国のニュース産業は、現実として未だに”紙”の新聞に頼っていることになる。
それに言うまでもないことだが、政治、経済、社会などに及ぼす新聞の影響力はニュースメディアの中でもダントツに大きい。それを支えるには新聞編集経費がかさむが、これまで新聞紙売上に支えられてきたのだ。問題は、その新聞紙売上が下げ止まらないことだが・・・。