1966年に静岡県で1家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定し、再審開始決定を受けて釈放された袴田巌さん(78)の姉ひで子さん(81)らが28日夜、後楽園ホール(東京都文京区)であったボクシングの大会で、「(逮捕からの)48年は長かったが、やっと巌と会えた。ありがとうございます」と観客にお礼を述べた。日本プロボクシング協会は、元プロボクサーの巌さんの無罪を信じ、支援してきた。

 ひで子さんは、現役世界王者の内山高志さん(34)や河野公平さん(33)らとリングに上がり、「巌は今、病院に検査入院しているが、大変元気」などと紹介。「再審が始まるまで頑張っていく。今後ともよろしくお願いします」と語った。約400人の観客から拍手が送られた。

 リングサイドには、巌さんが戻ってきた日の特別席として、通称「袴田シート」が昨年5月から設けられている。この日は、ひで子さんがシートに座って試合を観戦した。

 巌さんは日本フェザー級6位になったこともある。2006年に東日本ボクシング協会が「袴田巌再審支援委員会」を立ち上げ、試合の合間に支援を呼びかけるなどしてきた。