台湾の学生はなぜ立法院を占拠したの? 原因となった「サービス貿易協定」とは
THE PAGE 3月28日(金)12時0分配信
3月18日の夜、台湾の国会にあたる立法院の議場を、数百人もの学生たちが占拠しました。23日夜にはデモ隊が行政院(内閣に相当)にも突入。これは治安当局に強制排除されましたが、立法院の占拠はいまも続いています。台湾史上でも類を見ないデモ運動の原因となったのは、昨年6月に中国と台湾で調印された「サービス貿易協定」。この協定に反対の意を示す学生たちが、今回の行動を起こしたのです。なぜ学生たちは、ここまでの反発を見せたのでしょうか。
サービス貿易協定とは、中国が80分野、台湾が64分野の市場を解放しようというものです。昨年の調印を経て、3月17日より台湾国内での最終的な同意を得る審議が立法院で行われていました。しかし、この協定は「台湾にとって不利益な条約」と見る向きが強く、最大野党の民主進歩党を中心に反発の動きが出ていました。
台湾の与党である中国国民党は、野党の意見には応じず、「時間切れ」として審議を一方的に打ち切り。十分に話し合うことなく、強引に協定の同意を進めようとしました。これに学生が抗議し、一連の“占拠事件”へと至ったのです。
サービス貿易協定が台湾にとって不利益と考えられる理由はいくつかありますが、その最たるものの一つに「中小企業への打撃」があります。市場が開放されれば、中国企業や労働者が大量に流入してくると考えられます。巨大な資本を持つ中国企業が参入すると、台湾の既存企業、特に中小企業は厳しい状況に置かれ、また賃金の安い中国人労働者が増えれば、台湾の人々の労働環境はマイナスの影響を受けかねません。
台湾の中小企業が淘汰され、賃金の安い中国人労働者が入ってくれば、学生たちの就職先が少なくなる可能性が高まります。その危機意識が要因となって、これほどの大きな運動が生まれたのでしょう。
さらに中国と台湾は、統一するか否かで対立してきた関係。もし協定が同意され、中国企業の進出が著しくなれば、中国の望む統一が近づくことも考えられます。さらに、今回の協定では出版・印刷の市場も解放されるため、中国の出版業が一挙に台湾へ進出すると不安視する声があります。
最終更新:3月29日(土)7時29分
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