台湾:「民主主義救う行動だ」立法院占拠の学生指導者
毎日新聞 2014年03月29日 08時00分(最終更新 03月29日 08時00分)
【台北・鈴木玲子】台湾が中国と昨年調印した「サービス貿易協定」の承認に反対する学生が立法院(国会)議場を占拠し続けている問題で、学生指導者の林飛帆さん(25)=台湾大学院生=が27日、毎日新聞のインタビューに答え、「台湾の民主主義を救うためだ」と、抗議運動の拡大と議場の無期限占拠を含めた徹底抗戦を訴えた。
協定は立法院委員会で審議されていたが、17日に与党・国民党が審議を打ち切り、本会議で強行採決に持ち込もうとした。これに反発した学生らは18日に議場を占拠。馬英九政権は議場からの退去を呼びかけるが、学生は協定撤回をしない政権の対応は「不誠実だ」と反発を強める。
林さんは「(審議打ち切りにより)代議政治制度はもはや正常機能を失ったので議場を奪還した。民主主義を破壊するのではなく、救うためだ」と述べ、国会にあたる立法院を占拠するのは民主主義の原則に反するとの批判に反論。30日には総統府前でも抗議集会を実行すると宣言した。
就職難や住宅価格高騰が原因で、台湾の若者の生活は苦しい。馬政権下で中台経済交流が活発化する中、学生らには、中国資本の進出により台湾の弱小企業が打撃を受け就職機会が奪われ、将来的に中国にのみ込まれる、との懸念もある。一部メディアは、政権が協定発効を急ぐのは馬総統が中国の習近平国家主席との会談を実現したいため、と報じる。
林さんは「中台の経済交流自体には反対していない」とした上で「協定調印前に内容を確認する機能がない。ブラックボックスの中で調印されたのが問題」と主張。内容を確認する機能を法制化し、その後で協定を再審議すべきだと訴える。一方、政権は「就業機会も増え、台湾への経済効果は大きい」と説明。調印前も立法院や各種業界に対し説明会を開いており「ブラックボックスではない」と強調する。