大阪市は27日、JR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた」の2期地区の開発で民間の20事業者を優秀提案者に選んだ。市は20者と協議しながら今秋にもまちづくりの方針をまとめ、2次募集を経て事業者を最終決定する。2022年度末をメドとするまちびらきに向けて「関西最後の一等地」の開発が動き出すが、大規模な緑地確保という基本方針とのバランスも問われる。
昨年12月に国内23社・団体と海外企業を含む17社・団体から開発提案を受け、建築家の安藤忠雄氏ら専門家6人でつくる審査会が「総合的に優秀な提案」に10者(国内のみ)、「プランニングやデザイン等が優秀な提案」に10者(うち4者が欧米の設計事務所などを含む)を選んだ。事業者が半分に絞られた。
約24ヘクタールのうめきた地区の東側では昨年4月に大型複合施設「グランフロント大阪」が先行開業。2期はその西側の約16ヘクタールを再開発する。グランフロントも2段階で事業者を選んだが、2期地区の今回の事業者募集は「みどり」を軸とした開発に向けて、広く意見を募る狙いも大きい。
総合提案には都市機能としてオフィスや商業施設のほか、コンベンションや大学、住宅、スポーツ施設、ホテル、病院などが盛り込まれた。デザインで優秀とされた提案の1つにはカジノが含まれているが、「カジノというより全体のデザインが評価された」(市都市計画局)という。
いずれの提案も大規模緑地を生かし様々な施設を配置したプランを示した。橋下徹市長は同日の記者会見で「(20者の提案は)街のど真ん中に大胆にみどりを取り入れており、素晴らしい」と評価した。
まちづくりの方針を基に14年度末にも都市計画を決定。22年度末をメドとしていたまちびらきに関しても前倒しを含めて検討する。20者のみを対象とした2次募集を15年度にも実施し、最終的な開発事業者を決める。
焦点は事業採算性にも関わりが大きい公園などの緑地をどの程度確保するかだ。部分的な開発を容認する関西経済連合会と、地上の全面緑化を主張してきた関西経済同友会で意見は対立する。関経連は府市と歩調を合わせて開発容認に転じたが、同友会は現在も大規模緑化を求める姿勢を崩していない。
2期工事では今回提案募集した民間開発のほかに大阪市などが担う基盤整備がある。JR東海道線支線を地下化し22年度末の開業を目指す。事業費は区画整備に262億円、支線地下化に540億円、新駅設置に150億円が見込まれる。
安藤忠雄、グランフロント大阪、橋下徹、うめきた