特定秘密保護法:監視機能強化が焦点 与野党案固まる
毎日新聞 2014年03月28日 21時09分(最終更新 03月28日 22時32分)
特定秘密保護法に基づく政府の秘密指定を監視する国会の新たな機関をめぐり、与野党の案が固まってきた。秘密指定の適否を判断しない自民党案に対し、公明党と日本維新の会は改善・是正を政府に求める権限を付与する案をまとめた。各党は12月の法施行を念頭に合意を急ぐが、国会の監視機能に不信を招けば、世論の批判の再燃は避けられない。【小山由宇、阿部亮介】
自民案によると、新機関が政府から秘密の提供を受けるのは、国会の常任・特別委員会から要請があった時だけ。政府の恣意(しい)的な秘密指定があっても関知しない仕組みとあって「国会のチェック」とは程遠い。
公明、維新案はそれぞれ新機関が常時活動し、必要に応じて政府に秘密の内容を見せるよう要求・検証できる。秘密指定に問題があった場合、新機関は問題を解消するよう政府に求める権限がある。
公明党関係者は「特定秘密の指定・解除の監視は、昨秋の与党と維新、みんなの4党合意だ」と強調。今後の各党協議は、監視機能をどこまで高められるかが最大の焦点だ。
一方、先の臨時国会で特定秘密保護法に反対した民主党は28日の会合で、国会議員による監視は物理的に限界があるとして、▽内閣府に秘密保護の運用をチェックする独立性の高い第三者機関の「情報適正管理委員会」を設置▽国の安全保障に関わる特定秘密を国会に提供できるかは、正副議長が秘密を閲覧して議長が判断する−−との見解をまとめた。同党の海江田万里代表は自民案に対し「行政に国会が従属する内容だ」と批判した。
維新も、秘密指定の適否を検証する「情報保全監察委員会」を内閣府に新設する法案の提出を検討している。