今年で10年目を迎える「日本橋ストリートフェスタ」。
アニメキャラクターのコスプレをした人や、ご当地キャラクターが恵美須町から日本橋までを練り歩きます。
1年目の参加者は13万人でしたが、去年は23万人となり日本橋を代表するイベントに成長しました。
<参加者の男性>
「某『ゲゲゲの』方です(笑)。(衣装代は)トータル2〜3万円ぐらいですかね」
<参加者の男性>
「近所の段ボール拾ってきて、作るのと乾かすので2日ぐらいです」
<参加者の男性>
「前回、すごい写真撮られて気持ち良かったので、今回もそれを狙って」
<参加者の職場仲間たち>
「職場の仲間です」
<記者>
「後ろのとりまきも?」
<参加者の職場仲間たち>
「そうです」
<参加者の女性>
「お兄さん(記者)もぜひ。サラリーマンの恰好している場合じゃないですよ。『進撃の巨人』とか似合いそう」
かつては、家電や電子部品を扱う電器店が軒を連ねた日本橋。
関東資本の大型家電量販店の進出などによって、「ニノミヤ」など多くの電器店が閉店しました。
去年は、「来た、見た、買うた」のCMで知られる、「喜多商店」が80年以上の歴史に幕を下ろしました。
代わりに増えたのが、アニメグッズやゲームなどを扱う店や女性がメイドの格好をした喫茶店など、「ポップカルチャー」と呼ばれるもの。
その中で今、特に盛り上がりを見せているのがライブです。
たとえばここ…
メイド喫茶で、客が曲をリクエストできます。
そして歌い始めたメイド姿の店員。
客席は、というと…
飲食店にもかかわらず、歌に合わせて全力でダンス。
さらに!
<客の掛け声>
「ファイヤー!…」
<客>
「日頃のストレスが、一気にとぶ感じです!最高です!」
<客>
「浪人ですね、すみません。アイドルを応援する活動を自粛するタイミングを見失ってしまって」
今や日本を代表するアイドルグループ「AKB48」がライブ中心の活動で成功して以来、日本橋にもアイドル文化が浸透。
自分たちが好きなメイドやアイドルを応援できる場所が人気なのです。
日本橋のライブハウス「J.Bridge」。
メイドやアイドルがライブを開き、大勢のファンが乱舞します。
しかしこの場所は、かつてジャズやブルースのライブハウスとしてスタートしました。
<J.Bridge 中島滋美さん>
「正直、オタクという言葉に、最初は違う世界の方かなと思ったんですけど、今では私はオタ芸もできますし、アニソン(アニメソング)も歌えますし、若い子からたくさんパワーをいただいてます」
このライブハウスでとりわけ大勢のファンを集める女性が…
「単体戦隊☆恋(レン)レンジャー」。
2005年に製造された、オタクのアンドロイド、汎用ネコ型美少女戦士という設定で、年齢は非公開。
<単体戦隊☆恋レンジャー>
「こういう場所があるからこそ、活動するところもあるということで、こういう会場があることはとても助かっています」
看護師をしながら個人でCDやDVDを出すなどしてきましたが、ライブハウスが増え、今ではアイドル活動だけで生活できるようになりました。
去年12月には、自らバーをオープンしました。
<バーの客>
「癒されに来るって感じですね」
<バーの客>
「身近に感じられるところもあるし、身近すぎるんである程度、僕らのほうで線を引いとかないといけないかなというところもあるんですけど」
日本橋の情報誌を製作している楠瀬 航さんは、アイドル稼業で生活の出来る人が確実に増えていると話します。
<デシリットル・ファクトリー 楠瀬 航社長>
「すそ野が広がってきて、ある程度小さい形でも一定のビジネスになる土壌ができてきた」
一方、40年以上、日本橋で会社を経営してきた蘇 建源さん。
メイド喫茶の感想を聞くと…
<共立電子産業 蘇 建源会長>
「えらいこっちゃなぁと思った。『ご主人様いらっしゃいませ』と、ひざまずいてこんなんするねんで。いまでも納得してないけどね、それは。そんなひざまずかれて、どうのこうの言うの趣味とちゃうわ」
かつてはラジオやテレビの修理などをしていましたが、電子部品など専門的な分野に特化することで生き残りをはかりました。
最初はなじみがなく、抵抗を感じていた「ポップカルチャー」。
しかし商売人としては、悪いことばかりではないと言います。
<共立電子産業 蘇 建源会長>
「にぎやかでないと自分ら飯食われへんしね。こんなん言うたら皮肉に聞こえるかもしれへんけども、街をにぎやかにするために『ポップカルチャー』の人たちに頑張ってもらう」
それでも、商売人の意地はあります。
<共立電子産業 蘇 建源会長>
「電器屋の火は消したくないねんね。日本橋は『電器の街』や、『でんでんタウン』や、というのがなくなると、うちらは商売できなくなるからね」
今や日本橋に欠かせなくなった「ポップカルチャー」。
きょうの「ストリートフェスタ」には、約24万人が参加しました。
運営側は、このイベントをきっかけに、日本橋に足を運んでもらえたらと話します。
<日本橋ストリートフェスタ実行委員会 澤田沢治委員>
「どういう業種が栄えるかわからないけど、最先端の趣味の街というのをテーマに、もっとエリアが広がり、たくさんのお客さんが来るのを、我々としては希望しているわけです」
電器街から「ポップカルチャー」の街に。
変化を続ける商売の街に、かつての賑わいが戻りつつあります。
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