外信は先週、第2次大戦が終わって70年が過ぎたにもかかわらず、かつてユダヤ人収容所で警備隊員をしていた94歳のドイツ人を逮捕し、法廷に立たせたドイツ当局の記事を伝えた。慰安婦の存在自体を否定する日本の厚かましさを際立たせる事件だが、この一件が韓国人に伝えるメッセージもある。ユダヤ民族は今でも、ユダヤ人に対し残酷な犯罪を行ったナチス・ドイツの戦犯を地球の果てまで追跡し、法廷に立たせてきた。だからドイツは、そんなユダヤ人の粘り強い断罪の儀式に、自ら呼応しているのかもしれない。
韓国人は、植民地時代や戦中に韓民族に対して行われた残酷な犯罪を、最後まで追跡・断罪したことがない。かつて日本の強圧に耐えられず、あるいは詐欺的な手法に遭って「親日的」言動や行動を取った韓国の人物を探し出し、ののしったり葬り去ったりすることには熱心だが、当の日本の行為者を追跡し、探し出し、証拠を突き付けて法廷に立たせることには何の関心も示さなかった。日本側は、そんな韓国を「大したことのない民族」として見くびってきたのだ。現在日本が今更のように歴史を否定し、韓国人を侮辱しているのも、振り返ってみれば韓国人が「自分のニワトリをつかまえる」ことにはたけていても、日本人を驚かせるような「事件」を何一つ起こせなかったからだろう。
和田春樹名誉教授の勇気ある発言、ハム・イクピョン医師の降板、そして94歳の元収容所警備隊員逮捕。先週起こった、韓国人の自尊心や存在感を揺るがすこの三つの出来事は、韓国をあらためてみすぼらしい存在にしている。