3月23日、浦和レッズ対清水エスパルスの一戦は、Jリーグ史上初となる「無観客試合」として開催されました。埼玉スタジアム2002(6万3700人収容)の客席は空っぽで、周辺での応援も禁止。観戦の機会を奪われたサポーターたち、異様な静けさの中で戦わざるをえなかった選手たち、双方にとってつらい経験となったことは言うまでもありません。
経済的な視点で考えると、今回の無観客試合はクラブ(主催者である浦和レッズ)の財政にとっても極めて大きな打撃でした。「スポーツのお値段」第6回では、その詳細を分析・評価していきたいと思います。種々のデータについては、Jリーグクラブの経営経験者に助言を求めました。
本来手にできるはずだった収益は、約1億円。
浦和は、本来手にできるはずだった収益を、無観客となったことでごっそりその機会ごと失いました。これが第1のインパクトです。
まずはチケット収入。この試合の前売りチケットの売れ行きは、浦和の発表によると約2万6000枚。これに当日券の仮想売上を加える必要があります。当日券の販売枚数は平均的なJ1クラブで500枚前後。浦和ホームゲームの平均入場者数はJ1平均の約2倍(2012年度)ながら、売上ベースで見ると約3倍(同)です。これは、無料招待チケットなどの割合が低く、きちんとチケット代を支払って観戦する(スタジアム観戦に対する消費意欲が高い)サポーターが多いことを意味しています。
こうした傾向をもとに、この試合で売れたであろう当日券は平均的なJ1クラブの3倍にあたる1500枚と想定。平均単価を3000円とすると、前売り・当日券の売上として入ってくるはずだった金額は、3000円×(2万6000枚+1500枚)=8250万円となります。
さらにスタジアム内で販売される飲食ならびにグッズの売上(1試合分)は、それぞれ1200万円、600万円と試算しました。これらも平均的なJ1クラブの3倍として算出しています。
ここまでの数字を合算した約1億円(8250万円+1200万円+600万円)が、第1のインパクト「稼げるはずだったのに稼げなかった」金額ということになります。
<次ページへ続く>
関連アスリート・チーム
スポーツのお値段 バックナンバー
- スーパーボウル1試合でCM300億円!? 放映権料で考えるスポーツの「価値」。 2014年2月26日
- 「3年契約×10億円でドジャース移籍」 マー君獲得の商業的正解はこれだ! 2014年1月16日
- 縮小均衡ではなく、拡大均衡を! ヴィッセル・J最年少社長の野望。 2014年1月7日
Jリーグ ニュース
J1川崎が1―0で名古屋破る 大久保が決勝点
2014年3月28日(金)22時11分 - 共同通信
J1第5節第1日は28日、川崎市等々力陸上競技場で1試合が行われ、川崎が名古屋に1―0で勝ち、2勝1分け2敗で勝ち点を7とした。名古屋は連勝が3でストップし、同9。川崎は後半、昨季J1得点王の大久保…記事全文
Jリーグ コラム
-
[Jをめぐる冒険]
「2020年の昇格」と「ベテラン補強」。FC岐阜がラモスと進める“長期計画”。 -
[Jリーグ特報]
青い空、5機のヘリ、殺風景な埼スタ。観客のいないスタジアムで考えたこと。 -
[言わせろ!ナンバー]
浦和レッズへの「無観客試合」という制裁は妥当?