平成26年(ワ)2189号ドンキのAKSを訴えた訴状を読んだ内容について,実態と,そこからいろいろ考えたこと,裁判の見通しに関する個人的見解などを。
[速報]高橋みなみらを擁するAKB48の運営会社らをドン・キホーテが提訴 2014年03月21日 14:38 JST
http://www.sakurafinancialnews.com/news/7532/20140321_10
コレについて,早速訴状を読んできました。
まず思ったのが,ドンキ側の弁護士6人もいる!
その中で,唐澤という苗字が見えたので,ウワサの唐澤貴洋弁護士に頼んだのか!?と思ったのですが,早とちりでした。
この件を担当されているのは,岩田合同法律事務所さんでした。
http://www.iwatagodo.com/
ここのアソシエイトに,唐澤新という弁護士がおられます。この方が窓口担当,
そして筆頭の弁護士は本村健弁護士で,以下唐澤弁護士を含む6名で弁護をされています。
なお次回の口頭弁論は,5/12(月) 13:30~ 東京地裁610号法廷です。
被告側は,AKSは,遠和総合法律事務所
http://towa-law.com/index.html
の,遠藤和宏弁護士と,松川邦之弁護士です。
ワタシの訴訟もこの2人が担当するのでしょうか?
京楽のほうは,熊谷綜合法律事務所
http://www.hou-nattoku.com/lawyers/lo_detail.php?lo_id=6572
の石島正道弁護士です。
熊谷綜合法律事務所って,インターネットサイトも持っておらず,所属弁護士についてもあまり書いてないので,熊谷信太郎さんについて調べてみました。
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熊谷信太郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E5%A4%AA%E9%83%8E
来歴・人物
長野県松本深志高等学校を卒業。早稲田大学法学部を卒業。早稲田大学大学院法学研究科に進み民法を専攻する(指導教授は鎌田薫)。大学院在学中に司法試験に合格した。資格試験予備校「早稲田セミナー」司法試験対策講座の公式テキストである、「デバイス」シリーズの編集に初版から関わった。金融法学会、経営法曹会議会員。
担当事件
武富士が『週刊金曜日』を名誉毀損で訴えた事件 - 武富士の代理人
週刊金曜日の名誉毀損反訴で武富士の敗訴
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著書が多くて著名な方のようですが,武富士側の弁護をされたとのことで,ソッチ方面に強い可能性も想定されますね。
訴額の50億160万円というのは,京楽が売ったパチンコ台の定価x台数のうちの,10%が取り分とし,それに10%の弁護士依頼料を勘案すると,116億8,640万円が損害と主張するが,主張の全額ではなく50億を本来取れるお金として提訴したものです。
ちなみに160万円の端数は,名誉毀損などで訴えるときに,心理的な損害賠償額がいくらかなんて算定できないから,便宜的に160万円とするものをプラスしたものです。
それに対して印紙代も膨大なものとなり,1,103万円もありました。
(ワタシの3万6千円しかも訴訟救助つきとは大違いです。)
ちなみに,この訴額の算出根拠として,ドンキ側はパチンコ台の売れた台数を出しているのですが,その出典証拠とやらが,個人ブログ
団塊おやじのパチンコ日記
http://dankaipachi.cocolog-nifty.com/
であったり,どうも2chのまとめブログらしきものであるのは,相当お粗末だと思います。
証拠説明書の作成者欄にも,堂々と”不明”と書いてあるのです。
ドンキ側の弁護士,6人もおるんやからさあ,1次資料を用意しろよなあ。
てかこの岩田合同法律事務所ってのがテキトーな仕事しかしてないんか?
ワタシがドンキの担当者ならば,弁護士に対して,1次資料を探し出せ!と一喝するところです。
もちろん,後でより精度の高い資料に差し替えてもいいのでしょうが,仮にこのブログが桁をひとつ間違えていたら赤っ恥ですよ。
そんなものを根拠に訴額を決めたのか,ってのは,やはりドンキ側に落ち度があると思います。
さて,ドンキは,AKSとは契約を結んでいるが,京楽とは契約を結んでいない。にもかかわらず京楽を訴えるのはおかしい!
という主張が2chにもたくさんありましたが,そのカラクリは,AKSの株を京楽が買い取り,AKSに京楽関係者が取締役として加わることにより,AKSの運営に多大に影響を与えており,実質的にAKSは京楽の子会社のような存在になっている。
このために,AKSがドンキと取り交わした契約については京楽も守らねばならない,という主張に読めました。
ドンキはさらに,H17年のAKB設立当初から関わり,親身になってAKBを応援してきたこと,その上でH21年12月に至り,AKSから資金提供依頼を受け,同月28日に包括契約を締結したことを主張していました。
この契約が,今回の問題の最大の争点です。
然るに,当該契約は第三者に漏れると問題が多いとして,閲覧制限により不開示になっていました。
このため,どのような包括契約が締結されているのか,ワタシには分かりません。想像するしかありません。
ただ,ドンキが浪花節的な言い回しをするのは,言い分が弱いから言っているように,ワタシには読み取れました。
もちろん,AKBの設立に協力したドンキの姿勢は立派ではあり,それは認めます。
しかし,例えば30年前にFAXの開発にドンキが協力して,AKSが大手になったとしましょう。
商品はFAXだけと思って,両社包括契約しました。
しかし時代は変わり,パソコンやスマホで電子メール,twitter,さらにはLINEなどでやりとりするのが当たり前になりました。
そこで,AKSが京楽によりM&Aされて,FAXよりもパソコンとか,通信回線にチカラを入れ始めたのです。
そのAKSに向かって,
「FAXの開発に関わったのはウチである。包括契約したのだから,パソコンも通信回線も,ウチにもライセンス料を支払え!」
と言っているのが,今回の訴訟のように読み取れてしまいます。
そう考えると,その包括契約って,本当に有効かビミョーと思ってしまいます。
いやもちろん,いくら包括契約ったって,期限があります。
H21年12月28日に締結した!とドンキが主張しているのも,それだけ最近のことであることを主張したいのだと思います。
しかし,最近のことといってももう4年以上前の話ですし,4年以上前の契約が未だに変更もされず生きているというのもおかしい気がします。
たとえばワタシの賃貸住宅だって2年契約なんですから。
だから,ドンキ及びAKSの事業内容が変わるごとに,契約内容を修正しているのが基本と思うのですが・・・・。
事業内容が変わるごとに修正すべきであった包括契約内容を,ドンキ側がAKS側に対して何回も修正依頼をしたにもかかわらず,AKSは無視し続けた。
・・・とかいう証拠があれば,常識的・慣例的には認められずとも,AKS側が契約の変更を明示的に拒否したことが明らかとなり,現行の包括契約が実態に即して変わっていない原因はAKS側にあるのであるから,文面通りに有効,ドンキ側に言い分がある,とは言えると思います。
”浪花節的”とも思えるエピソードをもうひとつ書くと,ドンキは,2010年,平成22年ごろからAKBが有名になったと,CM数などの証拠も出しています。
・・・が,それがドンキ側の助力によるものと,裁判所側から因果関係が認められるかはどうでしょうか。
ワタシはそこまでは難しいと思います。
AKBが有名になったこととドンキの貢献については,もう少し具体的な説明がないと,AKSによる自助努力や,むしろ京楽が関わったことによる可能性が大きい可能性が否定できないと思います。
さて最後に,コレも問題となる部分を引用します。
これだけ自分の見解を記載しているのだから,訴状の内容ををいくらか記載しても,”引用”として認められると思います。
訴状P23~24より
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6 被告京楽の対応と本件第2弾遊技機の市場への販売予定
平成25年7月ころ,原告の安田氏が被告京楽の代表取締役である榎本氏から会食の誘いを受け,平成25年8月29日,安田氏,大原氏,榎本氏及び被告京楽の社長室付渡邊崇氏(以下「渡邊氏」という。)の4名による会食の席が設けられた。その会食の席において,榎本氏及び渡邊氏に対して,本件第1弾遊技機の販売行為が原告の本件独占処分権を侵害している旨を指摘したところ,榎本氏は侵害の事実を認識したうえで,穏便に解決したい旨を述べた。
もっとも,その後被告京楽からは一向に回答がなされることがなく,両社間では数度の書面による遣り取りがあったものの,榎本氏の上記発言内容とは大きく異なり,前述のとおり,本件第2弾遊技機も,一般社団法人保安通信協会による型式試験を終了し,今にも販売しようとするという状況に至ったものである。
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コレ,
”榎本氏及び渡邊氏に対して,本件第1弾遊技機の販売行為が原告の本件独占処分権を侵害している旨を指摘したところ,榎本氏は侵害の事実を認識したうえで,穏便に解決したい旨を述べた。”
について,書証などは特にありませんでした。
ドンキ側は,これからの弁論において,実はICレコーダーで隠し録りしていた内容が存在し,それを公開でもしない限り,非常に弱いように思えます。
というのも,AKS,京楽らは,
”両社間では数度の書面による遣り取りがあったものの,榎本氏の上記発言内容とは大きく異なり”
という内容を書証として提出し,
「確かにドンキの言うような”数度の書面による遣り取り”があったのは事実であるが,それが全てであり,会食のときにそのような発言はしていない。」
と言い切れば終わりです。
そうすると,ドンキが,平成25年8月29日の会食の内容を,実はICレコーダーで隠し録りしているなどして証明できるかどうかが,ひとつの大きな争点になりそうですね。
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