英語ブログを公認したFC岐阜
ディエゴ・フォルラン、ワールドカップイヤー、海外へ向かう日本人選手の増加。今年日本のサッカーへの関心が高まっている背景にある3つの理由だ。そこで、Jリーグの各クラブと、Jリーグそのものをアピールする助けとなるためにできることは何があるだろうか?私が地元のクラブであるFC岐阜と接触し、クラブを英語でプロモーションするために何か協力が必要か(あるいは協力を望んでいるか)と尋ねたとき、クラブは非常に快く受け入れてくれた。クラブは私にチケット購入法やアクセス情報、選手情報などを英語で提供することを依頼してくれた。
クラブは今年、特別な冬を過ごした。監督としてラモス瑠偉、選手としてベテランスター選手の川口能活や三都主アレサンドロを迎え入れたことで、FC岐阜への関心はかつてないほどに高まった。すでに過去最高レベルに達していたメディア報道に加えて、いかなる宣伝法の追加も歓迎したい状況だったということだ。
私が1年間書き続けていたブログ「We are Gifu」をクラブ公式サイトからのリンクに加えてもらうのはどうかと尋ねると、クラブの広報担当者と30秒のミーティングを行っただけで合意が得られた。多くのブロガーがそうであるように私も報酬は求めていないが、FC岐阜の日常を捉えることができるよう、彼らは私にクラブとの接触や試合日のスタジアム入場の便宜を図ってくれることになった。クラブにとっても私自身にとってもwin-winの状況ということになる。
だが、どのクラブもFC岐阜と同じような状況にあるわけではない。リーグはどのようにして、他クラブのプロモーションを積極的に促進することができるだろうか? Jリーグの試合を観戦に訪れる日本人以外のファンがごく少数であることもあって、各クラブは独自の対応を委ねられている。Jリーグがリーグ自身をより広範な層にアピールしたいのであれば、まずはどの部分に注力するべきかの優先順位を定めなければならない。では、それはどこだろうか。
東南アジア
タイ、インドネシア、ベトナムは以前からプレミアリーグの人気が高い地域だったが、Jリーグも最初の一歩を踏み出し、これらの国々のサッカーファンの意識内における存在感を高めようとしている。
昨年のベトナムでは、自国のスーパースターであるレ・コン・ビンがJ2コンサドーレ札幌でプレーする姿を見るため多くのファンがテレビの前に集った。
インドネシアのスーパースター、イルファン・バフディムがこの冬にヴァンフォーレ甲府に加入したことも刺激となった。Jリーグは公式放送パートナーであるスカパーとともに、インドネシアで日本を専門に扱う新チャンネルを立ち上げ、Jリーグの試合もその放送予定に含まれている。
レ・コン・ビンやイルファンの獲得は、戦力面以上に収入増加を意図した話題先行の補強だと冷ややかな目で見る者もいるだろう。だがクラブはこれらの補強を精査し、その金銭的見返りがピッチの内外両面においてクラブをより強化する助けになると結論づけた上で実行に移したはずだ。
ソーシャルメディアの有効活用
まるでサッカーに関わるあらゆる人々がツイッター上に存在しているかのような状況だが、いくつかのJリーグクラブはいまだ後れを取っている。以前のコラムでもダン・オロウィッツ氏がセレッソ大阪の状況について指摘(コラム:ディエゴ・フォルランはJリーグを救えるか?)していたが、もう一度繰り返しておくべき話題だ。
日本で試合が行われる日には、ツイッター上でほぼいつもJリーグ関連の話題がトレンドとなる。広範なファン層が積極的にソーシャルネットワークサービスを利用している証拠だ。クラブにとっては、日本国内外のサポーターとつながりを持つことで、認知度を高めるチャンスだと想像してみればいい。
だが、単にニュースを伝えるだけのツイッターアカウントを持つだけでは不十分だ。いくら多くの言語で書かれても同じことだ。書籍の編集者ならいつも言っていることだが、やはり鍵となるのはその内容である。モンテディオ山形とギラヴァンツ北九州は、ともにJ2の中でも決して資金が潤沢ではないクラブだが、それぞれのツイッターアカウントを通してフォロワーたちにいつも独特の舞台裏紹介を行っている。英語でのツイートではないとしても、優れたコンテンツが十分に関心を引くことに変わりはない。
英語での情報提供
良くも悪くも、英語は現在も世界の「共通言語」であり、日本語話者以外の大多数に自分たちの活動について情報を伝えるためにはもっとも容易な手段だ。
私のクラブであるFC岐阜は、英語での情報提供のための外部窓口を持つという考え方を採り入れた。日本の他クラブでも、最近であればヴィッセル神戸やヴァンフォーレ甲府がそうだが、公式サイトに英語コンテンツを追加し始めたクラブもある。多くのクラブが後に続いてくれることを願いたい。選手のブログやYouTubeチャンネルなどその他のツールも、国際的なプロモーションの促進を助けるために利用することができるかもしれない。
率先してプロモーション促進を
日本にはすでに情報と知識に優れた英語話者のジャーナリストたちが相当数存在しており、Jリーグに関心を持つ外国人たちに情報やリソースを提供する素晴らしい仕事を行っている。Jリーグのフェイスブックページを少し覗いてみるだけでも、非常に多国籍なファンが積極的に日本のサッカーを追っていることがよく分かる。
一つのアイディアとしては、リーグは日本国内の英語メディアと協力することで、海外プレス向けの記事や特集を展開することができるかもしれない。もう一つ、リーグの直接的なプロモーションを拡大する手段としては、外国プレスに各クラブを訪問するよう招待するのも有効だろう。その国出身の選手がいるクラブであればなおさらだ。
結局のところ、一つの単純な正解があるわけではない。こういったアイディアの複合こそが、Jリーグが海外のファンに向けてコンスタントにアピールし続けるために最善の手段だろう。そしてもちろん、2014年ワールドカップで日本代表が良い戦いをすることこそが最高の広告だ。
文/スチュワート・スミス
FC岐阜公認英語ブログ「We are Gifu(wearegifu.wordpress.com)」を執筆するライター。ツイッターアドレスは@sushi_football