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28 Mar 2014 14:04

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(朝鮮日報日本語版) 【コラム】韓国をみすぼらしい存在にした三つの出来事

朝鮮日報日本語版 3月27日(木)11時27分配信

 先週、日本を代表する歴史学者の和田春樹・東京大学名誉教授は、あるインタビューで「従軍慰安婦問題の本質は、慰安所の中で(女性が)本人の意志に反して強いられたというところにある」として、軍や官が慰安婦を強制連行した根拠はないとする右翼の主張は本質から目を背けたものと、語った。これまでも、韓国併合条約そのものが無効と幾度も語ってきた和田名誉教授は、窮地に陥った安倍首相が一歩後退して表明した「河野談話の継承」も、韓国の大統領の前で直接語ってこそ意味があると主張している。

 日本には、国全体が嫌韓に流れても「独島(日本名:竹島)は韓国領」と語る学者がいる。「竹島の日」に反対する団体もある。安重根(アン・ジュングン)を「テロリスト」と見なす雰囲気の中でも、安重根を世界的な「義挙の人」として追悼・尊敬する日本人はかなりいる。政治的にデリケートで自らの政治生命を断ちかねない、靖国神社参拝問題や慰安婦問題をめぐっても、勇敢に意見を表明する政治家がいる。

 こうした人々の発言や態度に接して感じるのは、韓国の知識人の誰かが、あるいは政治家の誰かが、例えば「韓国はいつまで過去史に埋もれていなければならないのか」「慰安婦問題はもうこれくらいにしよう」とメディアで公に主張したら、その人物は果たして韓国で生きていけるだろうか−ということだ。おそらく、メディアや世論の袋だたきに遭って、韓国社会では葬り去られてしまうだろう。

 5000年もの長い歴史を通して、他国を侵犯したことも、他の民族を虐待したこともない韓国人は、謝罪したり過ちを正したりしたことがない。しかし韓国人は果たして、そうした問題に道理と分別、歴史意識と民族意識、真実と原則をもって臨むことができるだろうか−と問われるとためらってしまう。重要な対外問題・民族問題で、国民の一般的感情に反する意見を表明する勇気ある人物が、どの程度いるだろうか。
 いわゆる「ハム・イクピョン医師事件」でも、そうした空気を目の当たりにした。ある地上波テレビ放送のバラエティー番組にレギュラー出演していたハム・イクピョン医師は、月刊朝鮮のインタビューで「安哲秀(アン・チョルス)議員」を批判し、「独裁」に言及し、女性の憲法上の権利・義務に抵触した罪(?)で世論の袋だたきに遭い、突然番組を降板した。一人の専門家が、日常の問題や一般的関心事について率直な意見を述べたのに対し、集団でののしってうっぷんを晴らす韓国社会の「わがまま風土」の中で、ほかならぬ国家的関心事をめぐって世論に反する発言を行い、生き残れる人物が、果たしているだろうか。厳格・非情な国民的検証システムを経てもいないのに、数回のテレビ出演で人気を得て国の指導者クラスに浮上する韓国政治の現実を批判したハム医師の指摘は、拍手を受けるに値する。

 韓国人は、国内問題では俗っぽい言葉を使って血みどろになって戦う。一方がOKと言ったら、相手は是非も問わずNOだ。政治、イデオロギー、経済、社会、文化、どの分野でも合意を導き出すのは難しい。わざとでも戦い、戦いのための戦いも存在する。一方で対外問題では、異なる意見の入る余地は少しもない。良く言えば、互いに宿敵のように戦っていても、対外的問題では一致団結するのだ。しかし悪く言えば、国内では親族間の土地争いのごとくささいなことで対立しながらも、外に向かっては何も言えずしょんぼりと動くことに慣れてしまっているからではないだろうか。
 外信は先週、第2次大戦が終わって70年が過ぎたにもかかわらず、かつてユダヤ人収容所で警備隊員をしていた94歳のドイツ人を逮捕し、法廷に立たせたドイツ当局の記事を伝えた。慰安婦の存在自体を否定する日本の厚かましさを際立たせる事件だが、この一件が韓国人に伝えるメッセージもある。ユダヤ民族は今でも、ユダヤ人に対し残酷な犯罪を行ったナチス・ドイツの戦犯を地球の果てまで追跡し、法廷に立たせてきた。だからドイツは、そんなユダヤ人の粘り強い断罪の儀式に、自ら呼応しているのかもしれない。

 韓国人は、植民地時代や戦中に韓民族に対して行われた残酷な犯罪を、最後まで追跡・断罪したことがない。かつて日本の強圧に耐えられず、あるいは詐欺的な手法に遭って「親日的」言動や行動を取った韓国の人物を探し出し、ののしったり葬り去ったりすることには熱心だが、当の日本の行為者を追跡し、探し出し、証拠を突き付けて法廷に立たせることには何の関心も示さなかった。日本側は、そんな韓国を「大したことのない民族」として見くびってきたのだ。現在日本が今更のように歴史を否定し、韓国人を侮辱しているのも、振り返ってみれば韓国人が「自分のニワトリをつかまえる」ことにはたけていても、日本人を驚かせるような「事件」を何一つ起こせなかったからだろう。

 和田春樹名誉教授の勇気ある発言、ハム・イクピョン医師の降板、そして94歳の元収容所警備隊員逮捕。先週起こった、韓国人の自尊心や存在感を揺るがすこの三つの出来事は、韓国をあらためてみすぼらしい存在にしている。

最終更新:3月27日(木)11時27分

朝鮮日報日本語版