2014-03-23
■[社会]STAP細胞という名の千里眼 現代に現れた御船千鶴子

「こっくりさん」と「千里眼」 ―日本近代と心霊学― (講談社選書メチエ)
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日経新聞 熱風の日本史 第30回 千里眼と神秘セカイの誘惑より
見出し 透視・念写・・・帝大の学者も踊る
19世紀後半からダーウィンの進化論が世界的に認知され、科学の絶対生が信仰されつつあった。不思議なことだが、同時期に心霊学ブームが欧米を席巻、20世紀に入ったばかりの明治40年代の日本にも波及し始めた。心霊学関係の書籍の出版ラッシュが起きる。
そのようなときに登場したのが透視という超能力を持つ「千里眼」である。千里眼が最初に世に知られたのは1909(明治42)年8月で、熊本の御船千鶴子という23歳の女性だった。もともと「霊感」のあった千鶴子は、催眠術によって透視能力に目覚めたという。
千鶴子の能力に注目したのが、東京帝国大学助教授の福来友吉だった。福来は日本で最初に催眠現象を科学的に分析した学者で、戦前までの催眠現象研究書の最高峰といわれる「催眠心理学」を著していた。
10(同43)年2月に熊本を訪れた福来は、銀箔で密封したカードの文字を透視する実験を行う。千鶴子はほとんどを言い当て、福来は千里眼を確信した。
福来とは別に実験を行った興と帝国大学の今村新吉は「包み覆われた物体を近くで透視」「催眠状態で遠隔地の状況を感知」「近い未来に起きる簡単な事象を予言」と、千鶴子に3つの能力があると分析した。
同年9月、東京で東京帝大総長も務めた理学博士・山川健次郎ら学者が参加した公開実験が3度行われた。文字を書いたカードを鉛管に入れてハンダで密封し、絶対に開けられない状態で透視を試みた。しかし、この実験では千里眼が事実であるという確証を得られなかった。
千鶴子の透視方法には「欠陥」があった。透視を行う際、手元を見せずに背を向けること、自分なりのやり方では成功するが、実験者が指示した方法ではうまくいかないこと、などだ。
このため詐術ではないかと疑われた。(tyokorata注 実はこの実験には彼女の能力を疑う新聞記者も参加していた。物語では、彼女の実験を疑った記者が、彼女の実験行為の邪魔をしたともあるが、どちらかというと彼女に「行為的」なギャラリーだけではないため、実験に失敗したというのが実状だろう)
ただ、千里眼と実験の模様を新聞が連日報道したため、日本中で大騒ぎとなる。雨後の竹の子のように、全国で「千里眼能力者」が現れ、「病気も治せる」などの噂も広まった。(tyokorata注 おそらくはこの時期にに新興宗教ではなく、新宗教もブームを迎えたと見られる。ちなみに天理教は江戸時代末期なので、これには当たらない)
そして香川県丸亀市で千鶴子を上回る「能力者」、長尾郁子の存在が明らかになる。郁子は透視のほかに、未現像の写真乾板に文字などの像を感光させることができた。福来は郁子の脳から「精神線」画報社されていると考え、この現象を「念写」と名付けた。
19世紀末から20世紀初頭にかけ、物理学の世界ではX線、アルファ・ガンマ・ベータの放射線、ラジウムといった未知の元素などの大発見が相次いでいた。
「千里眼も新しい発見になるのでは」と注目された。
郁子の念写については「トリックを使えば可能」という指摘がなされ、学会の反応は徐々に冷たくなっていく。大騒ぎした新聞も一転して、「詐欺」「手品」といったバッシング報道一色になった。
それを苦にしたのか、千鶴子は11(明治44)年1月19日に服毒自殺。そのわずか1ヶ月余りのち、郁子がインフルエンザで死去する。
福来は13(大正2)年に新たな千里眼能力者・高橋貞子を見いだし、実証実験を続けた。(tyokorata注 この高橋貞子こそ、「リング」の中で井戸から這い出てくる貞子です)
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同年8月に「透視と念写」を出版。科学で証明できない「心霊」への傾斜を強めていった。
このため、「迷信を助長する学者」と批判を浴び、10月に休職を命じられる。
福来の郷里・岐阜県高山市にある「福来記念・山本資料館」を運営する山本貴美子理事長は「いつどこでだれがやっても同じ結果がでるのが科学。同じ結果になるとは限らないのが心の科学です。だから、信じてもらえないのは仕方ない。でも透視と念写は事実です」といいきる。
千里眼という「超科学」が近代日本で封殺されていくのは必然でもあった。「「迷信」を再び呼び起こし、国家の教育システム=学校という国家のイデオロギー装置に対して、疑いを抱かせてはならない」のだった(一柳廣孝 「(こっくりさん)と(千里眼)」
さて、長々と引用をいたしましたが、この千里眼実験とよく似たものがすでに私たちの目の前にあります。
今回のブログのタイトルにもなったSTAP細胞です。
STAP細胞と精神線とは、「我々が知り得ない未知の方法(細胞にストレスを与えると細胞がリセットされる)」と「我々が知り得ない放射線の一種として精神線があり、それで念写によって感光する」という点で酷似しています。
それは、無知蒙昧たる我々をして欺くにはもってこいの科学的ワードであるということです。
当時、STAP細胞については「科学を愚弄している」といわれていましたが、当時の私は「画期的な発見だから、学会もそれを認められないのだろう」という楽観的なスタンスでそれを受け止めました。
しかし実のところ、共著者の教授も、小母方氏のパトロンである笹井氏が保証しているのだから、という理由で彼女を信用してしまいました。
それは「帝大教授が信用しているのだから、間違いないだろう」とそれを受け止めた我々のご先祖様も同じだったわけです。
この二つは問題点が共通していて、「〜駄肉から信用していいだろう」という性善説に基づいたチェック機能の廃止、停止があったわけです。
問題点の酷似はさらに続きます。
上で引用した文章を再度引用します。
千鶴子の透視方法には「欠陥」があった。透視を行う際、手元を見せずに背を向けること、自分なりのやり方では成功するが、実験者が指示した方法ではうまくいかないこと、などだ。
再現性がないものは科学とはいえません。裏を返せば御船千鶴子とは、彼女が干渉しないと実験は成功しない、魔鏡というまやかしを用いて大衆を導いた卑弥呼のような現代のシャーマン的女性だったと言えるのです。シャーマンという言い方に語弊があるのなら、詐欺師と言いましょうか。
元々、なにかしらの手妻を用いて人心を惑わしたり導いたりする人種は一定のニーズがあり、「モウリョウの函」の中にも同じような人種が登場します。
恐らく御船千鶴子やその背後にいる者ははそうした手段を生業にしていた人種であると想像されます。
問題はそこに科学的な光を浴びせた上、科学者特有の性善説で彼女を盲信してしまった福来助教授がいたことです。
そしてこのことは、小母方氏と彼女のパトロンたちにも当てはまります。
小母方氏が可能性として打ち立てたSTAP細胞を念写や千里眼だと仮定すれば、今回のSTAP細胞騒動は全く同じことを100年の時を経て再現したと言えるわけです。
なに、STAP細胞と、千里眼などのまやかしなどと一緒にするなと?
私ことtyokorataがtyokorata細胞を言い出してもいいのです。私のでたらめな学説をサポートしてくれるパトロンさえいれば。たぶん池上彰さんあたりが私のパトロンになってくれれば、小母方さんと同じことは可能だと思います。むろん、私の学歴を詐称して、演出することは大事ですが、なに、論文なんかはコピペして、写真を切り貼りすればいいのですから、それほど難しいことではありません。
ただ難しいのは、私は彼女のように美人ではないです。
これは、福来記念館の理事長も同じことを言ってます。
「いつどこでだれがやっても同じ結果がでるのが科学」
そして、いつどこで、誰がやっても同じ結果を出せなかったのが小保方さんでした。
理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)らが作製した新万能細胞「STAPスタップ細胞」をめぐる問題で、論文が公表されて以降、理研に関係する論文の主要な著者は、小保方リーダーのチーム以外、STAP細胞を作製する再現実験に成功していないことがわかった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140313-OYT1T01240.htm
ソースは見当たりませんが、彼女が実験に参加した時しか、実験は成功しなかったという話も伺ってます。
その意味で、科学知識をそれほど持たない我々に夢を見せたという点で、彼女は現代に現れた御船千鶴子だったと言えると、私は思います。
追記
一柳廣孝氏の著書をもう一冊、無関係なものを紹介してますが、実は作者の一柳廣孝先生自身、ライトノベルにおけるセカイ系とは、明治を背負った第1世代の実学主義に対して、神秘主義に陥った第二世代とほぼ同じだと結論を出してます。
その意味ではスピリチュアル系とはセカイ系でもあると。
- 517 https://www.google.co.jp/
- 171 http://www.google.co.jp/url?sa=i&rct=j&q=&esrc=s&source=images&cd=&cad=rja&uact=8&docid=ANzTCy0UkxVs1M&tbnid=SfWAv8BCIk8qRM:&ved=0CAQQjhw&url=http://d.hatena.ne.jp/tyokorata/20100516/1273994267&ei=HIsvU4DUBIL5kgWjvoDQDQ&bvm=bv.62922401,d.dGI&p
- 156 http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=10&ved=0CF0QFjAJ&url=http://d.hatena.ne.jp/tyokorata/20120316/1331937139&ei=KXUvU-WPDIPBkgW37IDYDw&usg=AFQjCNENv4Qw9G22-PK6xlQiz2Kzpwm8jQ&sig2=ivDG4ejR8hqOwZ0k_0P74g
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- 38 http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&sqi=2&ved=0CDAQFjAB&url=http://d.hatena.ne.jp/tyokorata/20100110/1263090372&ei=wXYvU9beJcbQkAWOnID4Bw&usg=AFQjCNHV4WLgtKFYUbQ8vkJAHFncLydofA
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- 2014-03-26 ひだるまサトの日記 3/51 5%
お久しぶりです。炎上するという意味で、ジャンヌダルクも相応しかったですが、純朴な教授を共著者として巻き込んだあたり、御船千鶴子が近いかなと。
私の予想では小保方さんは自殺するかと思ったけど、なかなか肝が太そうなアナタハン女子っぽいので、自殺の線は消えたと踏んでます。佐村河内さんも世の中を騙してきたけど、きちんと会見をしてきた分だけ、立派だった気が。会見内容は見て見ぬふりw
多分理研はこのまま逃げ切るつもりだろうけど、最終的には誰かの首を出さないとカタがつかないと思う