原爆症訴訟:5人を認定、3人は認めず 熊本地裁判決
毎日新聞 2014年03月28日 13時49分
原爆症の認定申請を却下された熊本県内の被爆者8人が、国を相手に処分取り消しと総額2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁(中村心裁判長)は28日、5人を原爆症と認定した。
国は今年1月、認定範囲を広げたとする新基準を導入したが、8人は今月、この基準でも認定申請を却下されていた。新基準で却下された被爆者を原爆症と認める司法判断は20日の大阪地裁判決に続いて2例目。残る3人は原爆症と認定せず、国家賠償請求についてはいずれも退けた。
訴状などによると、8人は熊本県内に住む69〜87歳の男女。原爆投下時に長崎市で被爆し、放射線の影響で甲状腺機能低下症や変形性脊椎(せきつい)症などを患ったとして、2006年以降に原爆症の認定を申請した。しかし、国は12年1月までに、当時の基準に基づく審査で放射線との因果関係を否定して却下。8人は11年1月以降、処分取り消しと1人当たり300万円の損害賠償を求めて順次提訴した。
国側は、8人が証言した被爆時の状況があいまいなどとして「疾患と放射線の因果関係を立証したとは言えない」と主張。原告側は「被爆者援護法の目的からして、疾患と放射線の因果関係の立証程度は通常の損害賠償請求より軽減されるべきだ」と訴えていた。
同様の訴訟は、広島、長崎、大阪、東京など全国7地裁に起こされた。20日には大阪地裁が新基準で却下された4人全員を原爆症と認定する判決を言い渡している。【取違剛、志村一也】