焦点:ドイツと中国の経済的蜜月関係に陰り、貿易拡大は頭打ち
[ベルリン 28日 ロイター] -中国の習近平国家主席が国家主席としては8年ぶりにドイツを訪問しようとしているが、両国の貿易額は以前に掲げられた拡大目標にはとうてい届きそうになく、ドイツ企業からは積極的な中国進出を考え直す動きも出始めているというのが現状だ。
2012年に当時の温家宝首相がドイツを訪れ、2015年までに両国の貿易総額を2800億ドルに引き上げるという目標を打ち出した。この時は、それまでの2年で貿易額が54%増加して1800億ドルになっていただけに、野心的とはいっても現実味は十分と見受けられた。さらにユーロ圏債務危機と格闘していたドイツ政府が、中国との政治的、経済的な関係強化を築くのに熱心だったという事情もあった。
しかしそれから2年が経過し、貿易拡大は頭打ちでユーロ建てでは減少さえしつつある。ドイツ企業は、中国国内の賃金上昇や景気減速などを受けて、アフリカのサブサハラ諸国や中南米など他の新興国市場に事業を分散化している。こうした企業の間では突然のように、優先的に事業展開する場所として中国と並んでガーナやコロンビアといった名前が上がるようになった。
ドイツ産業連盟(BDI)幹部のシュテファン・マイア氏は「これまでわれわれはアジアを志向してきた。今は、多くの企業が他の地域に向かわなくてもよいのかどうか自問している。中国に大きな投資をしてきた企業はそうしたプレゼンスをより批判的に見直しつつある」と語った。
中国との経済的な結びつきという点では、欧州の中でドイツが群を抜いている。大手自動車を先頭に各企業は、他国のライバルよりもずっと素早く積極的に中国に乗り込んだ。フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE: 株価, 企業情報, レポート)の場合、販売店の設立は30年余り前にさかのぼり、BMW(BMWG.DE: 株価, 企業情報, レポート)は昨年の売上高に占める中国の割合は20%と、ドイツ国内の13%をしのいでいる。
ドイツと中国の年間貿易額は、フランスと英国、イタリアの対中貿易額の合計よりも多い。
しかしドイツでは数年前の大きな期待感が、中国との関係が何をもたらすのかをより冷静に分析する姿勢に取って代わられるようなった。
<対中依存への警戒感も> 続く...