メイドカフェで日本企業の新しい姿を見る #enebric #cerevo #pfu
独力で会社を興し、ネット接続型家電を作るハードウエアスタートアップの雄として、いまやヒーロー、物造り日本の新しい姿を切り開いているCerevoの岩佐社長からご連絡をいただいて、朝から秋葉原の発表会会場に向かった。
……あれ? おかしいな。会場、ここ?
なんと、会場はメイドカフェ&ドラッグストアという、この地球上で、秋葉原にしか存在しないようなお店であった。
そして、自らそんなお店に会場を設定しておきながら、そんなことにはひとことも触れずに淡々と新製品の紹介を始める岩佐社長。
cerevoはたった、一種の家電『メーカー』でありながら、たった13人の会社。総務経理まで含んでその人数で、ネット接続型の家電製品という複雑な製品を作り、ワールドワイドに販売する。なんと、23カ国以上の国で販売しているそうだ。少人数でも確実に欲しがる人がいる商品を作り込めば、ワールドワイドで販売できる。グローバルニッチとでもいうべきスペースで勝負をするというわけだ。
動画配信用のLive Sherll PROなどもそんな製品のひとつ。ウェブ動画中継の必需品だ。
で、今回の新製品はこのEneBRICK。6000mAhで2.1Aの出力を持つモバイルバッテリーであり、タブレットスタンドであり、USBキーボードを接続し、Bluetoothでタブレットに接続できるというデバイス。価格は1万2800円(税別)。
左から受電用マイクロUSB、キーボード用USB、2.1A給電用USB。ちなみに受電しながらキーボードは使えるが、給電しながらはキーボードは使えない。
こんな感じで接続する。
この製品の注目すべきポイントは、『実績のあるハードウエアスタートアップがクラウドファンディングで製作した』というところだろう。
Kickstarterのようなクラウドファンディングで、初めての製品を作る人に投資するとけっこう実際の製品化には難航することが多い(もちろん、それを支援するためのクラウドファンディングなのだが)。その点、実際にいくつもの製品を世に送り出している『実績のあるハードウエアスタートアップ』たるcerevoが製品化するのであれば、不安は少ない。
(これがクラウドファンディングに作られていた実働する試作品(接続されていたバッテリーはかなり容量の小さなもの。筐体は3Dプリンターで製作している。これを発案から1カ月で作れるCerevoの開発力すごい!)
実際のところ発案から1〜2カ月で3Dプリンターなどを使って実働する試作品を製作、177万円を集めて、製品化が決定し、そこから約7カ月で、今日の発売に至っている。ちなみに、「これだけの支持があるのなら」ということで、在庫は多めに取られているので、よほど爆発的に売れなければ、今からでも購入可能とのこと。
このクラウドファンディングの成功においては、大企業でありながらもマニアックなファンの多いScanSnapやハッピーハッキングキーボード(HHKB)で知られるPFUのtwitterアカウントが、『このcerevoの製品の発売を支援しよう! HHKBにピッタリだ』とtweetしたことが大きな役割を果たしたという。
大メーカーが、担当者の独断で、小さなスタートアップを支援したわけだが、こんな巻き込みの姿勢こそが、ソーシャルネットワークで大切なことだ。大企業アカウントはこういうことを許容する土壌がその会社にあるかどうかにかかっていると思う。
……というわけで、サプライズ。そのコミュニケーションはさらに進呈して、今回、限定でHHKBのロゴ入りモデルも発売されることとなった。
柔軟は販売施策を取る、ハードウエアスタートアップcerevoや、大企業ながらユーザーと深くコミットするPFUなど、成功している企業が、新しい時代のビジネスモデルを構築していることに、注目したい。
(タクタ)
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