大久保貴裕
2014年3月28日08時30分
鳥海山ろくの大自然を走る列車に描かれるのは「萌(も)えキャラ」!?。由利高原鉄道(羽後本荘―矢島、23キロ)に4月19日、新しいラッピング車両が登場する。桃色の車体に女子高生のイラストを描いた斬新なデザインには、どんな狙いがあるのだろう。
由利鉄の愛称「おばこ」のヘッドマークの文字の横でほほえむ「秋田おばこ」姿の女子高生は、小学館の月刊誌「サンデーGX」で昨年まで連載された人気作「ゆりてつ 私立百合ケ咲女子高鉄道部」の登場キャラクターだ。
漫画「ゆりてつ」は、鉄道写真の撮影に出かけては駅弁を食べ歩くのが好きな女子高校生たちの「鉄道部」が、全国の鉄道を乗り歩くストーリーだ。
「由利鉄」と「ゆりてつ」。鉄道ファンでもある由利高原鉄道の春田啓郎社長(62)が同名の漫画を知り、「コラボしたら面白い」と思いついた。発行元の小学館に連絡すると、作者で漫画家の松山せいじさんが昨年10月、編集者とともに秋田へ取材に訪れた。
「ゆりてつ」は昨年11月で連載を終え、最終回は「由利鉄」を舞台に、アテンダントや春田社長も登場。国の登録有形文化財「旧鮎川小学校」など観光スポットも紹介した。
最終回を読んだ鉄道ファンが実際に由利高原鉄道を乗りに訪れるなど「コラボ」効果が表れた。3年前から同線を走ってきた松本零士さんの代表作をあしらった「宇宙戦艦ヤマト号」が今月で引退したこともあり、新たに「ゆりてつラッピング車両」の運行が決まった。
春田社長は「右肩下がりだった経営にも歯止めがかかりつつある。物珍しさでいい。全国からの誘客につなげ、『由利鉄ファン』を増やしたい」と話す。
出発式は4月19日午後1時20分から羽後本荘駅である。松山さんも参加し、「ゆりてつ」の執筆の裏側を語るトークセッションなども予定している。問い合わせは由利高原鉄道(0184・56・2736)へ。(大久保貴裕)
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