日本のスタートアップ業界に欠けているもの

楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その3)

 2010年の英語公用語化スタートから4年。楽天のグローバル戦略が一段と加速している。ここ数年、電子書籍のkobo(コボ)、ビデオストリーミングサービスのViki(ヴィキ)、動画コンテンツ配信サイトのShowTimeなど、次々と国内外で企業を買収。今年2月には、無料通話・メッセージサービス「Viber」を手掛けるキプロスのバイバー・メディアを9億ドルで買収した。
 楽天は世界でどう戦おうとしているのか? 英語公用語化で会社はどう変わったのか。そして、どうすれば日本企業はより多くのイノベーションを起こせるのか。バイバー買収の背景から今後の世界戦略、そして、スタートアップへの思いから若者へのメッセージまで、ロングインタビューで三木谷浩史社長に話を聞いた〈全4回〉。

その1:三木谷さん、楽天は世界で勝てますか?

その2:楽天の「英語公用語化」は、ヤバいです

経営者の給料を上げるべき

――「グローバル」に続き、「イノベーション」というテーマで質問します。イノベーションに関する日本の問題点は、開業率だけでなく、廃業率も低いという点です。三木谷さんは常々「経営者の競争が足りない」と訴えています。

日本の雇用慣行について言うと、長期雇用はいいと思いますが、終身雇用はやめたほうがいい。たとえば楽天イーグルスだって、星野仙一という一流の監督を連れてきたから強くなったわけで、生え抜きだけでやっていたら、駄目だったと思うんですよ。

だから、たまたま内部でうまく育ったときはそれでいいですが、一般的には適材適所で、とにかくベストなリーダーをリクルートしてくることが極めて重要です。アップルだってスティーブ・ジョブズが入ってくるまでは、破産の危機だったわけですから。それから日産も、カルロス・ゴーンが社長になるまでは、極めて厳しかった。

やっぱり経営者というのは、スポーツ、事業にかかわらず、極めて大きな事業の要素、いちばん重要なポイントだと思うんですよ。それをなんとなく下から生え抜きだけで、その非常に小さいプールから選んでしまう。しかも上がってくる人というのは、社内ポリティックスを勝ち抜いた人ですよね。その社内ポリティックスと事業は違う要素じゃないですか。だから、ある意味、そこが変わればだいぶ変わるのかなとは思っています。

――経営者に関しては、プロ野球選手のように競争する形がいい、と。

そうですね。この前、外国人投資家の説明会で言ったのは、まず経営者の給料を上げるように提案したらどうかと。欧米企業並みまでいかなくても、一応、1部上場企業の社長をやって引退したら、悠々自適に暮らせるくらいに。今はそうなっていないから、みんな地位にしがみついて、名誉会長だ、相談役だ、となってしまう。そういう人たちには引退してもらって、自分で財団を作りエンジェル投資家になってもらうほうがいいですよ。

――制度面で、特にどこを変えるべきですか。

政府の産業競争力会議の中で、経営者から独立した社外取締役の義務化を提案しています。まだ1人、2人というレベルですが。

最初はけっこう拒否されましたが、最後のところで文書に入ったので、小さな一歩かなとは思います。社外取締役の数を増やして、女性の登用も含めて、役員会のダイバーシティを高めることが、極めて重要だと思います。

 
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