オバマ大統領がブリュッセルでスピーチし、北大西洋条約機構(NATO)に対してアメリカがコミットしていると強調しました。
NATOは第二次大戦後、米国とソ連が対立する、いわゆる「冷戦」状況が持ち上がり、第二次大戦で疲弊した欧州をソ連の侵略から守るため米国が中心となってまとめた共同安全保障システムです。
ソ連に対抗するには欧州を強くしなければいけなかったのですが、そこで二つの問題が持ち上がります。
まず産業の中心になるのはやはりドイツしかないわけだけど、ドイツにはお金が無いという問題です。これはマーシャル・プランによってドイツ復興のお金を貸すことで工業を再始動させました。
次にドイツが力をつけてしまうと、再び軍国主義に走り、周辺国が脅威に晒されるリスクをどうするという問題がありました。
これについてはNATO軍を組織し、欧州各国の軍隊をひとつにまとめてしまうことで、各国の軍隊が勝手に動けないようにしました。これはソ連に対抗するという意味もあるのですが、ドイツをけん制するという意味も込められていました。
NATOは第二次大戦後、米国とソ連が対立する、いわゆる「冷戦」状況が持ち上がり、第二次大戦で疲弊した欧州をソ連の侵略から守るため米国が中心となってまとめた共同安全保障システムです。
ソ連に対抗するには欧州を強くしなければいけなかったのですが、そこで二つの問題が持ち上がります。
まず産業の中心になるのはやはりドイツしかないわけだけど、ドイツにはお金が無いという問題です。これはマーシャル・プランによってドイツ復興のお金を貸すことで工業を再始動させました。
次にドイツが力をつけてしまうと、再び軍国主義に走り、周辺国が脅威に晒されるリスクをどうするという問題がありました。
これについてはNATO軍を組織し、欧州各国の軍隊をひとつにまとめてしまうことで、各国の軍隊が勝手に動けないようにしました。これはソ連に対抗するという意味もあるのですが、ドイツをけん制するという意味も込められていました。
さらに欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)という石炭や鉄鋼の生産や価格に関する、ある種のカルテルを結びました。これはドイツの生産力を、ヨーロッパ全体の国々がシェアするという方便にほかなりません。
なぜそのようなアレンジが必要だったかといえば、ドイツには炭田や高度な工業生産技術があるので、マーシャル・プランによって復興資金を与え、自由に生産させると、すぐにその生産力がどん底まで落ちた欧州の購買力を凌駕し、過剰な生産力は、はけ口となる市場を求めることになり、再びドイツが領土的野心を持ってしまうことを回避するためです。
こうして、わざとドイツの工業セクターが「オーバードライブ」に入っても、それが政治的な軋轢を生じないような予防策をちゃんと講じた後で、米国はドイツに思いっきり復興のアクセルを踏むことを奨励したというわけです。
さて、水曜日の演説で、オバマ大統領は米国がNATOへの兵力の割り振りを少し増やすことを約束しました。
しかし現在、米国のNATO軍に対する支援は近年、バッサリとそぎ落とされています。ニューヨーク・タイムズのヘレン・クーパー記者によると冷戦のピークでは40万人居たNATOのアメリカ軍は、現在、僅か6万7千人に減っています。そのうちの4万人がドイツに駐屯しています。
またピーク時には800機を数えたアメリカ空軍の軍用機も、現在は戦闘機130機、その他支援機42機に減らされています。
だからアメリカは今回のウクライナ問題をエスカレートさせる気は、さらさらありません。
なおドイツのメルケル首相とオバマ大統領の関係はアメリカがドイツ政府のコミュニケーションを盗聴していた事件が発覚して以来、最悪の関係にまで落ち込んでいましたが、ウクライナ問題はその関係修復に大いに寄与したといわれています。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
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なぜそのようなアレンジが必要だったかといえば、ドイツには炭田や高度な工業生産技術があるので、マーシャル・プランによって復興資金を与え、自由に生産させると、すぐにその生産力がどん底まで落ちた欧州の購買力を凌駕し、過剰な生産力は、はけ口となる市場を求めることになり、再びドイツが領土的野心を持ってしまうことを回避するためです。
こうして、わざとドイツの工業セクターが「オーバードライブ」に入っても、それが政治的な軋轢を生じないような予防策をちゃんと講じた後で、米国はドイツに思いっきり復興のアクセルを踏むことを奨励したというわけです。
さて、水曜日の演説で、オバマ大統領は米国がNATOへの兵力の割り振りを少し増やすことを約束しました。
しかし現在、米国のNATO軍に対する支援は近年、バッサリとそぎ落とされています。ニューヨーク・タイムズのヘレン・クーパー記者によると冷戦のピークでは40万人居たNATOのアメリカ軍は、現在、僅か6万7千人に減っています。そのうちの4万人がドイツに駐屯しています。
またピーク時には800機を数えたアメリカ空軍の軍用機も、現在は戦闘機130機、その他支援機42機に減らされています。
だからアメリカは今回のウクライナ問題をエスカレートさせる気は、さらさらありません。
なおドイツのメルケル首相とオバマ大統領の関係はアメリカがドイツ政府のコミュニケーションを盗聴していた事件が発覚して以来、最悪の関係にまで落ち込んでいましたが、ウクライナ問題はその関係修復に大いに寄与したといわれています。
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