Financial Times

アベノミクスの運命を決定する賃金と税

2014.03.28(金)  Financial Times

(2014年3月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「Buy my Abenomics!」は犯罪者のせりふから?官房長官が擁護

世界的に注目を浴びるアベノミクス〔AFPBB News

英エコノミスト誌は昨年、安倍晋三氏にちなんで名付けられた日本経済を浮揚させる急進的な政策「アベノミクス」の現象に2つの色鮮やかな挿絵を捧げた。

 その1つ、「鳥か? 飛行機か? いや、日本だ!」という表題を掲げたイラストは、安倍首相がスーパーマンのように空中を飛ぶ姿を描いていた。

 昨年夏に日本の株式市場が大揺れした後に掲載された2つ目のイラストは、安倍氏が不運にも地面に墜落していく様子を描いていた。安倍氏が首相に就任してから15カ月が経過した今、安倍氏の監査を行う時だ。

 我々は実際には、デフレを払拭する試みが涙で終わるかどうか知るには程遠い状態だ。そうなると言う人たちは、日本の巨額の債務残高が原因で、期待インフレ率が上昇した結果金利が急騰した場合、政府はデフォルト(債務不履行)に追い込まれると主張する。言い換えると、アベノミクスは定められた目標に達したまさにその時に破綻し始めるというわけだ。

 ある銀行幹部は、日本の債務状況は、日本が必ず「壁に突き当たる」ことを意味していたと主張する。この人物の意見では、アベノミクスは単にその時期を早めるだけだという。

アベノミクスの成績表はまずまず?

 この見方を不必要に人騒がせなものと見なす人たちにとっては、問題は、日本はあとどれくらいで2%のインフレターゲットを達成できるのか、ということに違いない。この疑問は先週、ブルッキングス研究所の会議で、ミシガン大学のジョシュア・ハウスマン氏とカリフォルニア大学サンディエゴ校のヨハネス・ウィーラント氏という2人の経済学者によって提起された。

 「Abenomics: Preliminary Analysis and Outlook(アベノクス:予備的分析と見通し)」と題した論文で、両氏ははっきりと、この政策は「2013年にデフレを終わらせたし、長期インフレ期待も上昇させた」と結論付けている。彼らはまた、アベノミクスが2013年の国内総生産(GDP)成長率を0.9~1.7ポイント押し上げたとも述べている。

 これは、なかなか良い成績表であるように聞こえる。それほど前向きでない点として、2人は、中央銀行の2%のインフレターゲットを「まだ十分に信憑性がない」と判断している。また、政策の景気刺激効果の大きさは、日本の大きな需給ギャップ――実際のGDPと潜在GDPの差――と彼らが見なすものに及ばない可能性が高いとも主張している。

 両氏が正しければ、アベノミクスは破滅的な「アベゲド…
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