お金がなくても健康的な食事が食べられる文化を。非営利カフェ「SAMECafe」に見る可能性

[2014/3/26]
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経済的状況に関係なく、誰もが尊厳をもって健康的な食事をするために…。地域住民のための非営利カフェ「SAMECafe」が支持を集めていきそう。

こちら食事の価格は自分で決めます。結果お客さんの約60%は希望する価格を支払い、約20%の人が少し多めに支払ってくれます。そして、約20%が足りないもしくは全くお金を支払いません。

お金を支払わない人は1時間、お店の手伝いをします。具体的には、皿洗いや床のモップがけ、テーブルふきなどです。そこで食事をする人々は誰もが平等に尊厳をもって扱われていきます。

お店の経営はというと、平均顧客単価は希望小売価格の80%、かつ労働力を提供してくれる人もいるためお店は十分にまわっていきます。

現在は、ミシガン州のディアボーン、またオレゴン州のポートランドにありますが、今後3ヶ月に1カ所ペースで増やしていくとのこと。

月に4時間働くと、スーパーの商品が全て20%引きで購入できる「The People’s Supermarket」やソーシャルキャピタルとの交換でデスク及び無償の食事を食べることのできるコワーキングスペースなど、今後もこの流れは益々広がっていきそうです。

【参考】
「場」が再定義される時代へ。カフェが出会いの場となる「Matchmaker Cafe」
事業、文化の発信基地として「無料のコワーキングスペース」が世界的に増えていく

徐々に社会に浸透していく非貨幣経済圏


米国における格差社会の広がりは益々深刻です。2009年から10年の1年間で国民所得は平均で2.3%上昇したのですが、99%の米国人の所得はたった0.2%しか伸びませんでした。しかし、上位1%の所得は11.6%も増えたわけです。

その1%の人達が経営する企業は、国家と拮抗するような力をつけていき、少額課金モデルで”大衆から税金を取るように”お金を徴収するようになります。

あたかも東京に住んでいれば使わざるを得ないJRのような存在、また日本に住んでいれば払わざるを得ない携帯代などと同じモデルを目指し、企業は発展を続けていきます。

そのようなことを言うと、益々大衆、市民の力が落ちていくように思えるかもしれません。しかし、大衆が真の意味で、再び主権を得ていく流れこそが、この非貨幣経済圏における動きなわけです。

貨幣経済圏に依存しきった通常の企業では、なかなかこの辺りにアプローチできませんが、2010年代後半は、この辺りのサービスが百花繚乱、新しい社会のあり方が、世界的に見えいきます。引き続きこの辺りの動きには注目していきたいですね。

【参考】
広がる非貨幣経済圏。お金ではなく時間を流通単位にするスキル交換サイト「TIMEREPUBLIK」 

Author Profile

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ソーシャル・デザイン
長沼 博之

 
 


 

一般社団法人ソーシャル・デザイン代表理事。次世代事業モデル構築を得意とする経営コンサルタント。「Social Design News〜社会をより良くする近未来インスピレーション情報〜」を監修。メイカーズ革命やクラウドソーシング、ソーシャルデザイン、これからの働き方についてTVや雑誌から取材多数。著書に「ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉」がある。

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