「脇道にそれること」で、脳はもっとクリエイティブになれる
本業から外れた仕事や、軽い気持ちで手がける趣味なんて、取り組む意味がないと思っている人もいるかもしれませんが、そうとは限りません。Stibel氏はこう説明しています:
多様なテーマについて興味を持って追求すると、知力が向上し、創造力も広がるので、さらにクリエイティブになれるというメリットがあります。脇道にそれるとは、今までになかった情報を頭に入れる手段であり、まったく新しい行動を試みる方法なのです。普段やっているそのほかの事柄についても違った角度から考えるようになり、そこから驚くようなイノベーションが生まれる可能性もあります。Stibel氏も、「新たな発見をしたいなら、ある分野における既存の考え方を、別の世界に当てはめてみるのがベストな方法です」と述べています(中略)
例えば、個人的に興味のある編み物を習ってみれば、いつもフル稼働させている頭を丸1日休ませられる、と考える人がいるかもしれません。しかし、Stibel氏によるとこれはまったく逆です。むしろ、趣味の講座に通うことで、脳はまったく違う問題に取り組むようになり、これによって元のタスクに戻った時には効率や生産性がアップするというのです。
「ずっと悩んできた問題について考えるのをやめ、まったく違う作業に取り組めば、頭が"充電"される」とStibel氏は言います。脳は、1つのことに長時間にわたって取り組んでいるとそのうちにシャットダウンしてしまいますが、複数の異なるタスクを扱うのは得意なのだそうです。「もうこれ以上は無理だと思ったら、少し休みを取り、ほかの課題に取り組んでみましょう。その間に脳が回復してきます。こうすると、1つのタスクに延々と取り組むのと比べて、生産性は2倍になるわけです」と、Stibel氏は述べています。
要するに、たまには頭を休ませ、趣味や本業以外のプロジェクトに集中するのが良い、ということですね。たとえ脇道のほうですばらしい成果が上がらなかったとしても、ほかのものに取り組む行為自体が、別の意味でメリットをもたらしてくれるはずです。
Why Dabbling Can Make You a Better Entrepreneur | Entrepreneur
Thorin Klosowski(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)
Photo by Anders Sandberg
- 進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)
- 池谷 裕二|講談社