山下知子
2014年3月27日10時52分
家庭が貧しかったり、親が不在続きだったりして、自宅で食事を満足にとれない10代後半の子どもを対象に、手料理を無料で提供する「家」が来月、福岡市にオープンする。高校中退者らの支援をしてきた民間団体が「公的支援の網からこぼれた子たちに居場所を」と、開設を決めた。
この団体は一般社団法人「ストリート・プロジェクト」(ストプロ、事務所・福岡市博多区)。2010年8月に、自分の子どもが不登校になった経験を持つ保護者や弁護士らが設立した。主に10代後半の子どもの支援が目的で、高校中退者らに高校卒業程度認定試験に向けた勉強を無料で教えるなどの活動をしてきた。
開設するスペースは「ごちそうさま」という言葉から、「ごちハウス」と名付けた。ほっとできる「家」のような場所にしたいという願いも込めている。来月下旬に、ストプロの事務所がある福岡市博多区博多駅前3丁目のマンションの一室に開設し、居間など約50平方メートルを開放する。
利用者は中学卒業後の10代を想定。親の虐待などがあっても、児童相談所の対象は18歳未満だ。家のことで悩んでも公的機関に相談できない子も多いため、民間の立場でできることをしようと思ったという。
開設時間は当面は昼食時~午後8時ごろ。利用は要予約で、スタッフが手作りする食事を昼と夜に提供する。悩みにも積極的に耳を傾け、深刻な内容だった場合は自治体などと連携して対応するという。
坪井恵子代表理事(53)は「子ども時代にご飯を作ってもらえなかった親が、自分の子に同じことをしてしまうケースも少なくない。その連鎖を断つ必要がある」と話す。親が料理をする姿を見たことのない子もおり、一緒に食材を買いに行ったり料理したりすることも考えている。
部屋の家賃や食材代など運営費は年約200万円。支援者が提供した古本を売った収入などを充てる予定で、寄付などの支援を呼びかけている。問い合わせは坪井さん(080・3376・3510)。
■親のリストラ・虐待…行き場失う
ストプロの坪井さんは、家庭の事情で日々の食事がとれない子どもたちを多く見てきた。親の虐待などで家に帰れない娘の友人たちに自宅を開放し、食事を世話した経験もある。「虐待があって自宅に居場所がない子、電気やガスの支払いが滞って止められ、食べ物を万引きするまで追い込まれる子もいた」
貧困に陥る原因はさまざまだが、親がリストラされたり、病気で働けなくなったりした例があった。経済的に追い詰められ、子どものバイト代を使い込む親もいた。
福岡県内の高校に勤務する50代の教員も、家庭の事情に悩む10代の実態を見てきた。義父による性的虐待を避けるため、友人宅を転々とする女子生徒や、親が世話を放棄するネグレクトの状態で、食事も作ってもらえず、弁当代も渡されていない生徒もいた。高校では給食がないため、この生徒は昼食を食べられず、同僚の教員とお金を出しあって買った米をこっそり渡したこともあるという。
「親の失業などでご飯が食べられない子や、虐待されて家に帰れず行き場を失っている子は少なくない」と指摘する。(山下知子)
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