中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 愛知 > 3月26日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【愛知】

自転車、わずか3分で車いすに 西区の永山さん開発、実用化

自転車の状態のQjoのハンドルを握る永山順二さん=名古屋市西区新木町で

写真

 普段乗っている自転車を災害時などに、救助用の車いすに転用するユニークなアイデアを、名古屋市西区新木町の重機運送会社代表、永山順二さん(56)が実用化した。組み立て直すと車いすに変身する救助用自転車「Qjo(キュウジョ)」。緊急時に自転車で駆け付け、けが人を運んだり、高齢者を避難させたりすることを想定している。

 外見は一般的な二十七インチ自転車と変わらない。ちょっと違うのは、前輪の上にある小さな車輪と、ハンドルの下に折り畳まれた二枚の布。布の中には、スパナ一本と金網一枚が入っている。

 組み立て方法は、まずスパナを取り出し、ペダル二つを取り外す。次にサドル下のネジを緩め、前輪を後輪の横までスライドさせて、車いすの骨組みを作る。

サドル下のネジを緩めて前輪(右側)を後輪の隣に持ってくると、車いすの両輪になる=名古屋市西区新木町で

写真

 続いて、サドルをはずして車いすの首の位置に、二枚の布をそれぞれ背と尻の位置に設置する。最後に金網を足を置く所に固定して完成。所要時間は三分ほどだ。

 「Qjo」開発のきっかけは、二〇一一年の東日本大震災。永山さんは発生直後にインターネットの動画サイトで、投稿者ががれきだらけの町を自転車から撮影した映像を見て、「こんなとき、もしけが人を見つけたらどうしたらいいのだろう」と考えた。

 そこで思い付いたのが、移動と救助の機能を兼ね備える乗り物を作ることだった。がれきの中でも比較的進入しやすい自転車と、けがで動けない人を一人でも運べる車いすの利便性に目を付けた。

 もともと機械の修理が得意だった永山さん。自転車と車いすの製図を見ながら、自転車の分解と組み立てを繰り返した。知人の経営コンサルタント会社顧問、森弘さん(60)の助言を受けながら、二年半かけて完成させた。

 東日本の被災地では、けがで避難が遅れて津波の犠牲になった人もいた。永山さんは、Qjoを使えば、女性や子どもの力でも人を助けることができるとみている。

車いすの状態になったQjo=名古屋市西区新木町で

写真

 組み立てにスパナ以外の工具は不要。ネジは手回しできるようにするなど、誰でも簡単に組み立てられるようにした。自転車のハンドルが車いすを押す部分になる。自転車のブレーキは車いすにしたときもそのまま使え、安全面でも工夫を凝らした。現在、世界知的所有権機関(WIPO)に国際特許を出願中。特許取得後、メーカーに売り込むつもりだ。

 永山さんは「もっと軽量化したり、工具を使わずに組み立てたりと、改良の余地はまだある。早く製品として世に出し、人命救助に役立てたい」と話している。

 問い合わせは、森さんのメールアドレス=mori@aacl.gr.jp=へ。

(太田理英子)

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ