今年度の神奈川県の公立高校の合格発表が2月27日(木)に行われた。この日から各塾のホームページやチラシ上で、合格者数の速報やあるいは集計が公表され始めた。その中でこんな出来事があった。湘南ゼミナールのHP上で同塾中川校の合格者数が27日(木)の午後、「翠嵐2名、川和2名」と公表されていたが、同日夜の段階で突然、「翠嵐7、川和10」と変更されたのである。同じ日のうちにこのような大幅な合格者数の変更が行われるのはきわめて異例のことである。
この件に留まらず今年度、湘南ゼミナールの合格者数表示には不透明で、消費者の誤解を誘導しかねない疑問点が多々見られる。同塾は従来、神奈川県の学習塾の中では比較的透明感のある実績の公表を行ってきた塾であったと認識している。そのような湘南ゼミナールが、今年度多くのチラシで疑問を持たざるを得ないような広告宣伝を行っているのは誠に残念なことである。私たちは、保護者・生徒に正確な情報提供を行うべきであるという立場から、同塾のチラシやHP上での合格者数告知の問題点をここに具体的に指摘し、同塾の反省と正確な情報提供を促したい。
-中川教室在籍の翠嵐・川和合格者は、本当は何名なのか-
湘南ゼミナール中川教室の今春の高校合格実績は、2月27日(木)のホームページ上での当日午後の速報で「翠嵐高校合格者2名」「川和高校合格者2名」と公表された。しかし、同日夜の段階で突然、「翠嵐高校合格者7名」「川和高校合格者10名」と大幅に変更された。
3月7日(金)発行の湘南ゼミナール中川教室の新聞折り込みチラシでも「中川教室から」と題して、「翠嵐高校合格者7名」「川和高校合格者10名」とこの数字が使用されている。
この件に関し、ステップからの問い合わせに対し、中川教室長のS氏は、湘南ゼミナール中川教室に在籍していた実際の合格者数は「翠嵐高校合格者2名、川和高校合格者2名」であると回答している。教室の責任者の発言であるから、この「翠嵐高校合格者2名、川和高校合格者2名」という数字はまず間違いのないものだろう。
3月7日(金)の同塾中川教室のチラシには「翠嵐7名合格、川和10名合格」という大きな活字の下に「湘ゼミのエースが中川教室に集まり、お互いを高め合いました! 『翠嵐湘南特訓講座』中川会場の生徒含む」と注記されている(掲載した画像を参照)。判然としない文章ではあるが、おそらくこういうことであろう。湘南ゼミナールは、「翠嵐湘南特訓講座」を中川教室を会場にして開講した。ここには、ふだん他の校舎に在籍している湘南ゼミナールの「エース」級の生徒が集って勉強した。それらの生徒も「中川教室から」の合格者としてカウントした、と。
このカウントの仕方には当然無理がある。ステップでも「スーパートライアル講座」や「川和トライアル」という名称で、2学期から3学期にかけて特別講座を日曜日に開講している。「川和トライアル」は、ステップでは中川スクールを会場にしており、そこで学んだ川和合格者は68名にのぼる。しかしこれはあくまでも横浜の北部地区を中心にしたステップの各スクールに在籍し、特別講座のみ中川で参加した生徒を含めた総数であり、中川スクールからの合格者は、在籍していた「翠嵐2名、川和8名」である。これを「ステップ中川スクールから川和68名」と表記すれば、とんでもない誤解を招くことになるであろう。
湘南ゼミナールがどうしても「特訓講座」の成果を宣伝したいのならば、「中川教室在籍の合格者数は翠嵐2名、川和2名」と表記した上で、「他教室に在籍している特訓講座の参加者を含めれば翠嵐7名、川和10名になる」と正確に表現するべきであろう。しかし同塾中川教室のチラシには肝心要の「翠嵐2名、川和2名」という表記がすっぽりと抜け落ちているのである。
このチラシを見た消費者(保護者・生徒)からすれば、「中川教室から横浜翠嵐7名、川和10名」という大きな活字が飛び込む仕掛けになっており、正確な在籍合格者数はどこにも見当たらない。この手法は、消費者の誤解を招きかねない不透明でグレーな表示であると言わざるを得ない所以である。
※参考資料 湘南ゼミナール 中川教室のチラシ(3/7(金)発行)
-金沢文庫東教室在籍の旧トップ校合格者、翠嵐合格者は、本当は何名なのか-
-金沢文庫西教室在籍の旧トップ校合格者、翠嵐合格者は、本当は何名なのか-
金沢文庫東教室(以下「東教室」)、金沢文庫西教室(以下「西教室」)という2つの校舎の今春の合格実績について、ホームページ上で確認すると、次のようになっている。(3月24日現在)
まず旧学区トップ校の数字を拾って見ると
東教室
「横浜翠嵐11名」「湘南2名」「柏陽9名」「横浜緑ヶ丘7名」「光陵1名」「希望ヶ丘2名」「横須賀3名」「横浜国際3名」「横浜SF(理数)1名」
西教室
「横浜翠嵐11名」「湘南2名」「柏陽9名」「横浜緑ヶ丘7名」「光陵1名」「希望ヶ丘2名」「横須賀3名」「横浜国際3名」「サイエンスフロンティア1名」
上記9校については、両教室で、まったく同じ合格実績となっている。
翠嵐合格者数について、西教室に問い合わせたところ、同高校の合格者は「西教室在籍者は4名」とのことである。また、東教室のホームページには合格実績の最後に「金沢文庫東・金沢文庫西の合算実績です。アルファ(*)・翠嵐湘南特訓講座の生徒も含みます」との注記がある。
このことから、先ほどの旧トップ校9校の合格実績は、東教室と西教室、またはそのいずれかを会場としていたであろう「翠嵐湘南特訓講座」の参加者、さらには近隣の湘ゼミアルファ生を含む合格実績を合算した数字ということになる。
ここで詳細に検討してみると、中川教室の場合、「同教室を会場としていた」ということを理由として「翠嵐湘南特訓講座」参加者を「中川教室からの合格者」にカウントしたのであるから、湘南ゼミナールの金沢地区近辺の「翠嵐湘南特訓講座」の会場が東教室であったならば東からの合格者数が多くなるはずであり、会場が西教室であったならば、西教室からの翠嵐合格者が多くなければならないということになる。しかしながら公表されている合格者数は、トップ校に関しては東西ともまったく同数という不可解な結果になっているのである。
さらに、東教室のホームページでは「西教室との合算実績」と表記しているにもかかわらず、西教室のホームページでは、「実績には翠嵐・湘南特訓講座生を含みます」という注記のみで、東教室との合算実績であるという点にまったく触れていないのも、「頭隠して尻隠さず」というべきであろう。
その1の中川教室のケースと同様に、個別の教室の合格者数を一切クローズしたままで複数の教室の合格実績を合算した結果のみを公表するやり方が、あたかも複数校の合格者数をその校舎単体の実績であるかのように印象づける不透明でグレーな公表の仕方となっていると言わざるを得ないであろう。
(*)アルファ=湘南ゼミナールの難関国私立校、難関公立校対応の校舎。金沢文庫校の最寄の校舎はアルファ上大岡校と推定される。
※参考資料 湘南ゼミナール 金沢文庫西・金沢文庫東教室の合格実績 一部抜粋(ホームページ 3/25日現在)
金沢文庫西教室の注記
金沢文庫東教室の注記
※追記(3/26)
3/26(水)、湘南ゼミナール金沢文庫西教室の合格実績(ホームページ)を見ると、注記が突然変更されていた。
3/25(火)、私達がこの臨時ページを公開するまでは、「実績には翠嵐・湘南特訓講座生を含みます」という文章であったが、3/26(水)には「実績には翠嵐・湘南特訓講座生、金沢文庫地区の東・西教室を含みます。」という内容に変更されていた。
しかも、この変更に関してのお知らせが出ているわけでもなく、あたかも当初から複数校舎の合算実績として表示していたかのように、こっそりと変更されていたのである。私達の指摘により、慌てて注記を変更したのであろう。
※参考資料 湘南ゼミナール 金沢文庫西教室の合格実績 一部抜粋(ホームページ 3/26日現在)
-青葉台教室在籍の川和合格者は、本当はいったい何名なのか?
-青葉台教室在籍の翠嵐合格者は、本当はいったい何名なのか?
(1)【青葉台教室の川和高校合格者数】
入試直後のホームページ上で、まず青葉台教室からの川和合格者は「18名」という数字が掲載された。その後発行された同塾折り込みチラシでも「青葉台教室の実績です」と題し、「川和18名」と大きく記載された。このチラシには「翠嵐湘南特訓講座の参加者を含む」等の注記はまったくない。そこで、念のため校舎に電話で直接問い合わせたところ、「青葉台教室在籍の生徒の川和高校合格者数は7名である」との回答であった。「7名がどうして18名になるのか」を質問したところ、中川教室と同様に「翠嵐湘南特訓講座青葉台会場での実績を含む」とのことであった。
ところがその後、ホームページでは、何故か突然「川和8名」と合格者の数字が変更され、現在(3月26日)に至っている。
これで終わらない。その後「湘南ゼミナール青葉台」として折り込まれたチラシで再度川和高校の合格者は「18名」に回帰するのである。つまり、現状ではチラシで「18名」、ホームページで「8名」、電話回答では「7名」と、3通りの数字が入り乱れている状態である。こうなると、湘ゼミのスタッフも何が本当か分からなくなっているのではないか。
整理してみると、青葉台単体での合格者は電話での回答通りおそらく7名。残りの11名は湘ゼミアルファ及び「翠嵐湘南特訓講座」に参加した他教室の生徒というところがもっとも可能性が高い数字だと思われる。いずれにしても、湘南ゼミナール自身の公表数字が媒体によって異なっているのは、余りにも無責任で場当たり的な表記と断じざるを得ない。
(2)【青葉台教室の横浜翠嵐合格者数】
今春の横浜翠嵐合格者について、折り込みチラシでは「翠嵐13名」と公表された。 しかし、ホームページには「横浜翠嵐高校12名」と記載されており(3/26現在)人数が食い違っている。 ここでも(1)の川和高校と同様に、チラシでは「13名」、ホームページでは「12名」、合格者の人数が媒体によって異なっているのである。
さらに、ホームページでは「翠嵐・湘南講座受講生を含む」という記載があるものの、校舎単独の人数が分かる記載はまったく見当たらない。
一方で、折り込みチラシには「特訓講座受講生を含む」という記載はなく、「湘南ゼミナール青葉台」の校舎単独の合格実績であるという誤解を誘導するかのような掲載の仕方となっている。
ここで謎解きにチャレンジしてみると、おそらく青葉台単体での翠嵐合格者数は3名。3名と判断する根拠は、校舎の外からも見える青葉台教室での合格者掲示数が翠嵐で10名。ところが、そのうち7名はアルファ青葉台教室の合格者として、HP上に公表されている生徒と氏名が完全に一致しているのである。ということは、それらの7名はアルファ生ということになる。というわけで10-7=3ということになる。
私たちは湘南ゼミナールではないので断定はできないが、このあたりがもっとも事実に近い数字ではないか。湘南ゼミナールが、「いや、3名ではない。もう少し多い。」と主張したいのであれば堂々と実数を公表すればよいだろう。単体での合格者数をクローズしながら、見せかけの人数を多くアピールしようとするところに問題があるということだ。
個別の教室の合格者数を一切クローズしたままで、複数の教室の合格実績を合算した結果のみを公表するやり方が、複数校の合格者数をあたかもその校舎単体の実績であるかのように印象づける不透明でグレーな公表の仕方となっていると言わざるを得ないのである。
※参考資料 湘南ゼミナール 青葉台教室のチラシ 一部抜粋
※参考資料 湘南ゼミナール 青葉台教室の合格実績 一部抜粋(ホームページ 3/3日時点のものと3/26日現在のもの)
※参考資料 湘南ゼミナール 青葉台教室の合格実績 注記部分(ホームページ 3/26日現在)